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「介護」と「仕事」って両立できる?負担軽減の方法・活用できる支援制度について解説します!

この記事は約13分で読めます。

人は生きている限り必ず歳を取り、いずれは介護が必要となるときが訪れます。

両親など家族の介護が必要となったとき、問題となるのは“仕事との両立”です。

「介護と仕事を両立されることは、負担が大きすぎて無理……」

「でも、介護のために仕事を辞めたら生活ができなくなる……」

特に、介護の経験がない人ならば、より不安が募ってしまうはずです。

◆介護と仕事を両立させることはできるのか
◆どうすれば、負担を軽減することができるのか
◆活用できる支援制度はあるのか

今回は、こういった点について、詳しくご紹介をしていきたいと思います。

「介護」と「仕事」は両立できるの?

結論:不可能ではないが厳しい場合が多い


まず結論からお話すると、「介護と仕事の両立は、不可能ではないが厳しい場合が多い」となります。

仕事であれ介護であれ、それぞれ何かしらの負担を強いることになります。

片方だけでも肉体的・精神的な負担がかかるのに、その両方を同時進行で進めていくとなれば、当然負担はより大きくなってしまいます。

加えて、介護する側にも“自分の生活”があります。

介護する人も人間なのですから、リフレッシュだって必要ですし、趣味など自分の好きなことにだって時間を使いたいはずです。

とはいえ、「仕事」「介護」「生活」そのすべてをバランスよく行っていくことは難しい……。

結局、どれかに費やす時間を減らすしか方法がないのです。

ちなみに、介護をしている方の中には「ダブルケア」に悩まされている人も少なくありません。

「ダブルケア」というのは、“育児と介護を同時に行うこと”を意味しており、その数は増加傾向にあるといわれています。

その理由は、女性の晩婚化や子どもを産む年齢の高齢化などが挙げられます。

近年は核家族化の影響もあって、親戚との関係も希薄になりがちな家庭も増加しています。

「仕事」「介護」「家庭」「育児」など、なにかを同時進行で進めていかなくてはいけないケースが多く、そうなると必然的に介護者の負担は増大していくのです。

「介護離職」が社会問題になっている

「介護離職」というのは、「介護と仕事の両立が困難となって、家族介護のために会社を退職すること」をいいます。

これが、現在は社会問題にまで発展しています。

その最大の理由は、「少子高齢化」が進行し続けている点にあります。

多くの場合、親の介護が必要となるのは、40代~50代の働き盛りです。

企業にとっては、経験を積んだ中堅社員が抜けるため、大きな損失となってしまいます。

そして離職者側にとっても“収入源がなくなる”ことから経済的に困窮する状態に陥る可能性があり、場合によっては生活保護に頼らざるを得ないケースもあります。

少子高齢化はこれからもどんどんと進み、高齢者の数は確実に増加していきます。

このことから、看過できない社会問題の一つとして懸念されているのです。

国の支援制度は増加している

ネガティブな話題から入ってしまいましたが、介護と仕事の両立は“厳しい”であって“不可能”ではありません。

なぜかというと、日本にはさまざまな介護を支援するための制度が整ってきているからです。

健康寿命を延ばすための取り組みが行われたり、要介護状態になったときに安価にサービスを受けられる「介護保険制度」があったり。

介護離職者が増えれば、離職者当人はもちろん、企業(経済)にとっても悪影響となってしまいます。

そのため、従業員が介護離職しないような支援への取り組みが進められているのです。

これら制度やサービスを上手く活用していくことで、介護と仕事を両立させることも不可能ではありません。

「介護」と「仕事」を両立させるコツについて


いくら社会的な取り組みが進んでいるとは、やはり介護と仕事(家庭)を両立させる厳しいのが現状で、両立させるためには工夫が必要となります。

その“両立のコツ”としては、例えば以下が挙げられます。

①「両立支援制度を利用する」
②「介護しながらできる仕事を探す」
③「介護保険サービスを利用する」
④「ケアマネージャーや家族に相談する」
⑤「介護の知識を身に着ける」
⑥「自分の時間を確保する」
⑦「親が元気なうちから介護について話し合う」

順に解説していきます。

①「両立支援制度を利用する」

両立させるためのコツの一つは、「仕事と介護の両立支援制度を利用する」ことが挙げられます。

日本には、「育児・介護休業法」という法律があります。

上記をもとに、企業側は“育児や介護が必要な従業員に対し、短時間勤務や夜勤の免除などを認める制度を作る”ことが義務付けられているのです。

例えば、以下のようなものがあります。

◆夜勤を免除する
◆一定期間の休暇を与える
◆労使の相談のもとで休憩時間を延長・変更する
◆残業時間を制限できる

ちなみに、この制度を利用したことを理由に解雇・降格・減給などの“利用者が不利益となる扱い”をしてはならないということも規定されています。

ただし、詳しい内容は企業によって異なります。

詳細は就業規則にて確認ができるので、気になる方は事前に確認を取っておくことをオススメいたします。

②「介護しながらできる仕事を探す」

両立支援制度を利用したとしても、環境によっては「仕事と介護の両立」をすることが難しい場合もあるかもしれません。

その場合は、“働き方を変える”ことを検討してみるのもいいかもしれません。

例えば、「融通の利く職場に転職する」などです。

職場によっては、両立がしにくい環境であったり、融通の利かない場合もあるかもしれません。

しかし逆に、介護に理解がある企業も存在します。

介護を強いられている事情を伝えて、企業側がどんな反応をするかで「介護への理解」があるかを判断してみるのもいいかもしれません。

また、人によっては「派遣社員」として仕事をしてみるのも一つの手段といえます。

“派遣社員=非正規雇用の代表格”としてあまり良いイメージを持っていない人もいるかもしれませんが、“融通が利く”という点では優れた働き方の一つであるともいえます。

◆比較的、時給が高い
◆労働者の都合に合わせてシフトの融通が利きやすい
◆仕事探しを派遣会社が手伝ってくれる(場合もある)

など、うまく活用すれば、介護の必要性がある方にとっての有力な選択肢となり得ます。

どの道を選択するかは、人によってさまざまです。

自身や周囲の環境を把握しながら、自分に合った方法を模索してみてください。

③「介護保険サービスを利用する」

上記でご紹介した「両立支援制度」を活用したり、「働き方を変える」などを選択しつつ、合わせて「介護保険サービス」の利用も検討してみてください。

これは、2000年から始まった介護保険制度に基づく介護サービスのことで、利用者の収入状況に応じて“1割~3割の自己負担で安価に介護サービスを利用する”ことができます。

サービス内容としては、例えば以下が挙げられます。

◆「訪問介護(ホームヘルパー)」
◆「通所介護(デイサービス)」
◆「通所リハビリステーション(デイケア)」
◆「短期入所生活介護(ショートステイ)」
◆「福祉用具貸与」
◆「特定福祉用具販売」
◆「住宅改修」
◆「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」など

上記はあくまで一例であり、他にもさまざまなサービスが存在します。

これは、介護を必要とする人の状態に合わせたサービスを組み合わせて利用されますので、不安や悩みを抱えている方は、市町村役場や地域包括支援センターに相談してみてください。

もしかしたら、何かしらの解決方法を見出せるかもしれません。

④「ケアマネージャーや家族に相談する」

介護を行う上でもっとも重要なのは、「一人で何もかもを抱え込まないこと」です。

一人で抱え込んでしまうと「介護疲れ」を引き起こす原因にもなりますし、深刻化すれば「介護うつ」なども発症しかねません。

※「介護疲れ」「介護うつ」については、以下記事を参照ください※

まして、仕事に加え慣れない介護も同時に行うのですから、介護者の負担はより大きくなるはずです。

そのため、一人で抱え込まずに、ケアマネージャーや家族に相談することをオススメします。

“ケアマネージャー=介護保険制度の専門家”です。

介護に関するさまざまな困りごとを解決するために、介護保険サービスなどを組み合わせたケアプランを作成してくれます。

ただし、介護保険サービスも万能ではなく費用も発生するため、すべての介護を任せっきりにすることは難しいです。

そのため、家族や近くに住む親戚などにも事情を説明し、協力してもらいながら介護を行っていく必要があります。

介護とは一人で行うものではありません。

活用できるサービスを最大限に活かしつつ、家族間でうまく役割分担をして、一人一人の負担を軽減していくことを考えてみてください。

⑤「介護の知識を身に着ける」

仕事で介護を行っている人でもない限り、人生の中でそう何度も介護の経験をすることはないはずです。

そのため、いざ介護をするとなったときに「なにを・どうしたらいいのか分からない」と頭を悩ませてしまうことも多いかと思います。

知識や技術がない状態でいきなり介護をスタートすると、より肉体的・精神的な負担は増大してしまいます。

また、要介護者とのコミュニケーションが上手に行えず、ストレスを抱えてしまう可能性もあります。

そのため、介護経験者からスキルや心構えについて聞いてみたり、自分でも事前に知識を習得しておくことをオススメいたします。

“知る”ことと“実践する”ことはまた意味合いが異なりますが、それでも“無知”の状態でいきなり介護を行うよりはスムーズに進められるようになるはずです。

また、自治体が「家族のための介護教室」などを主催していることもありますので、地元の広報などもチェックしてみてください。

⑥「自分の時間を確保する」

「仕事も介護も自分の生活のことも考えなければいけないのに、自分の時間を確保するなんて無理!」と考える人もいるかもしれませんが、それでもできる限り“自分の時間を確保する”ことも考えてみてください。

なにごとにも言えることですが、「頑張り過ぎないこと」が大切なのです。

“頑張り過ぎる=自分を追い詰める”こととなってしまいます。

それが積もり積もって、「介護疲れ」や「介護うつ」を引き起こしかねないのです。

仕事も介護もどちらも大切なことなのは理解できますが、だからといって“自分を犠牲にする”ことは意味が違ってきます。

介護をする側も「人間」であり、時には息抜きだって必要なのです。

そもそも、介護者自身が心身ともに健康でないと、良質な介護や仕事の両立は実現しないと思います。

介護保険サービスもうまく活用したり、家族の協力を得たりなどして、できる限り介護者自身の“心身の健康を保つ=自分の時間を確保し休息をとる”ことを意識してみてください。

⑦「親が元気なうちから介護について話し合う」

人は必ず歳を取り、いすれは介護が必要となるときが訪れます。

そして、(事故や病気などよほどのことがない限りは)子どもより親の方が“介護を必要とする時期が早く来る”ことは確実です。

介護が必要となってから介護のことについて話をすると、話がまとまらない可能性が高まってしまいます。

まして親が「認知症」になってしまうと、それこそ円滑にコミュニケーションが取れなくなってしまうはずです。

だからこそ、「親が元気なうちから日常生活の中で介護に関する話題を振り、親の価値観や過ごし方について情報を集めておく」ことが大切なのです。

介護とは、子どもだけで勝手に決めるものではなく、逆に親が一方的に望むものを必ずしも提供できるわけでもありません。

どちらにとっても納得できる“妥協点”が必要となるのです。

◆在宅介護を望んでいるのか
◆施設に入るにしても住み慣れたエリアを離れたくないか
◆どのような設備の施設に入りたいか

など、できる限り親が元気なうちから将来について話し合っておくことが大切です。

「介護離職」は避けるべきなのか?


「介護離職」というのは、その名の通り“介護のために仕事を辞めること”を指しています。

介護をするとなったときに介護離職を検討する方。

仕事と介護の両立で負担が増大し、結果として退職される方。

いろいろな方がいるかと思いますが、結論をいうと“介護離職はなるべく避けるべき”だと思います。

なぜなら、「介護者自身の”社会とのつながり”や”収入”を失うことになる可能性がある」からです。

仕事を辞めてしまえば、当然収入は入ってきません。

その後の生活費は、今までの貯金を切り崩していくか、要介護者が受給している年金に頼るしかありません。

しかし、要介護者がお亡くなりになってしまうと、年金の支給はストップしてしまいます。

そのため、中には生活保護を受けざるを得なくなる人もいるのです。

そして、仕事を辞めて介護だけに専念するとなれば、社会とのつながりが希薄になってしまいます。

“社会とのつながり=人と接する機会”が激減してワンオペ介護となれば、より肉体的・精神的な疲労が蓄積し、自身の逃げ場がなくなってしまうかもしれません。

そしてもう一つ、「介護には、いずれ終わりが来る」ことも忘れてはいけません。

介護が終わったときに社会とのつながりが完全に途絶えていると、その後の社会復帰がより難しくなってしまいます。

親の介護をするということは、子どももある程度の年齢になっているはずです。

いざ介護が終わって「また働きたい」と思っても、そう簡単に離職前と同水準の仕事が見つかるとは限りません。

確かに、献身的に介護をするということは、素晴らしいことであり尊敬されるべきことではあります。

ただ、親が亡くなって介護生活が終了した後も、“あなたの人生は続いていく”のです。

だからこそ、「介護離職」という選択肢を取るのではなく、「どうすれば介護と仕事を両立できるか?」を考えることが大切だと思います。

仕事を辞める前に「介護施設」を利用してみよう

上記でお伝えした通り、介護離職にはさまざまなリスクが伴うことから、できる限り介護離職せずに済む方法を考えてみてください。

確かに、仕事と介護の両立は難しく、負担も大きいです。

現状に耐えられずに離職しようか迷っている方もいるかもしれません。

しかしそれでも、一旦踏みとどまって、「両立できる方法がないか?」を周囲にも相談しながらよく考えてみてください。

こういうときでも、「一人で問題を抱え込まない」ことが大切です。

家族・親戚・知人など、信頼のおける方に相談してみるのも良いです。

時には、誰かに不安や悩みを聞いてもらうだけでも、心が軽くなることもあります。

また、ケアマネージャーや地域包括センターなど専門家に悩みを相談するでも良いですし、「介護施設」の利用を検討してみるのも一つの手段です。

「介護費用の負担が重くなってしまう」というのはデメリットではありますが、介護離職をすることによるデメリットに比べればまだマシな方です。

一番問題なのは、“介護”という存在に囚われてしまい、何もかもが回らなくなって、家族ともども共倒れになってしまうことです。

方法は何かしらあるはずです。

“自分”のためにも“家族”のためにも、よく話し合い・よく考えたうえで、決断するようにしてください。

まとめ

介護と仕事の両立は、“不可能”ではありませんが“厳しい”のが現状です。

企業の中には、残念ながら育児・介護休業法を順守できないところもあります。

◆「両立が難しい」
◆「周囲の理解を得られない」
◆「どうしたらいいのか分からない」

何かしらの不安や悩みを抱えているのであれば、そのまま無理をするのではなく、できる限り早い段階で誰かに相談することを心がけてください。

間違っても、真っ先に「介護離職」を考えることだけは避けてください。

一人で抱え込む必要はありません。

一人で無理をし過ぎる必要もありません。

無理をして介護をしてもメリットは一つもありませんので、困った際は誰かを頼り、決して一人で抱え込まないようにしてください。

それが、自身だけでなく家族を守るためにも重要なことだと思います。

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