お客様に対して、アロマテラピーに関する知識や技術を提供する職業のことを「アロマセラピスト」といいます。
この職業へのなり方や将来性については、前回の記事で詳しくご紹介をさせていただきました。
そして今回は、アロマセラピストの“働き方”に焦点を充てて解説していきたいと思います。
アロマセラピストの活躍の場はどんなところ?
まずは、アロマセラピストの活躍の場(就職先)についてから、ご紹介していきます。
多くの人がイメージしやすいものとしては、「アロマショップ」や「美容サロン(アロマトリートメントサロン)」などが挙げられるでしょうか。
上記で働く人が多いのも事実ではありますが、実はそれ以外でもアロマセラピストの活躍の場は数多く存在します。
いくつかを順にご紹介していきましょう。
「アロマショップ」
「日々のストレスや疲れを、アロマで癒したい……」と考える人の一番の理由は、“自宅で手軽にアロマテラピーを楽しむことができるから”です。
「エッセンシャルオイル(精油)」や「アロマオイル」を焚いたり・お風呂に入れたりして、リラックス効果を高めたり健康増進に役立てたり。
また、自宅でできるアロママッサージなども人気です。
現在は、YouTubeなどの動画配信サイトでも、アロマテラピーやアロママッサージに関する情報を手軽に視聴できるようになったので、それを参考に「自宅でアロマを……」と考える人も増えてきているようです。
ただ、別の記事でもご紹介しましたが、「精油」や「アロマオイル」には正しい使用方法というものがあります。
使い方を誤れば心身に悪影響を及ぼす可能性もありますので、正しい使用方法や自分に合ったオイルなどを利用者自身がしっかりと把握していかなくてはいけません。
そのために、ショップには「アロマセラピスト」という専門家の存在が必要不可欠なのです。
専門家として、各商品の紹介や使い方のアドバイスを行うことはもちろん、お客様の悩みを聞き・適切な商品を提供できるようカウンセリングを行ったりします。
ちなみに、アロマセラピストになるためには、特に“必須となる資格”はありません。
そのため「無資格・未経験からアロマテラピーに関する職に就いて、知識を就職し資格取得に臨みたい」という人は、アロマショップに勤めることからスタートし、知識を身に着けていくのがいいかもしれません。
「美容サロン(アロマトリートメントサロン)」
現代の日本は、性別を問わず「美」や「健康」に対する意識が高まっています。
上記の通りアロマテラピーを自宅で簡単に行うこともでき、その利用者が増加していることも事実です。
しかし、“自宅でできる(アマチュアが行う)こと”と、“プロが行うこと”では、その効果は大きく異なります。
その代表的な例えが「アロママッサージ」です。
アロママッサージを提供している「美容サロン」や「アロマトリートメントサロン」は、アロマテラピーに関する知識だけでなく、エステティックに近いトリートメントなどの技術も習得する必要があります。
アロマショップに比べれば、こちらの方が就職・転職時の敷居は高いです。
ただ、無資格・未経験からでも募集をしているところはあるにはありますので、興味がある人は求人・転職サイトなどで情報を検索してみるのもいいかもしれません。
また、サロンの中には“研修制度が充実している”ところもあります。
そういったところで、実務と研修を繰り返すことができれば、より確かな知識と技術を身に着けることができるようになるでしょう。
ちなみに。
アロマテラピーに関する資格には国家試験はありませんが、マッサージに関する国家資格であれば「あん摩マッサージ指圧師」というものが存在します。
この国家資格を取得していれば、当然アロママッサージに活かすことができるので、取得しておいて損はないかと思います。
「あん摩マッサージ指圧師」については、別の記事にてご紹介しておりますので、以下を参照ください。
「医療・介護業界」でも活躍の場が増えている
2021年時点の日本においては、アロマテラピーは「医療行為には該当せず、リラクゼーションの一種とされている」となります。
しかし、アロマのヒーリング効果は医療業界でも注目はされています。
(海外の一部の国では、医療行為として取り入れられているところもある)
例えば、病院・鍼灸院・整骨院などの待合室や治療室にアロマを焚くであったり、介護施設でアロマを利用したり……。
そのため、医療関連施設や介護施設などで“アドバイザー”として、勤務しているアロマセラピストも増えているのです。
ただし、その数はまだまだ多いとは言えず、これに関しては確かな知識や経験が必須となってくるため、企業側から求められるもの相応に高くなると言えます。
とはいえ、今後は医療や介護の分野でもますますの活躍が見込まれているため、資格取得や経験をしっかり積んでいれば、アロマセラピストの働く場所はどんどん増えていく可能性は高まるかと思います。
「独立・開業」などの道もある
アロマテラピーに関する知識や技術をしっかりと身に着けた人であれば、「アロマショップや美容サロンなどを経営するという立場にもなれる」可能性があります。
また「アロマ講師」として、スクールで教える側の立場に立つ人もいます。
これらは、“独立・開業”……つまり「フリーランス(個人事業主)」として活躍したり、「経営者」として組織を運営したりする人のことを指します。
ただし、個人事業主や経営者として経営していく場合は、アロマテラピーに関する知識・技術だけを身に着けていれば良いわけではありません。
“経営力”も必要となってくるのです。
“一経営者=社長”として仕事を行っていくこととなるため、どれだけ仕事を取ってこれるかは“自身の営業力”や“認知度”、“各関係機関とのコネクション”なども重要となります。
学ぶべきことはたくさんありますが、その努力に見合った成果(=収入)も得られる可能性があることから、ある種“夢のある職業”と言えるかもしれません。
アロマセラピストの「働き方」について
アロマセラピストの「社会的地位」は、まだまだ低い……
この項目にて、アロマセラピストの働き方についてご紹介をしていきますが……。
まず初めにお伝えしておくことは、「アロマセラピストの社会的地位は、まだまだ低い」ということです。
アロマテラピーに関する需要は確かに高くなってはいますが、社会的地位はまだ確立されているとは言いづらいのが現状です。
その理由の一つは、“医療行為に該当しない(医療系の公的資格が設けられていない)”という点が挙げられます。
また、アロマセラピストに関する「民間資格」は数多く存在しますが、「国家資格」は、まだ設けられていません。
アロマセラピストは技術職であり、専門的な知識や技術を必要とします。
しかし技術職でありながら、賃金が低かったり・不安定な働き方をしていたりする人も多いのが実情ではあります。
その点を踏まえた上で、働き方に関する情報をご紹介していきたいと思います。
「雇用形態」について
アロマセラピストの雇用形態は、以下のようにさまざまに存在します。
②アルバイト・パート
③業務委託
④派遣社員
⑤副業・在宅
⑥フリーランス
上記でもお伝えした通り、この職業の活躍の場は多種多様です。
そのため、雇用形態もさまざまなものが設けられており、自身のライフスタイルに合わせた働き方が可能と言えるでしょう。
ただし、雇用形態として多いのは、上記①~③となります(特に①と②)。
「アロマテラピー」自体の認知度はどんどん高まっていますが、「アロマセラピスト」という職にフォーカスを当てた場合は、まだまだ認知度は高くありません。
そのため、④や⑤でアロマセラピストとして働くのは、狭き門となってはいます。
また、アルバイト・パートの場合、仕事の範囲が制限されることもあります。
例えば、“受付などを行うことを中心として、実際の施術や香りの調合などはできない”……などです。
ここまでにお伝えした通り、精油やアロマオイルには“身体との相性”が存在し、もしお客様に合わないものを提供してしまった場合、下手をすればクレームにも繋がりかねません。
そのため、“責任のある行動に関しては、正社員に一任されることが多い”のが実情ではあります。
とはいえ、アルバイト・パートでもアロマテラピーに関する知識や技術を“現場”で学ぶことはできますし、「ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方ができる」というメリットも存在します。
働き方は人それぞれで異なりますので、ぜひ自分に合ったやり方で、アロマテラピーの仕事を探してみてください。
給与や年収はどのくらいもらえるの?
結論から言うと、「勤務先」「雇用形態」「経験」によって、給与の幅はまちまちです。
ただ、総じて言えることは、(現時点では)“高収入・高待遇を得られるところは少ない”という印象です。
例えば、正社員として勤務するアロマセラピストの平均年収は「300万円~400万円ほど」と言われています。
月収にすると、「250,000円~330,000円前後」です。
ただし、上記はある程度の、知識・技術・経験がある人の話になりますので、経験が浅い人だともっと給与が低くなってしまう可能性があります。
また、アルバイトからスタートする場合、規模の小さなサロンであれば、フルタイムで働いていたとしても「月収150,000円を下回る」可能性も否定できません。
そのため、職に就きたて=下積みの時代は、特に生活に苦労することも多いのではないかと思います。
ただし。
知識やスキルの向上、そして経験を積んでいくことで、収入は上がる可能性が非常に高い職業でもあります。
②資格取得もしくは、より上位の試験に合格する
③多くのお客様の施術を担当する(=お客様の信頼を勝ち取る)
④チーフや店長などの管理職になる
⑤独立・開業して、フリーランスとして活動する
アロマセラピストは技術職であるため、経験を積み“信用(信頼)を勝ち取っていくこと”で、給与が上昇していく傾向が強いのです。
管理職につければ年収500万円以上も夢ではないですし、フリーランスとして独立・開業すれば(自身の努力次第にはなるが)さらに収入が大幅に増加する可能性もあり得ます。
下積み時代は苦労するかもしれませんが、諦めずに努力し続ければ、将来性のある職業の一つと言えるかもしれません。
尚、中には「出来高制」や「歩合制」などで働くアロマセラピストもいます。
例えば、美容サロンやアロマトリートメントサロンにエステティシャンとして勤務する場合、「自身の売上の〇%」「お客さま1人につき〇〇円」というように、稼働に応じた金額が手元に入る仕組みのことです。
(これは、営業マンの仕事がイメージしやすいかと思います)
これは、決まった給与が支払われず自身の手腕のみで売上を上げていく「完全出来高制・歩合制」もありますし、最低保証として一定額の給与が支払われた上でさらに売上を伸ばしていく「出来高制・歩合制」があり、腕に自信のある人はこういったシステムを採用しているところに勤務するのも一つの手段かと思います。
多くのお客さまの支持を集めることができるようになれば、収入を大幅に上げることが可能となるはずです。
「勤務時間」や「休日」はどうなる?
現時点でのアロマセラピストの勤務先は、アロマショップやリラクゼーションサロンなどの“店舗”が多いです。
ショップであれサロンであれ、基本的に「営業時間が長く・土日勤務であることほとんど」かと思います。
そのため、店舗ではシフト制勤務となることが多く、2交代制や3交代制を取り入れているところが多いのが現状です。
「交代制」については、以下を参照ください。
尚、フルタイム勤務の場合、1日の労働時間は“8時間”が基本となります。
また「接客業(サービス業)」であるため、平日よりも土日祝の方がお客様の来店が多く、土日祝にお休みを取るのは中々に難しいかもしれません(特に正社員として勤務している方)。
営業時間がきまっているので大幅な残業はほとんどないかとは思いますが、休日(店舗のお休みを含め)はお店によってまちまちであるため、休日に関しては求人を探している際に内容をしっかり確認するのが良いかと思います。
まとめ
アロマセラピストの社会的地位はまだまだ高いとは言えません。
そのため、安定した雇用の間口が少なく、賃金の伸び悩みや待遇面に恵まれていないケースも所々で目立ちます。
やっとの思いで知識や技術を習得しても、労働環境の悪さから不安定な生活を強いられる人もいるのが現状ではあります。
ただ、趣味でアロマを楽しむ人が増えたこともあり「アロマセラピスト」という職業の認知度が(少しずつでも)上昇していることも事実です。
医療や介護などの現場でもアロマセラピストの採用は増えてきているので、今後はさらに活躍の場は増えていく可能性が高くなる可能性も十分にあり得ます。
つまり、“工夫次第では多様な活躍の仕方がある”と言える職業になるかと思われます。
最初(下積みの時代)は確かに苦労も多いかもしれません。
でも諦めずに努力し続け・実力を身に着け・企業(ほかの従業員)やお客様の信頼を勝ち取ることができれば、収入はどんどん増加していく可能性はあります。
将来的には、独立・開業して“あなただけのお店”を持つことができるようになるかもしれません。
将来性は十分にある仕事ですので、興味がある人は、ぜひ知見を広げてアロマセラピストへの一歩を踏み出してみてください。