保育サービスにはさまざまな種類が存在し、そのすべてが「認可」と「認可外」に大別されます。
(認可されていない=認可外保育施設である)
“認可外”と聞くと、就職や転職を検討している人からすると少し不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、認可外だからといって良くないイメージを持つ必要は全くありません。
とはいえ、どんな仕事・職場であれ、仕事をする上では「メリット」「デメリット」が存在します。
今回は、認可外保育施設に勤務する上での「メリット」「デメリット」について、詳しくご紹介をしていきたいと思います。
尚、このサイトではこれまで「認可保育施設」「認可外保育施設」に関する記事を複数ご紹介してきました。
以下にそのリンクを貼っておきますので、気になる方はご覧いただければ幸いです。
「認可外保育施設」について
「特徴」
「認可保育施設=国が定めた一定の基準を満たしている施設」となります。
「認可外保育施設」は上記の逆であり、「国が定めた設置基準を満たしていないため、都道府県知事から認可されていない保育施設」のことを指しています。
認可外の特徴としては、以下のようなものが挙げられるでしょうか。
◆「保育室の面積」や「保育士資格保有者の割合」がゆるい
◆0歳児保育や夜遅くまでの延長保育などサービスが手厚い
◆独自の保育プログラムを取り入れている
国からの補助を受けられない代わりに、制約が少なく+事業主の裁量で保育を提供することができる……。
独自の保育をしていたり・保護者サービスに力を入れていたりと、認可外ならでは保育を提供しているのが主な特徴となります。
「種類」
一言で「認可外」といっても、その種類はさまざまであり、事業所ごとに特徴が異なります。
そのため、「認可外保育施設に就職・転職したい!」と考える人は、まず「どんな施設が認可外となるのか?」をしっかり把握しておくことが重要です。
以下に主な認可外保育施設の種類を記載しておきます。
◆「院内保育所」
◆「企業内(事業所内)保育所」
◆「託児所」
◆「ベビーホテル」
など
ちなみに、東京都や川崎市が独自の設置基準を設けて認定し、一部補助金を受けている「認証保育園」や「認定保育園」なども、認可外保育施設に分類されます。
また、上記で記載した「小規模保育園」「企業内(事業所内)保育所」は、市区町村が定める運営・設置基準を満たすことができれば、“認可保育施設”として補助金を受けることも可能となっています。
(2015年4月に始まった「子ども・子育て支援新制度」により)
このように、さまざまな種類がありますので、就職・転職の際にはきちんと確認をしておきましょう。
認可外保育施設に転職しても大丈夫なの?
「国の認可基準を満たしていない施設」と聞くと、中には「就職・転職しても大丈夫なの?」と不安を感じる人もいるかもしれません。
結論としては、認可外だからといって不安を感じる必要はありません。
というのも、「認可されない理由」もいろいろあるからです。
例えば、以下のような場合です。
◆「(基準は満たしており、認可申請も行っているが)自治体の都合で認可が下りない園」
◆「園独自のサービスを提供するため、あえて認可を受けない園」
など
上項でもお伝えした通り、「認可外=事業主の裁量で保育サービスを提供できる」という利点があります。
そのため、“あえて認可を受けずに”園独自のサービスを提供している施設もあるのです。
それに、認可外だからといって、何もかもが自由というわけでもありません。
●解説の際には、都道府県知事に届けを出す必要がある
●年に1回以上、施設の運営状況などを都道府県に報告しなければいけない
●施設への立ち入り調査を受けなければいけない
認可施設に比べれば緩やかではありますが、それでも「基準が設けられている」「指導監督もされる」といった点で、子どもの福祉のために必要なことは決められているのです。
そのため、認可外だからといって不安を感じる必要はまったくありません。
ちなみに、「認可外保育施設に期待されていること」についてですが、これは“待機児童問題を解消すること”となります。
認可保育園は、認可される基準がそもそも高いため、そう簡単に施設を増やすことはできません。
特に、都市部では“保育スペース(施設規模)”を確保することが難しく、これが待機児童問題につながっています。
(都市部の方が、待機児童数は多い)
それに認可施設の運営費は、“公的な補助金=税金”で賄われています。
多大な運営費が掛かることから、次々と認可保育施設を作ることも難しいのです。
しかし、認可外の場合は設置基準や運営基準が(認可に比べて)緩いため、企業なども含め参入しやすく・施設が増えやすいとされています。
このように認可外保育施設は、保育を必要とする家庭のために“保育の受け皿を増やす役割”を担っており、今後もその数は増加していくものと考えられています。
就職・転職する際の「メリット」とは?
次に、認可外保育施設に就職・転職する「メリット」について、ご紹介していきたいと思います。
まずは端的に要点をまとめてみると、以下のようなものがあります。
◆雇用形態の選択肢は幅広く存在する
◆保育士の負担が軽減する可能性がある
◆個性的な保育プログラムを取り入れている
順に捕捉を加えていきましょう。
メリット1.雇用条件は園によりけりで、好待遇な施設もある
後述のデメリットにも記載しますが、「雇用条件は施設により異なる」こととなります。
というのも、認可外保育施設は立ち上げの条件が(認可に比べて)緩く、いろいろな企業が参入しやすくなっています。
そのため、“経営母体がしっかりしているところ”ならば、好待遇で人材を雇っているところもあるのです。
特に「院内保育園」は”病院”が、「企業内(事業所内)保育所」であれば“株式会社”が経営母体となっていることが多く、より待遇が良く・働きやすい環境が整備されている可能性も高まります。
また、「企業内(事業所内)保育所」の場合、子どもを預けるのは“従業員が勤務する曜日=平日”となることが多く、土日祝などは保育施設側も休みになることが比較的多いかと思います。
(残業が少ない企業ならば、保育施設側も残業が少なくもなる)
メリット2.雇用形態の選択肢は幅広く存在する
認可外の場合、募集する雇用形態の幅も広いのが特徴です。
「正社員」はもちろん、「契約社員」「派遣社員」「アルバイト」「パート」など、様々な形で募集をかけていることが多く、希望の働き方に合わせて雇用形態を選びやすいかと思います。
雇用形態が変われば、働き方も大きく変化します。
◆「契約社員として、収入と働き方を両立させたい」
◆「派遣社員として、契約期間を設けながら実務経験を積みたい」
◆「アルバイト・パートなどで、家庭を優先させつつ仕事もうまく行っていきたい」
など。
施設によっては「正社員登用制度」を設けているところもありますので、「今は家庭を優先させつつ、将来は正社員として長く勤務したい」と考えている人にも、長く働けるチャンスがあるかと思います。
このように、正社員以外の働き方を検討している人にとっては、雇用形態の候補が広い方が職に就きやすいというメリットがあるのです。
メリット3.保育士の負担が軽減する可能性がある
これも施設によってさまざまではありますが、基本的に認可外保育施設は「大きな行事やイベントがない」ことが多いとされています。
その理由は、「定員数が少なく、施設規模も小さい施設が多い」からです。
例えば、「小規模保育園」はその最たる例です。
◆「対象児童は0歳~2歳児」
◆「マンションの一室など、施設規模が小さい」
このことから、認可保育施設と違い、大きな行事を行うことはほとんどありません。
そうなると、“行事のための準備がない(少ない)”こととなるため、残業や持ち帰りの仕事が少なくなるのです。
日々の保育業務に専念しやすく、精神的な負担も和らぐ可能性が高まるというメリットにつながります。
メリット4.個性的な保育プログラムを取り入れている
認可外保育施設の特徴の一つは、「事業主の裁量で保育内容を決めることができる」というのが挙げられます。
さらに、認可外と差別化するために、「施設独自の保育を取り入れている施設」も多いのです。
モンテッソーリ教育や英語などの「教育」に力を入れているところも多ければ、「ダンス」「リトミック」「体操」「楽器」などに力を入れている施設もあります。
就職・転職する際の「注意点」「デメリット」とは?
どんな物事でも同じことが言えますが、「メリット」が存在すれば「デメリット(注意点)」も存在します。
それは、認可外保育施設でも同じことです。
就職・転職時の注意点としては、以下が挙げられます。
◆夜遅くまでのシフトや休日出勤の可能性もある
◆残業や持ち帰りの仕事が多い施設もある
◆保育スキルが向上しにくい
◆「保育しにくい」と感じる場合もある
こちらも、順に捕捉を加えていきましょう。
デメリット1.給与が安い場合がある
補助金を受けることが原則できないため、認可外保育施設の収入の基本は、「利用者からの保育料」となります。
そのため、施設によっては「給料が低い」場合もあり得ます。
特に預かる子どもの数が減ってしまえば、当然保育料も減ってしまうため、「園の運営自体が危うくなる」可能性もあるのです。
ただし、メリットでもお伝えした通り、給与や待遇が良い施設もあります。
これは、施設や運営母体によって変化してくるので、仕事のお探しの方はしっかりと求人情報を確認するようにしましょう。
デメリット2.夜遅くまでのシフトや休日出勤の可能性もある
これも上記とつながってくるのですが、認可外保育施設は「経営を安定させるため、保護者サービスに力を入れている」施設が多いです。
例えば、「休日保育」や「宿泊を伴う保育」、「夜間保育」「24時間保育」など、保育時間を長く設けているケースです。
“勤務時間が長くなる=シフト制となる”ため、生活リズムが崩れやすくなる原因にもなりかねません。
デメリット3.残業や持ち帰りの仕事が多い施設もある
メリットと相反することを記載することとはなりますが、施設によっては「残業や持ち帰りの仕事が多くなる」場合があります。
なぜかというと、「園児獲得のため、個性的な保育プログラムや行事を行っている施設がある」ためです。
例えば、「ワークショップ」や「社会科見学」などを開催し、子どもの社会性を養う活動に力を入れているケースなどです。
個性的な保育プログラムや行事を組んでいる施設に勤めると、その分だけその準備に時間が掛かることが多くなります。
それが、残業や持ち帰り仕事の増加につながってしまうのです。
ただ、これは言い方を変えると「自身の保育に対する経験値が向上する」ということにもつながります。
さまざまな保育に対応できるようになれば、その分キャリアアップもしやすくなるでしょうから、「たくさん保育経験を積みたい」という人にはメリットとなり得るかもしれません。
デメリット4.保育スキルが向上しにくい
認可外保育施設は「保育スキルが向上しにくい」といわれています。
その理由は、以下が挙げられます。
◆「職員の全員が保育資格を所持しているわけではないから」
◆「認定保育園で行うような、大がかりなイベントや行事がほとんどないから」
そもそも施設規模が小さいところが多いので、日々の業務の繰り返しが多く(大切な業務ではありますが)、マンネリ化してしまう可能性もあるのです。
それが、後述のデメリットにつながります。
デメリット5.「保育しにくい」と感じる場合もある
基本的に、「施設規模が小さく、少人数の保育を行う」ことが多いとされる、認可外保育施設。
これにより「保育がしにくい」と感じる人も少なくありません。
例えば、「園庭がない施設」の場合、子どもたちを遊ばせるために、近くの公園に移動しなくてはいけません。
そうなると、常に安全管理に気を配らなくてはいけなくなります。
また、“施設が狭い=施設内でできることが限られてくる”ことにつながるため、日々の保育がマンネリ化してしまいかねません。
「狭い施設の中で、子どもたちに最大限楽しんでもらうためにはどうすればいいか?」
これを、ずっと考えていかなくてはいけないのです。
最後にもう一つ。
認可外保育施設は、“園児の入退園が頻繁に行われる”可能性が高いです。
なぜなら、「認可保育施設に空きが出たら、そちらに移る子ども(家庭)が多いから」です。
“入れ替わりが激しい=クラス運営がしにくい”というデメリットにつながります。
これが、総じて「保育がしにくい」と感じさせる要因となるのです。
まとめ:大切なことは「施設のことをよく知ること」である
以上が、「認可外保育施設に就職・転職する上での、メリット・デメリット」のご紹介となります。
認可外保育施設に就職・転職する際にもっとも気を付けるべき点は、「特徴は施設ごとに大きく異なる」という点でしょうか。
その種類が多いため、施設によって“保育の特色”や“勤務の条件”は多岐にわたります。
「認可外保育施設に就職・転職を検討している」という人は、さまざまな求人情報を確認し、自分に合った施設選びをすることが大切です。
分からないことがあれば、必ず施設側に確認を取るようにしましょう。
また「保育士」を目指している人は、認可外だけにとどまらず、認可施設も就職の候補に入れて情報収集するのも良いかと思います。
施設の数だけ、働き方も変わってきます。
ぜひ、自分に合った保育施設を選べるよう、知見を広げてみてください。
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