医療・介護・福祉・保育業界専門の求人をお探しの方は医療・介護・福祉・保育bizへ。詳しくはこちら!

「社会福祉士」にはどうやったらなれるの?国家試験の内容や合格率について徹底解説!

この記事は約10分で読めます。

「ソーシャルワーカー」とも呼ばれる社会福祉専門職の国家資格である「社会福祉士」

前回は、仕事内容や勤務先について詳しくご紹介をしました。

この仕事は、身体的・精神的・経済的なハンディキャップのある人から相談を受け、適切なサービスを提供し、日常生活がスムーズに営めるようにサポートすることです。

仕事(勤務先)も幅広く、さまざまな福祉的課題が注目されている現代において、今後もその需要はますます高まっていくものと考えられています。

では、「社会福祉士にはどうやったらなれるのか?」という点ですが、これは“社会福祉士の国家試験に合格する”必要があります。

今回は、この国家試験を受験資格の満たし方や、試験の概要・合格率などについて、詳しくご紹介をしていきたいと思います。

はじめに:社会福祉士は「名称独占資格」である


まずはじめに「社会福祉士という国家資格」について、記載しておきたいことがあります。

それは、社会福祉士は「名称独占資格である」ということです。

国家資格には、「名称独占資格」「業務独占資格」の2種類が存在します。

社会福祉士は前者であり、“資格を持っている人だけが、社会福祉士と名乗ることができる”となります。

逆に「業務独占資格」とは、“その資格を有するものでしか携わることを禁じられている業務”のことを言います。

業務独占資格に該当する者は、例えば「医師」「看護師」です。

つまり、社会福祉士に関する仕事=相談・支援業務は“資格を持っていない人でも行うことが可能”となるのです。

求人募集を見ていると、社会福祉士の業務内容(相談・支援業務)であっても「無資格・未経験でもOK!」と記載されているのを目にすることがあります。

この「無資格・未経験でもOK」というのは、社会福祉士の業務内容であれば確かに法律上の問題はありません。

ただ、無資格・未経験でも業務に携われはするものの、一から業務の全てを学んでいく必要があるため、決して楽な道のりでないことも確かです。

後述で詳しくご紹介しますが、社会福祉士の受験資格を得るには“最短でも4年以上”かかりますし、“いずれかの教育機関で学ぶ必要がある”とされています。

加えて、国家試験の試験難度もかなり高めに設定されています。

確かに「無資格・未経験でもOK」なのは事実ではありますが、できることは限られますし、職に就いてから学ぶべきことは山ほどあります。

もし「社会福祉士に関する仕事に就きたい」と考えている方は、しっかりと情報収集をし“何から行動を起こすべきか?”を熟考して行動に移した方が賢明かと思われます。

ルートは多種多様?受験資格を得る方法について


次に、今回の本題である「社会福祉士のなり方」について、ご紹介していきます。

結論としては「社会福祉士の国家資格を取得する」ではありますが、その受験資格を得るためのルートは複数存在します。

まずはこの点からご紹介していきましょう。

資格取得の「ルート」について

実は、社会福祉士の受験資格を得る方法は数多く存在し、全部で「12通り」あります。

非常に多くのルートが存在しますが、以下のように3つに大別することが可能です。

1.福祉系大学or短大で、“指定の科目”を修了する
2.福祉系大学or短大で、“基礎科目”を修了し「短期養成施設」などで学ぶ
3.一般の大学や高卒から、“実務経験”“一般養成施設”で学ぶ

3つとも、以下で少し補足を加えていきます。

福祉系大学or短大で、“指定の科目”を修了する

まず、福祉系大学or短大は、2年・3年・4年制の学校が存在します。

そして、4年制の福祉系大学に限り、受験資格を得るルートの中でただ一つ「卒業後に実務経験を積む必要も、養成施設で学ぶ必要がない」となっており、“最短で”社会福祉士になることが可能となります。

2年生・3年生の場合は、(4年制も同じく)厚生労働省によって定められた“指定科目”を履修した後、「相談援助の実務経験」を一定期間必要とします。

2年生の場合は実務経験が「2年」、3年生の場合は実務経験が「1年」となります。

これをクリアすることで、社会福祉士の受験資格を得ることが可能となるのです。

「社会福祉士になりたい!」と考えている人にとっては、この福祉系大学or短大に入ることがもっとも社会福祉士になるための近道となるかと思います。

ちなみに「2年・3年・4年制のどれを選択すべき?」ですが、これは人それぞれの家庭事情によりけりであり、どれにもメリット・デメリットがあります。

例えば、4年制は最短で社会福祉士の受験資格を得ることができますが、4年間大学に通うため学費が高くなってしまいます。

2年・3年生は、勉強後に相談援助実務を1~2年の間経験する必要がありますが、その分“学費を抑える”ことができ、かつ“実務経験を積む”ことができます。
(実務経験は、厚生労働省が指定する施設での勤務となる)

どのルートが良い・悪いというのはありません。

どれにもメリット・デメリットが存在するため、自身の状況に応じて学校を選択すると良いでしょう。

福祉系大学or短大で、“基礎科目”を修了し「短期養成施設」などで学ぶ

同じ福祉系大学or短大に通いますが、こちらは“基礎科目”を履修した場合のルートです。

こちらの場合、3つ全てのルートにおいて「6か月間、”短期養成施設”に通う必要がある」となります。
(短期養成施設は全国にあり、通信制やeラーニングも可能)

また、“指定科目”を履修した時と同じく、2年・3年生の場合は一定期間の相談援助の実務経験を必要とします。

まとめると、以下のようになります。

【福祉系大学or短大の”基礎科目”を履修した後……】

◆4年制大学:短期養成施設に6ヶ月通う
◆3年生短大:相談援助実務を”1年”経験し、短期養成施設に6ヶ月通う
◆2年生短大:相談援助実務を”2年”経験し、短期養成施設に6ヶ月通う

こちらのルートを選択する人というのは、「福祉系大学or短大に通っている時や、卒業後すでに別の仕事に就いている人が、社会福祉士を目指そうと決めた」場合に通るものです。

どのルートであっても「短期養成施設」に6ヶ月の間通う必要があり、指定科目履修時に比べて時間はかかります。

ただし、短期養成施設は通信制やeラーニングも可能ですので、仕事や家庭(育児)との両立もしやすくはなっています。

一般の大学や高卒から、“実務経験”と“一般養成施設”で学ぶ

こちらは、“一般の大学や短大”だけでなく、“すでに社会人として別の仕事をしている人”“最終学歴が高校卒業である人”であっても、社会福祉士を目指せるルートです。

共通しているのは、「一般養成施設に1年以上通う」こと。

また、4年制の大学卒業者以外の人は、「一定期間の相談援助の実務経験」を必要とします。

まとめると以下のようになります。

◆4年制の一般大学:一般養成施設に1年以上通う
◆3年制の一般短大:相談援助実務を”1年”経験し、一般養成施設に1年以上通う
◆2年生の一般短大:相談援助実務を”2年”経験し、一般養成施設に1年以上通う
◆社会人or高卒:相談援助実務を”4年”経験し、一般養成施設に1年以上通う

上記でご紹介した2つのルートに比べると、時間はかかります。

ただ、それでも「福祉系大学に通っていないと、受験資格すら得ることができない=学校に通いなおさなくてはいけない」という事態は避けることができます。

人によっては学費を安く抑えて、働きながら資格を取得することもできるため、どんな方にも可能性があると言えるでしょう。

社会福祉士国家資格の「受験概要」と「合格率」について


次に、社会福祉士国家資格の「受験概要」「合格率(合格者数)」などについて、詳しくご紹介していきたいと思います。

結論から先に言うと、近年の合格率は“30%ほど”であり、しっかりとした対策を取っていないと合格は難しいと言われています。

「学校」に通い「実務経験」必要とするなど、長い期間を経てようやく受験資格を得られるのですが、受験そのものも相当な難関となっています。

試験の概要について

まず、社会福祉士の国家試験は「毎年1月下旬ごろ」に行われています。
(願書の申し込みは、前年の9月上旬~10月上旬ごろまで)

合格発表は「3月中旬ごろ」です。

そして「受験料」は、「精神保健福祉士の有無or同時に受験するかどうか」によって変動があります。

◆「社会福祉士」のみ受験:15,440円
◆「精神保健福祉士」と同時受験:28,140円
◆「共通科目免除者」:13,020円

最後に「受験地」ですが、これは以下のように多くの地域で開催されています。

「北海道/青森県/岩手県/宮城県/埼玉県/千葉県/東京都/神奈川県/新潟県/石川県/岐阜県/愛知県/京都府/大阪府/兵庫県/島根県/岡山県/広島県/香川県/愛媛県/福岡県/熊本県/鹿児島県/沖縄」

受験地は数多く用意されているので、お住まいの地域から近い場所で受験を行うと良いでしょう。

「出題される問題」および「免除」について

多肢選択式となる学科試験ですが、その問題数・範囲は非常に幅広くなっています。

大まかにまとめると、以下から出題されます。

【精神保健福祉士との共通科目】
◆人体の構造と機能及び疾病
◆心理学理論と心理的支援
◆社会理論と社会システム
◆現代社会と福祉
◆地域福祉の理論と方法
◆福祉行財政と福祉計画
◆社会保障
◆障害者に対する支援と障害者自立支援制度
◆低所得者に対する支援と生活保護制度
◆保健医療サービス
◆権利擁護と成年後見制度

【社会福祉士のみの科目】
◆社会調査の基礎
◆相談援助の基盤と専門職
◆相談援助の理論と方法
◆福祉サービスの組織と経営
◆高齢者に対する支援と介護保険制度
◆児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度
◆就労支援サービス
◆更生保護制

上記に記載した通り、一部の科目は“精神保健福祉士と共通”しています。

既に「精神保健福祉士の資格を取得している」もしくは、「社会福祉士の資格取得(登録済みだけでなく登録申請中の人も含む)後に精神保健福祉士の試験を受ける」場合、共通科目は“免除”されます。

「合格基準」について

まず、配点は「1問1点の150点満点」です。
(免除を受けている人は、1問1点の67点満点となる)

その上で、以下の2つを条件を満たした人が合格者となります。

①:問題の総得点の60%程度を基準として、問題の難易度で補正した点数以上の得点を得た人
②:①を満たした人のうち試験科目18科目群(免除対象者は7科目群)の全科目に得点があった人

近年の「受験者数」「合格者数」「合格率」について

旺文社教育情報センターが公表している「2021年 社会福祉士 国家試験結果」に記載されている情報をもとに、第28回(2016年)~第33回(2021年)の「受験者数/合格者数/合格率」を表にしてまとめてみると、以下のようになります。

受験者数は年々減少していますが、合格率は「30%前後」と上がっています。

直近でもっとも合格率が低かったのは第25回(2013年)で、この時は受験者数「42,841人」に対して合格者数「8,058人」……つまり合格率は「18.8%」しかありませんでした。

数字を見れば一目瞭然ですが、社会福祉士国家試験の難易度がどれだけ高いかご理解いただけたかと思います。

学校に通う・実務経験を有する・養成施設で勉強する……これらの長い年月をかけても、この合格率です。

「社会福祉士を目指したい」と考えている人は、しっかりと試験対策を行い、万全の状態で受験に挑む必要があるのです。

まとめ

ここまでにご紹介した通り、社会福祉士を名乗るためには相当な年月を必要とし、難易度の高い国家試験に挑まなくてはなりません。

中には「精神保健福祉士とのWライセンスを叶えるべく、同時に受験をする人」もいます。

もちろん同時受験で2つとも合格する人はいますが、努力(勉強)量はさらに増します。

不可能ではありませんが、困難な道のりなのは間違いありませんので、もし「社会福祉士と精神保健福祉士のWライセンスを取得したい」と考えている人は、しっかりと計画を練って行動に移してみてください。
(無理に同時取得を狙わずに、個別で受験するのも一つの手段です)

ちなみに記事の冒頭でも記載した通り、社会福祉士は「名称独占資格」であり、資格がなくても相談業務などを行うことは可能です。

しかし、試験の合格率を見れば分かる通り、資格の有無は“知識”“経験”に大きな差を生むこととなります。

当然、“国家資格を所持=幅広い専門知識を備えた人材であることの証明”となるため、就職の際にも資格を所持している人の方が断然有利となります。

受験資格を得るためのルートは複数あるため、「社会福祉士になりたい!」と考えている人は、自身の状況も踏まえてる進むべき道を選択し、資格取得に向けて動き出してみてください。

タイトルとURLをコピーしました