生活にかかせない。
生活をする上で必要な情報のうち、およそ8割は目から入ってくるものとされています。
視能訓練士は、目のスペシャリストとして小さな子供から、高齢の方の目の健康を支える重要な職業です。
視能訓練士は他の医療職に比べると、大きな総合病院や大学病院、街のクリニックなど全国に勤務出来る場所があったり、夜勤が少なかったりする職種で女性でも家庭との両立がしやすいと言われています。
また、医療職なので収入も高い傾向にあり、視能訓練士を目指そうと考えている人もいるのではないでしょうか。
今回の記事では、視能訓練士になる方法や、視能訓練士の年収について紹介していきたいと思います。
・視能訓練士を目指そうと思っている方
・視能訓練士になる方法が知りたい方
・視能訓練士の給料事情が気になる方
こんな方はぜひ今回の記事を参考にしてみてください。
視能訓練士になるためには?
視能訓練士になるためには、国家試験に合格することが必須です。
また、国家試験を受験するまでの過程には、3パターンがあるのでそれぞれ紹介します。
視能訓練士の国家試験受験までの3パターン
① 高校卒業後→視能訓練士養成校(3年)を卒業する。
② 大学・短大卒業後→視能訓練士養成校(1年)を卒業する。
③ 海外の視能訓練士学校を卒業した人。
3パターンを詳しく確認していきましょう。
① 視能訓練士の国家試験までの最短ルート
視能訓練士の国家試験を受験するまでの最短ルートは、高校卒業後に視能訓練士養成校に進学し、視能訓練士養成校で3年以上修行し、卒業するパターンです。
高校卒業後に視能訓練士養成校に入学する場合のカリキュラムは、留年などをしなければ3年で卒業が出来ます。
この間に、必要な知識と技術を学んで国家試験に臨みます。
視能訓練士を目指している高校生以下の人にはおすすめの、視能訓練士になるための1番の近道です。
視能訓練士養成校は、専門学校のようなイメージです。
国家試験対策を取り入れながら学ぶことが出来ます。
これから視能訓練士を目指す高校生以下の人は、ぜひ検討してみてください。
② 一般大学や短大を卒業した人の場合
一般大学、短大などで2年以上修業し、指定科目を履修した後卒業したあと、視能訓練士養成校に入学し、決められた教育課程にて、1年以上修業します。
一般大学・短大などで履修していることが条件となる指定科目
必須科目:外国語、生物学、保健体育、心理学、数学(統計学でも可)
選択科目(2科目):教育学、倫理学、精神衛生、社会福祉、保健
視能訓練士養成学校でのカリキュラムは3年制が多いのですが、これは高校卒業後に養成学校に入学する場合です。
大学や短大などを卒業後に入学する場合のカリキュラムは1年制になります。
③ 海外で取得した資格や、修業経験がある人
海外の視能訓練士養成学校を卒業した人や、海外で視能訓練士に該当する免許を所持している人は、厚生労働大臣の認定で国家試験を受験することが出来ます。
書類申請(本人持参による):4月初旬~8月末締め切り
↓
書類審査:9月~10月頃
↓
認定の場合:認定書交付11月頃
(認定不可の場合も11月頃通知が交付される)
認定書の交付を待ち、同年の国家試験受験手続を行うことが出来ます。
認定基準は、
・外国の視能訓練士養成所の就業年数
・教育科目の履修時間(授業時間1,440時間以上を満たす)
・教育環境(日本の視能訓練士養成所と同等の教育環境か)
・外国の視能訓練士養成所卒業後、当該国の視能訓練士免許を取得しているか(取得の有無は問わない)
・日本語能力
これらが認定基準となります。
厚生労働省のホームページで詳しく確認が出来るので、必ずチェックしましょう。
視能訓練士養成大学と専門学校ってなに?
厚生労働省の認可が下りている、視能訓練士を養成する大学と、専門学校について紹介します。
① 視能訓練士養成大学・短期大学
4年生大学は全国に9校、短期大学は1校あります。
短期大学のカリキュラムは3年制となります。(過去に視能訓練養成大学として認定されていた大学で、直近では令和元年以降に学生募集を終了した大学もあります)
・視能訓練士養成大学の偏差値
上記で紹介した視能訓練士養成大学9校と、短期大学1校の偏差値は、35~50です。
偏差値で見ると決して高いわけではなく、受験対策を行っていれば合格できるレベルです。
・学費
4年間(短期大学は3年間)の総額は、約360万円~710万円となります。
大学で学ぶ場合には、学費は高めです。
② 視能訓練士専門学校
視能訓練士専門学校は全国に18校あります。
3年制の専門学校が中心ですが、中には4年制の専門学校もあり、4年制の専門学校では高度専門士を得るためのカリキュラムが組まれている学校や、夜間制の専門学校もあります。
上記1の項目で解説した、国家試験までの3ルートのうち、①の高校卒業後に入学するなら、3年制の専門学校に、大学や短大等を卒業し規定の科目を履修した場合には、1年制の専門学校へ入学が可能です。
視能訓練士の国家資格
視能訓練士になるためには、必ず国家資格を受験し合格する必要があります。
視能訓練士の国家試験は難しい?合格率はどれくらい?受験の手順は?
こうした視能訓練士の国家資格の疑問を解決していきましょう。
①視能訓練士の国家試験の受験手順は?
試験日:2月中旬~下旬
試験開催地:東京都および大阪府
合格発表:3月中旬頃
願書提出:12月~1月上旬
受験料:15,800円
視能訓練士の国家資格は、年に1回開催され、上記の日程で行います。
願書は12月中旬頃~1月4日までに提出する場合が多いです。
他の国家試験や、学校等の願書提出と時期が重なるため、余裕を持って準備・提出しましょう。
願書は
・養成所で入手する
・郵送で請求する
・窓口(視能訓練士国家試験運営事務所もしくは厚生労働省の窓口)で入手する
この3つの方法があります。
願書提出にあって、用意する書類が人により異なります。
必ず自分が用意すべき書類を確認し、準備を進めましょう。
国家試験の合格発表は、例年3月中旬頃、ホームページ上で行われます。
②視能訓練士国家資格の合格率は?
視能訓練士の国家資格を受験しようと思っている人が気になるのは、合格率ですよね。
視能訓練士の国家資格の合格率は、96%以上と非常に高い合格率です。
過去10年を振り返ってみても、平均して90%以上の合格率が出ています。
この結果は、他のコメディカル職(看護師・薬剤師などの医療従事職)よりも高い結果なのです。
視能訓練士の平均年収は?
視能訓練士の収入をみていきましょう。
①視能訓練士の年収は?
視能訓練士の年収は、地域や働き方(常勤なのか非常勤なのか)でも異なります。
常勤の場合、初任給は20万円前後で、他の職業の初任給とあまり違いはありません。
知識やスキルが重要な視能訓練士は、経験を積むごとに収入も高くなっていきます。
平均年収は約360万円~400万です。
経験年数が10年未満だと、350万円前後、10年以上で370万円、20年以上になると606万円という平均値が出ています。
経験年数を積むごとに、しっかり昇給していく職種だといえます。
②パート勤務の場合の収入は?
視能訓練士は、人材不足もありパート勤務などの非常勤採用も多い職種です。
パート勤務の場合の平均時給は1800円前後で、安定した収入を得ることが出来ます。
パート勤務という働き方も多い視能訓練士は、夜勤がなかったり、平日のみの勤務が出来たり、残業が少なかったりすることから、主婦として家庭との両立を考えている人にもおすすめですよ。
③視能訓練士として収入アップを目指すなら
視能訓練士は医療職でもあるため、経験年数を積めば安定して昇給していく職種でもありますが、より収入アップを目指すためには働き方、働く場所を考えるといいです。
・高所得を目指す勤務先
視能訓練士が勤務する場所は、大学病院・総合病院・診療所などのクリニックなどがありますが、その中でも1番収入が高いのが、私立大学病院といわれており、平均年収は495万円です。
続いて公立大学病院が467万円、公立医療機関が450万円と、公立の病院が高い水準にあります。
また、診療所でも432万円という平均結果が出ており、決して低くない水準です。
診療所での勤務は、ライフワークバランスを診ながら働くことが出来るかもしれませんね。
・収入アップのための転職
ある調査では、視能訓練士は1度は転職経験があると答えた人が半数以上だったんです。
さらに、年齢があがるごと転職率が高くなる結果もありました。
転職理由の大半が、「給料が低かった」という理由だそうで、視能訓練士は働く場所によって給料の違いが大きい職種であることもわかります。
まとめ
視能訓練士は、眼科医が診断や治療方針を決定するまでの様々な検査を行う、非常に重要な職種です。
眼科医1人に対して、3人の視能訓練士が必用と言われていますが、現在視能訓練士の数は不足傾向にあります。
スマートフォンの普及や高齢化社会で、今後ますます目の健康ニーズは高まり、将来も安定した職種といえます。
国家試験の合格率は高いですが、そこまでの過程が大変なのが視能訓練士です。
ですが、就職率も収入も安定した仕事です。ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。