「人」が、生きていく上で絶対に欠かせない行為の一つが「食事」です。
食事を通して、さまざまな栄養素を吸収することで、人は長く生きていくことができます。
ただ、現代にはさまざまな食材や料理が存在し、「何が今の自分にとって適切な料理(食材)なのか?」を判別するのが難しい時代となっています。
そんな人たちの、健康・栄養面のサポートをするのが「栄養士」の仕事です。
今回は、この「栄養士」の仕事内容や勤務先・働き方について、詳しくご紹介をしていきたいと思います。
「栄養士」ってどんな仕事をしているの?
概要
「栄養士」とは、その名の通り“栄養のスペシャリスト”のことを指しており、食事管理や栄養に関する指導・アドバイスに携わる人のことをいいます。
栄養士が勤務する施設については後述でご紹介しますが、なんにせよ各施設において、必要な栄養を考えながら毎日の食事メニューを決めたり、実際に厨房に入って調理を行ったりをしています。
主な業務について
この仕事のメインとなる業務は、2つに大別されます。
それが、以下です。
②「栄養指導」
順に掘り下げていきます。
「食事(栄養)の管理」について
まず、多くの栄養士のメインとなる業務は「食事(栄養)の管理」です。
ただし、一言で“管理”と言っても、行う業務の幅は非常に幅広くなります。
なぜなら、上記で「必要な栄養を考えながら……」と記載しましたが、“人によって必要な栄養は異なる”からです。
また、食事は老若男女を問わず、どんな人にも必要な生命活動の一つです。
そのため、勤務する施設において、それぞれの人に必要な栄養とは何かを考え、毎日の食事メニューを決めていく必要があります。
上記は、「献立作成」や「食事指導」も対象となりますし、場合によっては「調理師」として自ら調理に携わることもあります。
ちなみに、料理とは“ただ必要な栄養素を摂取すれば(満たしていれば)良い”という訳ではありません。
料理を“美味しく食べられるようにする”ことも意識しなければいけないのです。
そのため、「食の魅力や楽しみを伝えていく」ことも、重要な役割の一つと言えるでしょう。
「栄養指導」について
そしてもう一つ、「栄養指導」も重要な業務の一つとなります。
栄養のエキスパートである栄養士は、人々から食事についての相談を受けることが多くあります。
その際に、その人に合った提案やアドバイスを行うのです。
また、栄養士の中には、ジムなどで勤務する=アスリートなどを対象とした「スポーツ栄養士」や、子どもに対して“食の大切さ(=食育)”を教える栄養士なども存在します。
これらは以前に公開した「フードセラピスト」にも通じるところがあると思います。
フードセラピストに関する内容は、上記リンクより参照ください。
栄養士が対象とする人は、〇〇者である
ここで一つ注意しておくべき点があります。
それは、「栄養士が対象とする人は、”健常者”(=健康状態に問題がない人)であることが多い」ということです。
栄養士の勤務先は、病院や介護施設なども含まれますが、基本的には健康状態に問題がない人を対象として業務(指導やアドバイス)を行っていくことがほとんどです。
では、病気やケガなど、心身に問題を抱えている人に対しての食の指導・アドバイスは誰が行うのか?
それは、主に「管理栄養士」の仕事となります。
この仕事に関することをご存じない人からすると、“管理”栄養士とは「栄養士を束ねる人のこと」と誤解をしてしまうかもしれませんが、それは違います。
「管理栄養士」とは、“栄養士の上位資格”に位置付けられているのです。
そのため、それぞれで資格の取得条件も取得難度も大きくことなります。
この点については、改めて別の記事にて詳しくご紹介をしていければと思います。
栄養士は、どんな所で活躍しているの?
前項でもご紹介した通り、「食」は生きているすべての人に必要なものです。
だからこそ、栄養士が活躍する場は非常に多岐に渡ります。
大まかにまとめると、以下のようになります。
◆「学校」
◆「福祉施設」
◆「介護施設」
◆「給食会社」
◆「食品メーカー」
細分化すると、他にも勤務先は数多く存在します。
この時、一つ注意しておくべき点があります。
それは、「どこに勤務するかによって、業務内容に違いが発生する」ということです。
例えば、「給食会社」であれば、主な仕事は給食の献立作成となるでしょう。
「学校」であれば、子どもたちへの健康に配慮した給食作りを行っていきます(いわゆる昔ながらの”給食のおばちゃん”のようなイメージ)。
また、家庭科教論や保健の先生などと連携しながら、“食に関する指導”を行うこともあります。
「食品メーカー」なら、“健康に良い・栄養豊富な料理の提案・作成”などが主な仕事となるはずです。
最後に、「病院」や「福祉(介護)施設」の場合、病気の人や高齢者のための献立・メニュー作成に携わることになります。
特に、最後の「病院」や「福祉(介護)施設」の場合は、対象が病気の人や高齢者となることから、特に献立作成には最大限の注意を払う必要があります。
もし仮に不適切な食事を提供してしまえば“命にかかわる危険性”もあるため、ほかの専門スタッフとの連携も重要となってくるでしょう。
このように、栄養士としての根底は変わらずとも、勤務先によって業務内容は大きく異なります。
注意すべき点もそれぞれで異なるため、仮に「将来、栄養士になりたい」や「栄養士の転職先を探している」という人は、まず“自分がどんな仕事(どんな人たち)に携わりたいのか?”を明確にしておくといいかと思います。
栄養士の「働き方」について
次に、栄養士の「働き方」について、詳しくご紹介をしていきたいと思います。
ちなみに、結論から言ってしまうと「働き方も多種多様に存在する」こととなります。
「雇用形態」について
勤務先がさまざまに存在することも含め、この仕事の雇用形態は実に多種多様です。
◆パート
◆アルバイト
◆派遣社員
◆契約社員
また、この仕事は、男女比で言うと“女性”の方が多く活躍している傾向にあります。
(もちろん、男性の栄養士もいます)
女性は、結婚・出産・育児など、状況に応じてライフスタイルが大きく変化します。
このことから、ライフスタイルに合わせた勤務ができるようにと、雇用形態も多様に存在するのです。
ちなみに、中には「フリーランス」として活躍している人もいます。
この場合、食事に関する指導・アドバイスを行ったり、食(健康)に関する講演会を行ったりなどして、生計を立てている人が多いようです。
また、現在はWEBを活用したオンラインセミナーなどを行う人=在宅の栄養士も増えている傾向にあります。
YouTubeなどの動画投稿サイトでも、栄養士の人がさまざま食(健康)やダイエットに関する動画を投稿している様もみられ、働き方はどんどん多様化していると言えるでしょう。
お給料はどのくらい?
お給料に関しても、勤務先・雇用形態・働き方によってかなりの差が出やすい職業と言えます。
参考までに……ではありますが、栄養士の平均年収は「35.4歳で約357万円」と言われています。
※令和元年度の賃金構造基本統計調査による※
月収にすると、“切り上げ30万円ほど”となります。
ただし、栄養士として働いているすべての人がこの年収(月収)に近いわけではなく、上記よりも低水準で仕事を行っている人もいます。
もし、高めの収入を求めているのであれば、以下の方法をオススメします。
②「管理栄養士」の資格を取得する
②は、そもそも「菅理栄養士」は国家資格になるからです。
“国家資格を取得している=国に認められた知識・技術を有している証明となる”ため、栄養士よりも給与水準は高まる傾向にあります。
実際、栄養士として働いている人の多くは、最終的に管理栄養士の資格取得も目標としていることがほとんどなのです。
ただし、もちろんライフスタイルに応じて給与はもちろん雇用形態も変化するため、“給与が低い=働きづらい環境”に直結するとは限りません。
自分のライフスタイルに合わせて、勤務する先を選択していきましょう。
「勤務時間」や「休日」について
これも、勤務する施設・雇用形態によってさまざまではあります。
ただ、比較的決まった時間帯で働くことが多い職業ではあり、生活リズムは整いやすい傾向にはあると言えます。
例えば、一般企業に正社員として勤務した場合、「9:00~18:00」の勤務時間となることが多く(=8時間労働)、残業も基本的にはほとんど発生しません。
また、土日休みなどの“週休2日制”となることも多いかと思います。
「学校」で勤務する場合なども同様です。
学校の場合、基本子どもが学校にいない日・時間帯に勤務することはありません。
このように、勤務先によっては、正社員であっても比較的ライフスタイルは維持しやすいかと思います。
ただし例えば、「病院」や「老人ホーム」などの“24時間体制”で施設が運営されているところだと、話は大きく異なります。
この場合、入居している人たちの食事の管理を行う必要があるため、基本は「シフト制」となることがほとんどで、施設によっては“夜勤”や“早朝の勤務”などを行う必要も発生してくる可能性が高まります。
このように、勤務時間・休日に関しても、勤務する施設や雇用形態によってさまざまなため、職に就く前に「どんな働き方をしたいのか?」を自分自身で明確にしておく必要性があるかと思います。
まとめ
ここまでに記載した通り、栄養士の勤務先・雇用形態は多種多様に存在し、自分のライフスタイルに合わせて働き方を柔軟に変えていくことが可能な職業です。
「食」や「健康」というのは、人が生きていく上で絶対に必要不可欠な要素の一つです。
そのため、今後も栄養士の仕事がなくなることはありません。
だからこそ、将来的な意味も含め「栄養士を目指す!」のも良いかもしれません。
ただし、一つ注意しておかなくてはいけない点があります。
それは、「栄養士の資格取得者の数は、どんどん増加傾向にある」という点です。
いくら栄養士が世間に必要不可欠な職業であっても、“需要と供給がうまく嚙み合っていない状態”ではあるのです。
そのため、今後は「より専門性の高い栄養士が必要とされる」傾向にはあると思います。
この点については、次回以降に掲載する「栄養士のなり方・将来性について」の記事にて、詳しくご紹介できればと思います。