世の中のニーズに合わせ、現代ではさまざまな保育サービスが提供されています。
そして、そのすべては「認可」と「認可外」に大別することができます。
しかし、多くの人は「保育サービス」と一括りで考えてしまい、どういった施設が「認可」か「認可外」なのかを正確に説明できる人はあまりいません。
(そもそも認可外保育施設のことは意外に知られていません)
2つの違いや認可施設については、以前の記事にてご紹介をさせていただきました。
今回は「認可外保育施設」に絞って、さらに細かいご紹介をさせていただきたいと思います。
そもそも「認可外保育施設」とはなにか?
概要
“認可=認め・許可する”という意味ですが、認可外保育施設というのは「児童福祉法に基づく都道府県知事などの認可を受けていない保育施設」のことを指しています。
ただし、“認可されていない=良くないイメージ”を持つ必要はありません。
というのも、認可されるには“施設規模”や“定員数”など、一定の基準をすべてクリアしないといけないのです。
特に大都市では設置基準を満たすことが困難であることが多く、これが「待機児童問題」にまで発展してしまい、それをフォローするために「小規模保育園」や「家庭的保育事業」など、さまざまな保育サービスが発展してきたのです。
(小規模保育園は、現在”認可保育園”に指定されている)
認可外保育施設の特徴とは?
認可外保育施設の特徴は、以下のようなものが挙げられます。
◆「定員を上回った場合の選考方法」:選考方法は施設によって異なる
◆「事業目的」 ;目的は施設側が自由に設定できる
◆「保育料」 :施設(園)によって異なる
◆「補助金」 :原則なし
◆「保育資格所有者の割合」 :全職員が保育士資格を持つ必要はない(6割程度が資格所持者であれば良い)
◆「対象年齢」 :就学前の0歳~5歳児(園によって異なる場合がある)
◆「保育時間」 :施設によって異なる※宿泊を伴う保育・夜間保育が可能な園もある
端的にまとめると、「市区町村から補助金を受け取ることはできないが、保育方針を事業主が自由に決めることができる」でしょうか。
ただし、補助金に関しては“条件や地域によっては補助が出る”可能性もあります。
(基本は、補助はないと思っておいた方が良い)
これは条件や地域によって異なるため、気になる方は在住の自治体に確認を取るなどしてみてください。
保育内容に違いはあるの?
結論から言うと、同じ「保育サービスの提供」という点から、認可・認可外で保育内容が異なることはありません。
ただ、上項でもお伝えした通り「認可外保育施設は、保育方針を事業主が自由に決めることができる」という利点があります。
そのため、認可保育施設よりも「保護者のニーズを叶えやすい環境にある」といえます。
例えば、「宿泊を伴う保育の提供」や「夜間保育の提供」などです。
上記保育は、認可保育施設であれば行うことはできません。
このように、“保護者のニーズに沿った保育を提供しやすい”という利点から、優先的に認可外保育施設を選択する保護者もいらっしゃるのです。
認可外保育施設を見学する際のポイントは?
保育園を選ぶ際、必ず「事前に保育園を見学する」ことができます。
「認可」であっても「認可外」であっても、できる限り保育園見学を行い、「どんな施設なのか?」はしっかりと確認を取っておいた方が良いかと思います。
特に認可外保育施設の場合、「保育方針は事業主が自由に決めることができる」という特徴があるため、施設によって特徴はさまざまに異なります。
選ぶポイントとしては、以下のようなものが挙げられるかと思います。
②給食があるかどうか
③保育時間、延長保育の有無、休日日数
④保護者会や保護者同士の交流があるか
⑤保育士・職員の質
⑥緊急時の対応
⑦子どもたちの様子
⑧自転車やベビーカー置き場の有無や広さ
基本的に雑居ビルの中にあることが多いため、「広さ・日当たり・避難経路」などは、しっかりと確認しておいた方がいいかと思います。
後は、⑤の「保育士・職員の質」も大切です。
認可外保育施設の場合、職員全員が保育士資格を所有している必要はありません。
(全体の6割程度で良い)
また、保育士としての経験値も人や施設によって千差万別です。
特に「家庭的保育事業」など少人数で保育事業を行っている場合は、より職員の質には繊細になった方がいいかと思います。
運営する上での「メリット」とは?
次に、認可外保育施設の「メリット」について、いくつかご紹介をしていきたいと思います。
先に要点だけを端的にまとめておくと、以下のようなものが挙げられます。
②在住・在勤・在学の地域にかかわらず入園が可能
③保育時間、保育日数の柔軟な対応をしてもらえる
④一時保育、病時・病後時保育、シッターサービスなどのある園もある
⑤知育や英語など、「教育」に力を入れている園もある
⑥良い意味で「お客様」扱いでもある
順に捕捉を加えていきましょう。
メリット①:保育理由を問われない
ここまでにお伝えしてきた通り、認可外保育施設は「保育方針を事業主が自由に決めることができる」という利点があります。
認可保育園の場合、市区町村の「子ども子育て支援事業計画」に基づき計画的に設置されることとなり、基本的に「保育の必要性がある子ども」のみが入園できるのです。
しかし、認可外の場合は「保育の必要性がなくても入園することが可能」です。
例えば、空きさえあれば「朱老証明書がなくても(母親が働いていなくても)入園が可能」なのです。
そのため、休職中であっても入園の可能性が高まります。
メリット②:在住・在勤・在学の地域にかかわらず入園が可能
認可保育園の場合は、在住・在勤・在学の自治体に申請する必要がありますが、こちらの場合はそうではありません。
例えば、隣の区の認可外保育園に子どもを入園させることもできます。
これも認可外保育施設ならではのメリットといえるでしょう。
メリット③:保育時間、保育日数の柔軟な対応をしてもらえる
認可保育施設の場合、開所時間は“原則11時間”と定められており、宿泊を伴う保育や夜間保育などの提供も行っていません。
また、「希望の曜日のみ保育をお願いする」といった柔軟な対応をしてもらえる可能性も低いです。
その点、認可外の場合は、“保育時間・日数ともに柔軟な対応をしてもらえる”可能性があります。
もちろん施設の保育方針にもよりけりではありますが、希望の曜日を選ぶことができたり、早朝・夜間・休日保育にも対応している園などもあります。
これが「認可外の方が、保護者のニーズを叶えやすい」といわれる所以なのです。
メリット④:一時保育、病時・病後時保育、シッターサービスなどのある園もある
これも施設によりけりではありますが、提供している認可外施設もあります。
これのメリットは“卒園後も緊急利用ができる”という点です。
保護者にとっても子どもにとっても、以前お世話になった場所だと安心して預けることができます。
もちろんすべての認可外施設がそうではなく、求めているサービスを提供している施設を探す必要はありますが、困ったときの助け舟となることは間違いないでしょう。
メリット⑤:知育や英語など、「教育」に力を入れている園もある
基本的に、運営母体は「株式会社」の施設が多いです。
そして、各園ごとに「特色」を出していることもあります。
例えば、「幼児教室」であったり「インターナショナルスクール」が母体にあると、保育時間内に“お勉強”させてくれる園もあるのです。
もちろん、これも施設によってさまざまです。
「子どもには、しっかりとお勉強させてあげたい」と考える保護者は、こういった“特色”のある保育園を選択するのが良いかもしれません。
メリット⑥:良い意味で「お客様」扱いでもある
上記の通り、認可外施設は「株式会社立」の園が多いです。
(認可園でも最近増えてはいますが……)
なんにせよ、株式会社立の保育施設は“保育=サービス”として捉えているところが多い印象です。
施設によっては、「園行事が少ない」「保護者会がない」「個別で用意するものが少ない」など、保護者の負担を少なくする工夫がされているところもあります。
運営する上での「デメリット」とは?
最後に、認可外保育施設の注意点(デメリット)についてです。
こちらも先に要点をまとめておくと、以下のようになります。
②保護者の負担が増加する場合もある
③施設や人員など、質にばらつきがある
こちらも、順に捕捉を加えていきたいと思います。
デメリット①:保育料が高い
“公的に認可を受けていない=公的資金補助がない”ということになります。
つまり、収入源は「基本的に保護者からの保育料のみ」となるのです。
このことから、どうしても認可保育施設に比べて、保育料が高くなってしまう傾向にあります。
デメリット②:保護者の負担が増加する場合もある
最たる例は、「給食やおやつの提供」でしょうか。
認可外保育施設では、「お弁当持ちで子どもをお預かりする施設」も少なくありません。
もしくは、給食代+おやつ代で別途費用を請求するか……。
施設の規模の関係上、どうしても給食を提供することが難しい施設も存在するのです。
保護者の負担といえば、保育料の高さも挙げられます。
例えば、認可外施設の場合は、まず入園金(20,000円~30,000円ほど)を払うこととなります。
そして、月極の保育料は、50,000円~80,000円……多いところでは100,000円近くする園もあるのです。
認可施設の場合、保育料は「世帯収入によって調整される」こととなりますが、認可外の場合は「園によって異なる」こととなります。
どちらにしろ、認可施設に比べて保育料は高くなるので、どうしても家計に影響を及ぼしてしまう可能性があるのです。
このように、保護者の負担が増加する可能性がある点には、注意が必要といえます。
デメリット③:施設や人員など、質にばらつきがある
上項でもお伝えしたように、認可保育施設は「職員全員が保育士資格を所持していなくても良い」こととなります。
また、保育経験も人によって千差万別ですし、小規模運営を行っている施設もあるでしょう。
加えて、職員の異動が頻繁に行われる施設なども存在します。
認可施設の場合は、全員が保育士資格を所持していますし、職員の人数も多いため、職員同士でサポートし合う(経験が足りない人を指導する)ことができます。
しかし、認可外の場合は(特に施設規模によっては)それができない場合もあるのです。
つまり、「職員や人員など、質にばらつきがある」ことにつながってしまうのです。
これについては、見学をして気にある点があれば、随時質問をして判断するしかないと思います。
その上で、例えば質問の回答が不明瞭であれば、候補から外すなどを考えてみてもいいかもしれません。
まとめ
以上が、「認可外保育施設の特徴、運用時のメリット・デメリット」のご紹介となります。
認可外保育施設のことは、まだまだ世間一般の認知度としては低いとされています。
とはいえ、認可外保育施設ならでは“良い面”も存在するのです。
(もちろん、同時に気になる面も存在する)
大切なのは、“しっかりと情報収集を行い、知見を広げること”です。
子どもを預けるには、いろいろな選択肢があります。
「認可だから」、「認可外だから」と決めつける必要はありません。
ぜひ、自分たちにあった保育所選びができるよう、さまざまな情報を収集してみてください。