診療放射線技師は病院で医師のサポートをする重要な仕事です。
診療放射線技師のおかげで病気がわかり、適切な治療ができたという例も多いものです。
そんな診療放射線技師になりたいという方は、どのくらいお給料をもらえるのか気になるのではないでしょうか。
この記事では、診療放射線技師についての年収について、全体の平均年収、男女別、地域別などでお伝えします。
また働く場所についても求人の事例とともに解説いたします。
診療放射線技師についての豆知識
まずは診療放射線技師についての知識を解説いたします。
医師をサポートする仕事
診療放射線技師は医師をサポートする仕事で時に医師に意見も述べます。
主にどんなことをこなすのか挙げてみます。
- レントゲン、CT、MRI、マンモグラフィーなどの放射線や超音波の画像を撮る。
- 入院患者の病室に出向いてレントゲン撮影する。
- バリウム検査や骨密度検査
- 画像を見て気づいたことを医師にいう(医師の診断補助)
診療放射線技師になるためにはどんな学校に行くのか
多くの人の役に立つ仕事である診療放射線技師になるには、どんな学校に行けばよいものでしょうか。
診療放射線技師は国家資格です。
そのため、国家試験を受けて国家資格を取得しなければいけません。
3年制や4年制の養成校(大学や専門学校など)で勉強します。
その後、診療放射線技師国家試験を受け、合格すると国家資格を取得でき、診療放射線技師として仕事をするというのが一般的な流れになります。
診療放射線技師の平均年収
2020年の診療放射線技師の平均年収は約549万円です。
そして月収の平均は372,900円、平均賞与は1,012,300円。こ
こから計算して出したのがこの平均年収です。平均年齢は約41歳。平均勤続は13年です。
2020年平均年収 2020年平均月収 2020年平均賞与 約549万円 約372,900円 約1,012,300円 ※平均年齢41歳、平均勤続13年
2010年~2020年の診療放射線技師の平均年収は約519万円
厚生労働省令和元年賃金構造基本統計調査によると、2010年~2020年の10年間における診療放射線技師の平均年収が約519万円です。
こう見ますと、2020年よりも下回っていますが、平均年齢によって異なる場合もあります。
年齢別の平均年収
今度は年齢別で平均年収を見てみましょう。
20代:約411万円
30代:約523万円
40代:約632万円
50代:約711万円
60代:約513万円
こう見ますと一番平均年収が高いのは50代です。20代から徐々に上がっていくのがわかります。
年齢が上がれば上がるだけ、スキルが身に付き、難しい仕事を担当したりと責任のある仕事を任せられるようになり年収も必然的に上がることが考えられます。
60代で年収が下がるのは再雇用になることが考えられます。
再雇用になると、正職員よりはお給料が下がります。
男女別の平均年収
診療放射線技師の男女別平均年収を見ていきましょう。
男性:5,806,100円(平均年齢44歳)
女性:4,537,000円(平均年齢34歳)
男性の方が平均年収が高いのは、夜勤ができるか否か、結婚出産での休暇の違いによります。
お給料が上乗せになる夜勤は男性の方が引き受ける人が多いです。
女性は子供が小さいなどの理由もあり、なかなか夜勤はできないものでしょう。
また、年齢や勤続年数による給料アップも、女性の場合は結婚や出産で休む期間があるために長い期間同じ職場に勤務するのは難しいものです。
そのために平均年収の格差が生まれると考えられます。
そんな理由で下記のように月収や賞与も男性の方が高額になります。
平均月収 平均賞与 男性 約396,000円 約1,053,000円 女性 約304,4000円 約891,400円
確かに男性の方が月収賞与も上回っています。
しかし、30万以上の月給というのは、女性全体で見れば、高い方だと考えられます。
診療放射線技師 新卒の初任給
診療放射線技師の新卒の初任給は、男女全体で約20万円前後です。
日本全体の新卒の初任給の平均とほぼ同じくらいです。
保険料などをここから天引きされると残りは17万円前後でしょう。
診療放射線技師の場合は、スキルが完全に身についてから、残業代や夜勤手当もつくようになるので、最初はこのくらいと思っておいた方が賢明です。
研修などが多く、覚えることが多いのが新卒。今後のお給料アップのために頑張り時といえます。
診療放射線技師の働く場所による平均年収
診療放射線技師は働く場は病院ですが、大学病院であったり、公立や民間です。その場所によっても収入が変わります。
どんな場所で診療放射線技師として働くべきか迷っている方は参考にしてみてください。
大学病院 | 国公立病院 | 民間病院 | クリニック・健診センター | 医療器メーカー |
約400~600万円 | 約400~450万円 | 約370~450万円 | 約350~400万円 | 約400~500万円 |
大学病院は高め
大学病院は研究発表なども行われるため、そのための残業も多いでしょう、他の職場よりもお給料が高いのは、残業や夜勤のためです。
国公立病院は地方公務員になる
国公立病院で働く場合、地方公務員という身分になります。そのため、お給料が大学病院よりも少々安めです。
しかし、その分安定しているので、安心して働くことができます。
民間病院の場合は場所によって異なる
民間病院の場合は、病院によって給料に差があります。
規模が大きい病院の場合は、残業や夜勤が多いためにお給料が上がることが多いです。
また、地域の傾向にも左右されるため、一概にこの位とは言えないでしょう。
民間病院で仕事を探すのであれば、求人情報をチェックして見比べることをお勧めします。
待遇の差も病院によって異なりますのでよくチェックすることは大事な作業になります。
クリニック・健診センターは少々安い
クリニックや健診センターの場合は、他の職場と比べて安めです。
それは夜勤や残業といった大きな病院ならではの業務がないからです。
子育て中の人だと働きやすいかもしれません。
しかし、月給自体はそれ程安くなく、むしろ高いですが賞与は少なめです。
小さいところなので、診療検査技師は大体1名です。そのため、忙しい時間帯などは大変でしょう。
医療器メーカーの社員の場合は会社による
診療放射線技師の職場は病院ばかりではありません。医療器メーカーの社員としても働けます。
診療放射線技師の専門知識が医療器開発、販売に役立つでしょう。
多くの診療放射線技師資格保持者は、「アプリケーションスペシャリスト」として働けます。
この仕事は、病院などに医療機器をすすめる営業職のようなものです。
診療放射線技師だと、専門知識やテクニックがあるので、説得力のある説明ができます。
納得して購入してもらえそうです。
平均年収は約400~500万円ですが、所属する会社によっても異なります。外資系企業の方が高年収でしょう。
診療放射線技師の地域別の年収
地域によっても平均年収の差があります。年収の高い順に並べてみると、大きな差はありません。
最も平均年収が高いのは東海地方。中でも静岡県が一番年収が高めです。
1.東海地方 | 全体の年収は375万円、時給は1,485円 静岡県:410万円 愛知県:375万円 三重県:370万円 岐阜県:343万円 |
2.北海道・東北地方 | 年収369万円、時給は1,299円 |
3.関東地方 | 年収368万円、時給は1,735円 |
4,関西地方、九州・沖縄地方 | 年収351万円、時給は関西1,778円 |
5.四国地方 | 年収343万円 |
6.甲信越・北陸地方 | 年収342万円 |
7.中国地方 | 年収335万円 |
診療放射線技師はどんな求人があるか
診療放射線技師の求人の事例もご紹介します。仕事を探す際の参考になるでしょう。
①民間の病院
関西地方にある民間病院の求人です。
- 正社員として募集
- 月給20万3000円
- 資格、経験:診療放射線技師免許、見込み、既卒でも可
- 待遇:雇用、労災、健康、厚生年金、上限5万円まで交通費支給、勤続5年以上で退職制度あり
- 休日、休暇:年間休日105日(夏季や年末年始、リフレッシュ休暇)
②健康管理センター
東海地方にあるセンターです。
- 正社員の募集
- 巡回健診などの放射線技師業務
- 健康診断のX線撮影
- 各種X線撮影の経験者
- 診療放射線技師
- 自動車免許が必要
- 専門学校卒以上
- 年齢不問
- 月給:221,000円
- 賞与あり
- 試用期間3ヶ月
- 年間休日105日
③近畿地方のクリニック
- パート、アルバイトの募集
- 時給:2500円
- 検診マンモグラフィ撮影認定診療放射線技師
- 勤務日応相談
④東北地方の公立病院
- パート、アルバイトの募集
- 時給1,120円~1,520円
- X線検査、X線CT、磁気共鳴診断、装置操作、マンモグラフィーを担当する。
- 診療放射線技師免許が必要
⑤東北地方の民間病院
- 派遣社員
- 時給1,050円~1,350円
- 派遣先の病院で診療放射線技師として従事
- 単純撮影透視、CT、MRI、骨密度測定
- 放射線利用の安全管理、放射線に使う機器などの管理
- データ集計や室内の整理整頓
⑥神奈川県のスタッフサービスによる派遣
- 病院内の放射線技師
- 時給2.100円、残業手当あり
- CR、CT、MRIなどの業務
- 整形外科やリハビリを行う病院
- 派遣の職員として勤務
診療放射線技師の求人は多い
ご紹介しました通り、診療放射線技師の求人は日本全国で豊富にあります。
正社員も多いですが、高時給のアルバイトやパートもあるので、結婚している人、子育て中の人、いったん仕事をやめたけれども子どもの手が離れたので、職場復帰したい人でも仕事を探しやすいでしょう。
また、キャリアがあれば、より待遇の良い職場を探すことも可能です。健康に関する大事な仕事なので、今後求人がなくなることは考えられません。また求人は多岐にわたり、大きな病院だけでなく、クリニックや健診センターといった場所でも、診療放射線技師を求めています。
仕事内容は職場によっても多少の違いはあるので、ご自身にとって、やりがいがありそうな仕事を探すこともできます。平均年収は医師以外の病院関係では薬剤師の次です。年収の高いやりがいのあるお仕事だと言えます。
まとめ
診療放射線技師の平均年収は2020年で約549万円。
年収の高さは、医師以外の病院関係で薬剤師の次です。
年収の高いやりがいのあるお仕事だと言えます。
夜勤や出産による休暇の違いから男性の方が女性よりも年収は高めですが、女性にとっても他の職業より年収は高いです。
働く場所は大学病院、国公立病院、民間病院の他に健診センターやクリニックなど豊富にあります。
今後もますますの医療の発展が期待されるため、X線やMRIなどの技術も発展するでしょう。
そのため、診療放射線技師が減ることは考えられません。
日本各地での診療放射線技師の求人は豊富にあるため、ご自身にとって働きやすい職場を選べるというメリットもあります。
これから、この職業に就きたいと思う方は、国家試験で資格を取得できるように、まずは養成施設で勉強する必要があります。