以前の記事で、≪社会福祉士の多様な働き方≫についてご紹介をしました。
多様な働き方、そして就職先が多岐に渡るため「就職・転職先をどういう風に見つけていけばいいか分からない」という方もいらっしゃるかもしれません。
今回は、「就職先を選ぶ際のポイント・注意点」について詳しくご紹介していきたいと思います。
社会福祉士の需要は伸び続けている
まず初めに、社会福祉士の“需要=求人の状況”についてご紹介していきたいと思います。
結論から先に言うと、「社会福祉士の需要は伸び続けており、多くの求人募集がかかっている状態」です。
現代の日本は、数多くの社会問題が山積みとなっています。
介護、障がい、貧困、虐待、DVなど、何らかの理由で福祉の手助けを必要としている人が増加し続けており、それに合わせて社会福祉士は社会全体のいたる所からその必要性が求められるようになっているのです。
特に、2021年現在で問題視されているのは、「生活困窮者」と「高齢者人口」の増加です。
2020年から発生した「新型コロナウイルス」の影響で、生活困窮者(収入や資産が少なく、生活に困っている人)が増加し、福祉業界に務めている社会福祉士のもとへ助けを求める声が増え続けています。
そして“超高齢化社会”に突入している日本では、高齢者の人口増加に伴って「介護業界」からの需要が年々増加し続けています。
また「社会福祉士=相談・支援業務」は、その業務の特性上、機械に取って代わられることはありません。
このことから、社会福祉士の求人募集は日本全国に多様に存在し、これからもずっと必要とされる職業の一つと言われているのです。
どうやって仕事を探したらいいの?
仕事の探し方もさまざまな方法がある
就職先の探し方も、多様に存在します。
大別すると、以下が挙げられるでしょうか。
②ハローワークで情報を検索or担当員に相談する
③求人・転職サイトで仕事を探す
④求人情報誌で仕事を探す
基本的には「初めての就職時は①を利用し、転職時に②や③を活用する」という人が多いのではないでしょうか。
ただし、「公共施設(公務員)」と「民間企業」とでは、仕事の探し方に若干の違いがあります。
「公務員」の採用情報について
以下の記事でもご紹介しましたが、公務員は非常に人気の職業の一つです。
もちろん、国や自治体が管轄しているため、一般的な仕事の探し方(ハローワーク・求人・転職サイトなど)では求人募集を見つけることはできません。
そのため、公務員の採用情報は以下の手段を利用することとなります。
◆各自治体のホームページを確認する
◆公務員試験をまとめている情報サイトを閲覧する
ただし、「欠員が出た時にしか募集をしない」であったり「募集は年に1回のみ」など、自治体ごとにエントリーできる期間が定まっています。
(基本は、年に1回しかチャンスがない)
さらに、採用枠も非常に少なく、公務員試験の難易度は非常に高いです。
また“年齢制限を設けている”という自治体もあるため、誰にでも公務員になれるチャンスがある訳でもありません。
この点は自治体によっても募集要項が変わってきますので、お住いor勤務したい自治体の情報を自身で確認してみてください。
「民間企業」の採用情報について
こちらは「ハローワーク/求人・転職サイト/求人情報誌」など、さまざまなところから情報を仕入れることが可能です。
就職先も(対象を選ばなければ)多様に存在し、「実務未経験からでもOK!」としている企業も多いので、仕事探しは他職種に比べてもやりやすいかと思います。
ちなみに「求人サイト」と「転職サイト」の違いは、以下が挙げられます。
◆求人サイト:仕事探し~応募まで、全て自分で行う
【メリット】
・自分のペースで仕事探しができる
【デメリット】
・全てを自分で行わなければいけない
◆転職サイト:アドバイザーがおり、相談しながら仕事探しを行える
【メリット】
・仕事探し~採用後まで、アドバイザーに相談しながらことを進めることができる
【デメリット】
・アドバイザーとの相性がある(相性が良ければ仕事探しはグンとはかどりますが)
・頻繁に連絡が来る可能性がある
それぞれにメリット・デメリットがあるため、「どちらを利用するか?」は人それぞれの好みで選んでも大丈夫かと思います。
可能であれば、求人・転職サイトの両方でいくつか候補を上げ、複数のサイトで仕事探しを行うのが得策かと思います。
理由は「比較対象があれば、募集要件orサイトの良し悪しの判断がしやすくなるから」です。
「無資格でもOK!」には要注意!
社会福祉士の資格は「名称独占資格」のため、資格がなくても相談・支援業務に就くことは可能です。
ただし、資格がない場合は「社会福祉士」と名乗ることはできません。
詳細は以下にて。
このことから「無資格でもOK!」として、相談・支援業務を行う職員を募集している企業があります。
(特に介護業界が多い)
もし「社会福祉士国家資格を所持している」のであれば、こういう求人には募集をしない方が賢明かと思います。
理由は、“無資格=誰にでもできる仕事=給与や待遇が良くない”という可能性があるからです。
社会福祉士試験の合格難度は非常に高く、“資格を所持している=確かな知識・経験を得ている証明”となります。
資格所持者は、必ず「社会福祉士の資格を所持していることが応募の必須条件となっている」企業を選択し、できるだけ給与や待遇が良い企業を選ぶべきです。
そうでないと、やっとの思いで取得した資格がもったいないです。
活かせるものはきっちりと活かして、少しでも自分に優位となるように動いていくことをオススメいたします。
企業によって「呼び名」が変わる
求人を探す際にもう一つ注意しておくべき点は、「募集企業によって”呼び方”が変わる」という点です。
「社会福祉士」として募集をしているところもあれば、以下のような呼び名で募集をかけている企業もたくさんあります。
◆就労支援員
◆相談員
◆福祉職
◆メンタルパートナー
◆○○ソーシャルワーカー
◆介護スタッフ など
※介護に関しては、後述で詳しくご紹介します
もちろん仕事を探す際は「社会福祉士 求人」などで検索をかけて大丈夫です。
上記のように検索をしても、様々な呼び方で募集がかかっているということなのです。
後、社会福祉士は「ソーシャルワーカー」とも呼ばれており、「医療ソーシャルワーカー/スクールソーシャルワーカー」と呼称されることもあります。
また、福祉事業所の場合「ケースワーカー」、児童養護施設の場合「児童相談員」と呼ばれることもあります。
ただし呼び方こそ違えど、業務内容そのものに大きな違いはありません(対象が異なるだけ)。
呼び方が色々あるので困惑してしまいがちですが、社会福祉士としての仕事をお探しの場合は、「応募条件(必要資格)」と「業務内容」を確認してみてください。
応募条件を見れば「必須資格:社会福祉士」と記載されていますし、業務内容を確認すれば「相談・支援業務」といった文言が記載されていると思います。
これらを参考にして、社会福祉士の仕事を探してみてください。
介護業界における仕事探しの注意点
前項でもお伝えしたように、現在の日本は“超高齢化社会”に突入しており、高齢化がどんどん進んでいます。
また、核家族化も増加しており、一人暮らしの高齢者も増加傾向にあるため、介護を必要とする人の数は急速に増え続けているのが現状です。
そのため、介護業界での社会福祉士の需要は他よりも群を抜いて大きくなっています。
ただ、介護業界に就職・転職する場合は、一つ注意しておかなくてはいけない点があります。
それは「介護士」として、高齢者の“身体介護”や“生活援助”の業務にも携わる可能性が高いということです。
介護業界で社会福祉士の仕事を探していると、「社会福祉士」という名称以外……例えば以下のような名称で求人募集がかかっていることが多いです。
◆介護スタッフ
この場合は、求人紹介の「応募資格」や「業務内容」を確認してみてください。
資格としてあり得るのは、【歓迎案件】として「介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級以上)」などが記載されていることが多いです。
そして、業務内容を確認すれば「相談・支援業務」以外に、「利用者の介助や送迎のお手伝いもお願いすることがあります」などと記載されています。
ただ、この点は求人情報によっては記載がない場合もあります。
その場合は、事前に問い合わせの連絡を入れるか、面接時に質問してみるといいでしょう。
後は、「勤務時間」や「休日」にも注意が必要です。
「デイサービス」などの“通所施設”は日中のみの勤務となることがほとんどですが、「介護老人保健施設/特別養護老人ホーム」などの“入所施設”の場合は「早出/遅出/夜勤」が発生する可能性があります。
介護業界は、常に慢性的な人手不足に悩まされています。
社会福祉士として相談・支援業務が主な仕事となるのは間違いありませんが、介助業務にも携わる可能性も高いため、他の社会福祉士の業務に加えて身体的・精神的な負担は大きくなりがちかと思います。
ただし、上記はあくまで“可能性が高い”というだけであり、日中の相談・支援業務のみに従事できる事業所もあるにはあります。
「介護業界で社会福祉士として勤務したい」と考えている人は、必ず「どんな働き方がしたいか?」を明確にした上で、自分に合った求人を探してみてください。
社会福祉士の仕事を探す際のポイント
まずは「目的」をハッキリさせること
仕事探しをする上ではどんな職種でも同じではありますが、社会福祉士の場合は特に就職先の選択肢が多岐に渡るため、「どんな風に仕事を探せばいいか分からない」と感じてしまう人も多いかもしれません。
そのため、社会福祉士の仕事探しにおいてもっとも重要となるのは「仕事の目的を明確にすること」かと思います。
社会福祉士の仕事探しの時には、以下の3つで就職先の範囲を絞り込むことが可能です。
②「安定性」で選ぶ
③「需要」で選ぶ
それぞれ、個別にご紹介していきます。
「支援対象」で選ぶ
これまでに幾度もご紹介してきた通り、社会福祉士の仕事内容は“施設=相談対象”によって大きく変化します。
そのため「支援対象」によって、就職先を絞り込むことが可能となります。
◆障害者=障害者施設
◆児童 =児童福祉施設
◆貧困者=福祉事業所
などです。
この他にも、母子家庭を支援する施設や、DV被害者、外国人労働者、無戸籍者を支援する組織で働くことも可能です。
尚、対象者を特定せず、広く「地域全体を支援したい!」と考えるのでしたら、市役所などの行政機関や、各地域にある組織を統括する社会福祉協議会で働く道もあります。
「安定性」で選ぶ
もし「将来的に長く・安定した職場で働きたい」と考える人は、市役所や福祉事務所などの行政機関で仕事を探してみるといいでしょう。
勤務年数とともに給与が増額していき、賞与や各種手当などの福利厚生も充実しています。
また、国や自治体が先導して行っている「働き方改革」の影響を受けやすくもあるため、勤務時間(残業含む)や休みにもゆとりがあります。
経済的・肉体的・精神的……総じてゆとりが生まれることとなるため、非常に働きやすい環境で仕事ができるかと思います。
ただし上述でお伝えした通り、公務員になるためには公務員試験に合格しなければいかず、募集期間も限定的です。
採用率そのものに限りがあるため、狭き門となっている点には注意が必要かと思います。
「需要」で選ぶ
現在、そして今後の“需要”を見越して仕事を探すのであれば、圧倒的に「介護業界」がオススメとなります。
介護施設からは非常に多くの求人が出ていますし、社会福祉士の国家資格を所持しているならば就職・転職時にもかなり優位にことを進めていくことができるはずです。
それに加え、もし「介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)」や「介護福祉士」も所持していれば、介助もできる人としてより企業から必要とされる人材になり得るかと思います。
ちなみに、介護職に就くメリットの一つに“雇用形態が多様に存在する”といった点も挙げられます。
特に女性の場合は、結婚・出産・育児など、ライフイベントよって生活環境が変わりやすいです。
そのため、「自身のライフスタイルやその変化に合わせて、働き方を多用に変化させていける」ということも可能となります。
ただし、前項でご紹介したように「相談・支援業務の他に、介助も担当する可能性が高い」という点には注意しておきましょう。
介助は、精神面はもちろん体力も必要とする仕事です。
施設によってはシフト制で夜勤を担当しなければいけないこともあり、“生活リズムが狂いやすくなる”というケースも見受けられます。
介護業界で働きたいと考える場合は、まずはさまざまな求人・転職サイトで情報を集め、自分の目的に合った仕事先を見つけてみてください。
まとめ
働き方は多様に存在するため、社会福祉士の国家資格を所有している人は、自分の目的に合った就職先を見つけやすいかと思います。
また、仕事の探し方もさまざまにあるため、就職・転職時にもさまざまな企業と比較しやすく、自分に合った就職先も見つけやすいはずです。
ただし、選択肢が非常に多い分、逆に「勤務先を絞り込めない」と言った悩みも発生するかもしれません。
また企業ごとに社会福祉士の呼び方も変わるため、転職に慣れていない人が求人サイトを閲覧している場合、「これは社会福祉士の仕事なの?」と首を傾げるケースに出くわす可能性もあるかもしれません。
そういった時は、まず「自分は、どんな人を助けたいのか?」「将来的にどういう社会福祉士になりたいのか?」と言った“目的”を明確にしてみてください。
対象を絞り込めれば、例えば「社会福祉士 介護 求人」などでより絞り込み検索を行いやすくなり、仕事探しもはかどるはずです。
加えて、「助けたいと思う対象=勤務先が明確になった」のならば、その業種についても知見を広げてみてください。
◆給与や待遇はの相場はどのくらいなのか?
◆合わせて取得しておくと良い資格は何があるのか?
こういった点も明確になってくれば、より仕事探し中や就職後も有利にことを進めていくことができるようになるはずです。
ぜひ、知見を広げて、自分に合った社会福祉士の働き方を見つけてみてください。