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「介護疲れ」は誰にでも起こり得る?原因や対処法について解説します!

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現代の日本は、少子高齢化によって高齢者が増えており、それと同時に“介護を求める人”“介護をする人”が増え続けています。

そして、介護をする人にとって注意しなければいけないのが、「介護疲れ」です。

介護疲れとはなんなのでしょうか。

そして、どうすればその負担を軽減することができるのでしょうか。

今回は、この点について、詳しくご紹介をしていきたいと思います。

「介護疲れ」とはなんなのか?

概要


「介護疲れ」とは、その名の通り「介護を行うことにより身体的・精神的な負担を抱え、疲労すること」を指しています。

少子高齢化が進み続ける日本にとって、高齢者の介護は大きな課題の一つとなっています。

なぜなら、「介護を必要とする人が増えていく一方で、介護を担う世代が不足し続けている」からです。

尚、“介護=高齢者”というイメージを持たれている人もいるかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。

病気や怪我が原因で、突然に“介護が必要となる”場合もあるのです。

介護を行う=付きっ切りで介護を行うことも多く、またお金も必要とします。

そのため、誰かに任せたり協力を得ることができない場合も多いのです。

また、介護を仕事としている人ならばともかく、それ以外の人は“介護を行う行為”そのものに慣れていない人がほとんどです。

そのため、肉体的にも精神的にも、大きな負担となる可能性があります。

この負担が増大していき、深刻な問題へと発展してしまうこともあるのです。

介護者の多くが「介護疲れ」を感じている

例えば、厚生労働省による2016年度の「国民生活基礎調査」によると、同居している主な介護者のストレス状況において、ストレスが「ある」と回答したのは“68.9%”、「ない」と回答したのは“26.8%”と発表されていました。

最初は家族のために頑張って介護をしていたとしても、長期化し介護量が増えてくると負担はどんどん増大していきます。

また、介護をしていることを周りになかなか相談できずに、一人でストレスを抱え込んでしまう方も大勢います。

実際、在宅介護では「悩みやストレスを抱えている方は、実に70%近くいる」とされているのです。

介護疲れがまねく「問題」とは?

介護疲れがまねく問題として、以下の3つが挙げられます。

①「介護うつ」
②「介護離職」
③「介護事件」

順に補足を加えていきます。

問題①「介護うつ」

特に多くの人の問題となり得るのが、この「介護うつ」……つまり「介護疲れが原因となってうつ症状を引き起こすこと」です。

上述にも記載した通り、介護は肉体的な負担だけでなく、精神的な負担もかかることとなります。

特に「認知症介護」は、常に見守りが必要だったり、言っていることを理解してもらえなかったり、時には赤の他人扱いされてしまうこともあったりと、介護者がストレスや不満を感じやすいとされています。

※「認知症」については、以下を参照ください※

「うつ病」であるため、放っておくと介護者自身もどんどん精神的に疲弊していってしまいます。

特に介護うつがまねく症状としては、以下が多いでしょうか。

◆「食欲不振」
◆「睡眠障害」
◆「疲労感」
◆「焦燥感」
◆「思考障害」など

イライラすることが増えたり、ネガティブな思考にも陥りやすく、自身の生活にも大きな影響を及ぼす可能性が高まってしまいます。

問題②「介護離職」

「介護離職」というのは、「介護を理由に仕事を退職すること」です。

口では簡単に言えるものの、仕事と介護を両立させることは非常に難しいです。

仮に在宅勤務している人であっても、仕事の手を止めて家族の介護をしなければいけないので、そう簡単に両立できるものではないのです。

それに、“介護者自身の生活”もあります。

単純に、普段行っている生活に加え、家族介護を必要とするのですから、介護者自身の負担が増大しないわけがないのです。

そのため、必然的にこれまで行ってきた生活の何かを切り捨てなければならず、その選択肢の一つとして“退職”が挙げられるというわけです。

また、はじめのうちは仕事と介護の両立ができていたとしても、介護疲れが深刻になれば、いずれは両立が困難になり仕事を退職する方も少なくありません。

仕事を退職すると、今度は収入が減り、経済的な問題を抱えることとなってしまいます。

介護による離職が、経済的な問題を引き起こす悪循環につながってしまうのです。

問題③「介護事件」

あまり言葉にしたくはありませんが……、実際に介護疲れが深刻化して“事件”に発展するケースもあります。

肉体的・精神的・経済的な負担が増大し、「介護のストレスを抱えきれない」ことで、起こり得る可能性があるのです。

特に多いのは、要介護者への虐待です。

「高齢者虐待防止法」では、高齢者への虐待は以下の5つが分類されています。

◆身体的虐待
◆心理的虐待
◆介護放棄による虐待
◆性的虐待
◆経済的虐待

介護疲れが原因で、このような虐待行為に至ってしまうケースは少なくありません。

また、虐待事件が発展しさらにエスカレートすると、殺人事件や無理心中といった悲惨な介護事件に至ってしまう恐れもあります。

介護をする側も、介護される側と同じ「人間」です。

生活困窮に陥り、介護うつなどで精神状態が乱され、肉体的にも負担がかかる……。

そういう状態が長く続いてしまうと、(あってはならないことですが)発展しうる可能性も否定はできないのです。

だからこそ、1人で抱え込まずに、介護疲れが深刻化する前に対処しなければいけないのです。

介護疲れの「4つの原因」について


介護疲れに陥る原因は、以下の4つが挙げられます。

①「身体的負担」
②「精神的負担」
③「経済的負担」
④「認知症介護の負担」

こちらも、順に補足を加えていきます。

原因①「身体的負担」

要介護者の状態にもよりますが、介護ではさまざまな場面で介護者の身体に負担がかかることとなります。

代表的なものでいえば、以下が挙げられます。

◆着替え
◆起床時の介助
◆移動時の介助
◆体位を変えるための介助
◆入浴の介助
◆食事の介助

また、状況によっては夜間の介護も必要な場合があり、十分な睡眠が取れずに体の疲れが溜まっていく可能性もあります。

原因②「精神的負担」

要介護者とのやりとりの中で、精神的な負担が発生する可能性があります。

そして、それ以外にも、身内や親戚とのやり取りやケアマネージャー・サービス提供責任者・介護スタッフとのやり取りをする場面も多くなるはずです。

仮に家族内で介護を行うこととなったとしても、介護に関するアドバイスをもらえることから、ケアマネージャーには介護の相談には行った方が良いです。

介護そのものに対する精神的な負担に加え、介護者にはさまざまな立場の人と頻繁にやり取りする時間を作る必要があり、それが精神的な負担となることがあります。

原因③「経済的負担」

上述でご紹介した「介護離職」もそうですが、介護するためにはさまざまな費用が発生することとなります。

例えば、家庭内で介護を行う場合、介護用のベッドを用意したり、介護の負担を軽減するためにバリアフリーの住宅に改装するなどです。

また、仮に介護施設(訪問介護・デイサービス・居宅介護支援・施設入居など)を利用するとなっても、当然ながら費用が掛かることとなります。

介護保険を利用することで、ほとんどのサービスが収入に応じて1割~3割の負担で利用できますが、それでも大なり小なりの費用が掛かることは間違いなく、実費で諸々の出費が重なります。

原因④「認知症介護の負担」

要介護者が「認知症」を呈している場合、さらに肉体的・精神的な負担は増大することとなります。

コミュニケーションを取ること自体が難しい場合もあり、徘徊などを行うこともあるため、特に注意して介護を行わなくてはいけません。

介護疲れを軽減するにはどうすればいい?

介護疲れが深刻化すると、さまざまな問題へと発展してしまうため、そうなる前に対策を講じることが大切です。

①「介護サービスを利用する」
②「介護スキルを身に着ける」
③「施設入居も視野に入れる」

こちらも、順に補足を加えていきます。

対策①「介護サービスを利用する」

自宅で介護をするのであれば、訪問介護などのサービスを利用するのも良いでしょう。

体に負担のかかる介護をプロの介護士にお任せすることができますので、肉体的にも精神的にも負担は軽減できるはずです。

また、介護保険制度も利用できますので、経済的な負担も多少は軽減できるかと思います。

対策②「介護スキルを身に着ける」

介護に関する知識やスキルがない状態でいきなり介護を行おうとすると、肉体的にも精神的にも負担は増大してしまいます。

そのため、事前にある程度の介護スキルを身に着けておくといいかと思います。

介助というのは、介護する側にも負担がかかりますが、逆に無理な介助は要介護者にとって負担となる可能性があります。

正しいスキルを持って介助を行えば、双方にとって負担が軽減できるのです。

介助の方法は、インターネットで調べれば情報はいろいろと確認できます。

また、介護保険サービスを利用している方ならば、ケアマネージャーや介護職員に介護のコツを聞いてみるのも一つの手段です。

医療系の介護保険サービスを利用している場合、看護師や理学療法士からもアドバイスを受けられるはずです。

活用できるものは、最大限活用していきましょう。

対策③「施設入居も視野に入れる」

介護は毎日行わなくてはいけないため、どれだけ対策を施していても、積もり積もって大きな負担となる可能性があります。

「負担が増大していく」「なかなか負担が軽減されない」と感じるようであれば、施設入居も視野に入れておくのも良いかと思います。

できれば、可能な限り早い段階で入居できる施設を検討しておくのが理想となります。

なぜなら、“介護者が限界を感じてからでは遅い”からです。

事前に選択肢の幅を広げておけば、気持ちの負担はある程度でも軽減されるはずです。

また、中には「施設に預けるのに抵抗がある」という方もいるかもしれません。

しかし、施設ではプロの介護スタッフから適切な支援を受けることができますし、最近ではさまざまなタイプの介護施設が開設されているので、理想の施設を見つけられるかもしれません。

“相談しておく”だけでも負担が軽くなる場合もありますので、まずは話を聞いてみることから始めてみてはいかがでしょうか。

大切なことは「一人で抱え込まない」こと

介護疲れを軽減する上でもっとも大切なことは、「一人で何もかもを抱え込もうとしない」ことです。

介護には多くの時間と労力が必要となるため、今まで関係性を保っていた人たちともこまめな連絡が取れずに、いつの間にか孤立してしまっていることがあります。

また、介護していることを周囲に相談できない人もおり、そうなるとどんどん視野が狭まってしまうこととなります。

プロの介護士でもない限り、“介護に慣れている”という人はそうはおらず、多くの人が何かしらの負担を抱えてしまいます。

特に、問題が起きたときに解決できる方法が思いつかずに、立ち往生してしまことが多いのです。

だからこそ、「介護について気軽に相談できる場を作っておく」ことが重要となります。

家族や知人でなくても、相談できる先は数多く存在します。

◆近隣の方や民生委員
◆地域包括支援センター
◆居宅介護支援事業所(ケアマネジャー)
◆医療機関の相談室(ソーシャルワーカー)
◆市役所や区役所などの自治体
◆家族介護の会などのコミュニティー

介護問題が発生する前に、上記のような相談先を積極的に利用してみてください。

後は、「自分の時間を持つ=息抜きをする」ことも大切です。

介護は毎日行うものであり、積もり積もって大きな負担(ストレス)となる可能性があります。

介護をすべて自分一人で行う必要はありませんし、介護する側にも息抜きは絶対に必要です。

介護者の「レスパイトケア」のために、訪問介護・デイサービス・デイケア・ショートステイなどを利用してみましょう。

「レスパイトケア」とは、「介護者が一時的に介護から解放され、リフレッシュする時間を作れるようにする支援」のことを指しています。

介護者自身の気分転換にもなりますし、要介護者にとって体を動かしたり・他者との交流の機会を持てたりして心身機能維持のためにも効果的となり、どちらにとっても有益です。

介護保険サービスを最大限活用し、少しでも負担を軽減できるよう工夫してみてください。

まとめ

以上が、「介護疲れの原因・対処法」に関するご紹介となります。

介護疲れに陥りやすい人の特徴として挙げられるのは、「一人で抱え込んでしまう人」、そして「家族のことを思って頑張りすぎてしまう人」です。

「周囲に相談できる人がいない」「弱音を吐けない」「自分が頑張るしかない」

ストレスは蓄積し、いずれ限界を迎えてしまうため、そうなる前に息抜きできる方法を見つけておく必要があります。

自分一人で介護を行う必要はありませんし、介護を一人きりで行う必要もありません。

介護する側だって人間なので、まずは自分自身のケアを第一に考えて介護方法を模索したってなんの問題もありません。

あなた一人が頑張りすぎる必要はないのです。

幸い、現在はさまざま介護支援施設が存在し、相談できる先もたくさんあります。

介護保険サービスを最大限活用して、できる限り介護者の負担を軽減できるよう、工夫してみてください。

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