女性が妊娠をした際に手にするアイテムの一つと言えば、「母子手帳」をイメージする人が多いのではないでしょうか。
ただ、「小さいころにお母さんから見せてもらったことはあるけど……、”どこでもらえるか?”や”どうやって活用したらいいのか?”は分からない……」という人も多いかと思います。
実は、母子手帳は“持っていることで受けられる公的なサービス”も多数存在します。
ということで今回は、この「母子手帳」について、詳しくご紹介をしていきたいと思います。
「母子手帳」ってなに?
「母子手帳」の正式名称は、「母子健康手帳」と言います。
※以下、母子手帳と記載※
これは、妊娠・出産・育児に関する情報を一括管理(記録)するために重要なツールとなります。
例えば、以下のような情報を記録しています。
◆乳幼児(0歳~6歳)の健康情報
◆予防接種状況 など
情報をまとめて管理することで、妊娠~乳幼児の時期だけでなく、その後の人生においても役立てることができる…….
「母子手帳」は、生涯役に立つ・とても大切なツールの一つなのです。
母子手帳の”役割”について
情報をまとめて管理することで、ママさんやお子さんにとって多くのメリットがあります。
ここでは、手帳の“役割”や、所持することの“メリット”について詳しくご紹介していきたいと思います。
メリット1.問題の「早期発見」と「早期治療」ができる
妊娠・出産を行うママさん、そして生まれて間もない乳幼児のお子さんは非常にデリケートであり、急に体調を崩したり悪い症状が出てくる可能性があり得ます。
そのため、「定期健診」が非常に重要なものとなります。
母子手帳の最大の役割は、情報を一元管理することにより、もし急にお母さんや赤ちゃんが病気になっても「早期発見」や「早期治療」につなげることができるという点にあります。
母子手帳は常に携帯しておくべきものであり、これまでの健康状態が全て記録されています。
突発的に何かしらの異変が起こったとしても、母子手帳を確認することで問題を早期に解決できる可能性が高まるのです。
メリット2.一貫した保険サービスを受けることができる
妊娠中および育児中は、実に多くの医療従事者から検査や指導を受けることとなります。
そのため、医師による健康診査そして看護師や保健師による保健指導は、赤ちゃんの健康状態を把握するでとても重要な情報となるのです。
母子手帳にてこれら情報を一元管理することによって、各医療従事者から一貫した保険サービスを受けることができるのも、大きなメリットの一つと言えるでしょう。
また、後述で「母子手帳の中身」(妊娠中の記録)についてもご紹介をしていきますが、母子手帳というのは病院(医師)側だけが記載するものではありません。
保護者から見た赤ちゃんの日々の発育状況も、母子手帳に記載をしていきます。
つまり、医師・保護者の情報を一元化することによって、“各医療従事者から一貫した保険サービスを受けられるようになる”のです。
上記でも記載した通り、妊娠・出産後のママさんや赤ちゃんの身体は非常にデリケートで、いつ体調が急変するかも分かりません。
緊急時は、かかりつけの医師以外の人が対応することもあるはずです。
そうなった時、母子手帳を見ればすぐに情報を把握できるため、適切な処置が行えるようになるのです。
メリット3.母子手帳の情報は、大人になってからも役立てることができる
例えば、大学生や社会人になっても、予防接種の記録を確認するために母子手帳が必要となります。
また、自分のお子さんがママとなり子を出産する時にも、自身が利用していた母子手帳を見せて参考にすることもできるでしょう。
(現在・将来を含め)赤ちゃんの健康のためになることはもちろん、家族を繋ぐための大切なアイテムとしても役立てることができるので、できる限り母子手帳にはきちんと記録を残し、大切に保管しておくことをオススメいたします。
母子手帳の”もらい方”について
「妊娠したら母子手帳をもらえる」と言っても、何の申請もせずに自動で手帳が手元に送られてくる訳ではありません。
この項目にて、母子手帳のもらい方や注意点などを、詳しくお話していきたいと思います。
そもそも「いつからもらえるの?」
まず、母子手帳を受け取るための条件は「妊娠していることが正確に確認できたとき」です。
そのため、尿検査で陽性反応がでるだけでなく、「エコー検査(超音波検査)」の結果も必要となります。
エコー検査の結果、「胎嚢」(※)と「心拍」が確認されれば、正常に妊娠できていると診断され、母子手帳を受け取る権利が発生することとなるのです。
(※)「胎嚢(たいのう)」とは、子宮内膜に受精卵が着床し、赤ちゃんや胎盤が作られていく過程でできる”赤ちゃんを包むための部屋”のことを言う。
この「胎嚢」と「心拍」は、妊娠6週間前後に確認されることが多いと言われています。
その後、「頭殿長」(※)が2cmくらいになったと診断される時がきます。これは、妊娠10週以降が目安と言われています。
(※)「頭殿長(頭殿長)」とは、”CRL”と呼ばれる”赤ちゃんの頭部からおしりまでの長さ”のことを言う。
この妊娠6週間~10週間くらいを目安に、母子手帳の申請を行いにいく家庭が多いかと思います。
(もちろん家庭によりけりではありますが)
「どこで」もらえるの?
母子手帳は、お住いの市区町村にある役所に「妊娠届」を(必要事項を記入して)提出すれば、その場で受け取ることが可能です。
ただし、注意点が2つあります。
②ママ以外の代理人でも受け取りは可能だが、身分証明書や印鑑などが必要となる場合がある
上記は、市区町村によって内容が変わってくるので、お住まいの役所に問い合わせの連絡を入れて、必要なものを事前に確認しておくことをオススメいたします。
「多胎妊娠」の場合はどうなるの?
“多胎妊娠=たたいにんしん”と読みます。
その名の通り、“2人以上の胎児を同時に妊娠している状態”のことで、“双子”や“三つ子”と言えばすぐにご理解いただけるかと思います。
母子手帳というのは、“1人につき1冊もらうことが可能”です。
そのため、例えば双子であれば2冊、三つ子であれば3冊もらうことができます。
ただし、当然ながらきちんと役所に届け出る必要はありますので、その点だけはご注意ください。
他の地域に「引っ越し」する場合はどうなるの?
母子手帳というのは、地域によって表紙やデザイン・記載されている内容(妊娠中の過ごし方など)が異なります。
ただし、「国内であれば全国共通で利用できる」ので、他の地域に引っ越しをしたとしても申請をし直す必要はありません。
ただ……。
“国内で”と記載した通り、“海外に移転する場合”は注意が必要です。
海外ではまだ全ての国が母子手帳を活用している訳ではなく、場合によっては母子手帳が意味をなさない場合もあるのです。
そのため、海外への移転計画がある方は、母子手帳については移転する国の大使館などに確認を取ってみるようにしてください。
「母子手帳」をうまく活用しよう!
この記事の冒頭でも記載した通り、母子手帳があることで、お得なサービスを受けることができます。
ここでは、その内容をご紹介していきたいと思います。
1.母子保健サービス
特に初めての妊娠・出産・育児ともなれば、ママさんもパパさんも不安を感じることは多いと思います。
この不安な時期に、保険サービスで様々なアドバイスを受けることが可能となるのです。
例えば、以下のようなものが挙げられます。
◆両親学級
◆出産前育児教室 など
ちなみに上記の「妊婦訪問」ですが、これは妊婦側が病院などに赴くのではなく、“医師側が訪問してくれるサービス”のことと指しています。
「保健師」や「助産師」などが妊婦さんのお宅に訪問し、赤ちゃんの発育状況や育児に関する相談を受けてくれます。
2.妊婦検診の受診券
母子手帳の発行時に一緒にもらえる受診券(補助券)であり、妊婦検診の際に使用できる……いわゆる“割引券”のようなものです。
以前に別の記事でも記載しましたが、妊婦検診や出産は“病気ではない”ため、健康保険の適用外となってしまいます。
つまり、費用は”全額負担”しなければいけないということです。
この受診券があれば、妊婦検診の費用を一部負担してくれるのです。
3.子育て応援サービス
これは、母子手帳を提示することで、地域や企業が用意したサービスや特典が受けられることを言います。
これは普段の生活の中で受けられるサービスであり、それこそ地域や企業によってその内容は様々です。
(例えば、ネットスーパーの配達料が安くなったりなど)
是非、お住いの地域で「どんな子育て応援サービスが受けられるのか?」を調べて、日々の生活に役立ててみてください。
尚、余談ですが市区町村が主催する「両親学級」や「母親学級」もこの公的サービスの一環となります。
他にも「離乳食講習会」など、様々な講習なども開催されているので、色々調べてみて積極的に有効活用していくことをオススメいたします。
※注意点※ サービス内容は地域によって変化する
ここまでにご紹介したサービス内容は、全国共通ではなく“市区町村によって違い”があります。
その違いの確認方法ですが、母子手帳と一緒にこれら公的サービスを受ける際に必要な書類も一緒に渡されることが多いので、そちらの内容を確認してみてください。
また、分からないことがあれば、お住まいの市区町村の役所に問い合わせをしてみるのも良いかと思います。
どれもこれも、妊娠~育児の過程において活用して全く損のない……むしろメリットだらけのサービスです。
内容をきちんと理解し、うまく活用してみてください。
「母子手帳」にはどんなことが書かれているの?
母子手帳の中身は、妊娠・出産・育児に関する様々なものが記載されています。
その中で、最も気になる部分は「妊娠中の記録」だと思います。
◆「きちんと出産できるのか?」
このような気になる点も、母子手帳の「妊娠中の経過」の項目を確認すればある程度把握することが可能です。
ただ、病院側が記入している内容なだけに、用語や記号の意味を理解していないと「何が記載されているのか?」が分からない人も多いかと思います。
簡単に…ではありますが、「妊娠中の経過」に記載されている言葉の意味やチェックすべきポイントを表にしてまとめてみましたので、以下を参考にしてみてください。
尚、上表に記載されていることは、参考程度にご覧いただけると幸いです。
本当に分からないことや、詳しい内容について知りたいという方は、必ず医師や助産師・看護師の専門家に質問をして詳細を把握するようにしてください。
まとめ
ここまでにご説明した通り、母子手帳は所持していると色々と便利なアイテムです。
そして何よりも、母子手帳を手にすることで「ママになるんだ!」という自覚もより一層芽生えてくるかと思います。
産院で赤ちゃんがしっかりと形になって見えてきたら、必ずお住いの市区町村の役所へ行って、母子手帳をもらいに行ってください。
最後に。
記事の途中でもご紹介しましたが、母子手帳は妊娠中~将来にわたって、長く活用できるものです。
妊娠中であれば、“常に携帯しておく”ことを忘れないでください。
そして、気になることがあれば母子手帳にしっかり記録を残しておいてください。
さらに、子どもが成人して立派な大人になってからも、母子手帳が役立つときは必ずきます。
そのため、「育児も終えたからもうお役御免」ではなく、長く・大切に保管し続けてあげてください。
お子さんが大きくなった時に本人に見せてあげて、小さなころの思い出についてお話するのも、家族との大切な時間となって良いと思いますよ。