以前に、「美容クリニックで働く看護師」についてご紹介する記事を公開しました。
美容クリニックと言っても、診療の種類はいくつかに分かれており、当然それぞれで診療内容は異なります。
そして、以前より“美”へのニーズの高まりから「エステサロン」の需要も高まっていますが、エステサロンと美容クリニックは一体何が違うのでしょうか?
今回は、“美容に携わる看護師”ではなく、“美容クリニックそのもの”に焦点を当てて、詳しくご紹介していきたいと思います。
実は色々あった!?「美容クリニック」と「エステサロン」の違いについて
「美しくなるために利用する施設」という意味では、「美容クリニック」も「エステサロン」も同じではあります。
ネットで、“美容”であったり、“シワ・小顔・むくみの改善”などのキーワードを検索すると、クリニックもサロンもたくさんのお店が検索対象として表示されるはずです。
「クリニックとサロン……何が違うの?どっちを利用したらいいの?」
こう感じる方も少なくないかもしれません。
クリニックとサロン……。
名称はもちろん、施術する場所が違うことから分かる通り、この2つには決定的な違いがあります。
この項目では、両者の違いを詳しくご紹介していきたいと思います。
Point.1:「治療」か「施術」か
この2つの最たる違いは、「治療」か「施術」かという点にあります。
◆エステサロン :施術
美容クリニックが行っているのは、れっきとした「医療行為」であり、外科的な処置を施し即効性を求めている方が利用するものです。
医療行為であるため、美容クリニックに勤務しているのは、医療に精通した「医師」や「看護師」ばかりです。
対してエステサロンは、「マッサージなどの”施術”を受け、非日常的な空間で癒されたい」という人が利用する施設となります。
こちらに勤務しているのは「エステティシャン」であり、”いかにお客様にゆったりとした癒やしの時間を提供できるか?”を念頭において施術を行っています。
ただし、“エステ=医療行為ではない”という点で、例えば肌にメスを入れるような外科的な施術を行うことは絶対にできません。
このことから、即効性に欠けるというデメリットはあります。
Point.2:「同意書」の有無
“同意書の有無”も、クリニックとサロンの大きな違いの一つと言えます。
同意書へのサインが必要となるのは、「美容クリニック」の方です。
その理由は、「美容医療は”保険外治療”であり、治療費が高額となるため」です。
同意書には“施術代金”という項目が存在し、「記載された金額までの支払いに同意する」ことの証明となります。
もし仮に、同意書の金額を超えるようなことがあった場合は、当日の施術は拒否することも可能です。
それに、もし手術後に金額の相違があれば、大きな問題へと発展してしまいます。
尚、同意書には他にも、施術予定日や施術を行うクリニックの詳細などが記載されています。
また、未成年の場合は、親権者(法定代理人)の同意も必要となります。
結論、どっちがオススメなの?
こういう見出しにしておいてなんですが……、結局のところは“利用者次第”となります。
要するに、「お店に通うことによって、何を得たいのか?」ということです。
美容クリニックの場合は、外科的な施術を行うため即効性があり、医学的知識を持った医師や看護師から「医学的見地から、美しくなるためにできる施術を解説してくれる」というメリットがあります。
ただ、その分「保険外治療」となり、手術やレーザー治療などを行うこともあるため、費用が高額になります。
それに対して、エステサロンの場合は、クリニックに比べると費用を抑えて利用することができます。
そして、「癒やしの空間の中で、リラックスしながら非日常感を味わうことができる……」この“寛ぎの時間の提供”こそ、エステサロンの最大のメリットと言えるでしょう。
ただし、スタッフは医学に精通している人ではなく外科的な施術を行うこともできないため、即効性には欠けます。
どちらの方が……と優越を付けることはできず、どちらにもメリット・デメリットが存在します。
もちろん、美を追求される方であれば、どちらも合わせて利用するという手もあります。
とはいえ、そうなると掛かる費用も相応に高額となるため、自身の目的や予算に応じて、どちらを利用するかを決めていくのが良いかと覆います。
美容クリニックの”種類”について
種類は2つに大別でき、どちらも「自由診療」である
「美容クリニック」は、以下の2つに種類を大別することができます。
2.美容整形外科
もう一つ「皮膚科」もあるのですが、これは上記2つとは少し異なる点があるため、後述にて別途ご紹介します。
まずは、美容皮膚科と美容整形外科の2つから、それぞれ内容をご紹介していきたいと思うのですが……。
まずはじめにお伝えしておくことは、上記2つは、どちらも「自由診療」であるということです。
「自由診療」とは、“公的医療保険”……つまり、健康保険や国民健康保険が適用されない診療のことで、「保険診療」の対となる診療のことを言います。
美容皮膚科も美容整形外科も保険適用外であることから、上述でご紹介した通り、施術費用は高額となることが多いのが特徴です。
「美容皮膚科」とは?
こちらは、“非外科的”……要するに、メスなどを使わない・肌に直接的手術を行わない治療方法をメインとしています。
「外科的な手術を行わず、肌を美しくすること」という点でエステサロンと似ているように感じるかもしれませんが、実際は似て非なるものです。
あくまで美容医療であることから、美容皮膚科では以下のような治療を行っています。
◆レーザー治療
◆外用薬や内服薬などの“薬”の服用
◆サプリメントによる処方
注射や薬の服用は特にイメージしやすいかと思いますが、上記で説明したものは全て“医学的な知識”を必要としており、医師や看護師の免許を所持していないと施術or薬の提供(説明)をしてはいけません。
当然、レーザー治療もです(レーザー治療は、例えばシミやホクロの除去などで利用される)。
下記の美容整形外科に比べると、表面的な施術が中心となるのが特徴です。
「美容整形外科」とは?
美容皮膚科が表面的な施術が中心であったのに対し、美容整形外科は「メスを使った外科的な”手術”が中心」となります。
手術を行うという点で、美容皮膚科ではできない分野を担当することがほとんどで、例えば以下のようなものが挙げられます。
◆豊胸手術(バストアップ)
◆眼瞼手術(二重瞼を作るなど)
◆降鼻術(鼻梁を高くする)
肌に直接メスを入れて、まさしく“整形”するという点、そして保険適用外という点を含めて、手術費用は高額なものがほとんどです。
ただし、「プチ整形」と呼ばれる、ヒアルロンやコラーゲンを注入する比較的小規模な施術も存在します。
ちなみに、”手術を行う”という観点もあって、万が一お客様側に(施術内容に)不満があった場合はトラブルに発展しやすくなる傾向が強いです(自由診療で高額な手術費を払っていることも原因か)。
場合によっては訴訟に発展する恐れもあることから、医師や看護師も相当に注意を払ってカウンセリングや施術に当たっています。
「皮膚科」とは?美容皮膚科とは何が違うの?
最期に、「皮膚科」と「美容皮膚科」の違いについて、ご説明しておきます。
病院や大学病院などに通院したことのある人がほとんどだと思いますが、病院の中で「皮膚科」を目にしたことはないでしょうか?
皮膚科とは、「厚生労働省に認められた薬剤や治療法を用いて、”保険診療内”で治療できる」ものが基本となります。
例えば、以下のようなものです。
◆皮膚がん
◆かゆみ
◆ニキビ
◆ただれ
言うなれば、「皮膚科=肌(皮膚)の病気の治療」が主な目的となり、「美容皮膚科=美しい肌を作るための治療」が目的となる……という違いがあります。
だからこそ、皮膚科の場合は健康保険などの“保険診療内”で治療ができるのです。
とはいえ、最近の皮膚科は、保険診療だけでなく美容医療を取り入れているケースも見受けられます。
「美しい肌を作りたい」という人は、基本的には美容皮膚科(もしくは美容整形外科)に足を運ぶ人が多いかと思います。
しかし、もし美容医療を取り入れている皮膚科があれば、そちらでお肌に関する相談(カウンセリング)をするのも良いかもしれません。
ただし、皮膚科に行ったとしても、診療内容が美容医療であれば“保険適用外”となります。
この点だけは注意しておきましょう。
まとめ
記事の途中でも記載した通り、美容医療は“保険適用外の治療”となるため、施術にかかる費用には注意が必要です。
クリニックにもよりますが、カウンセリングは無料で行っている店舗も多いので、まずはお店の人に相談をして費用の見積もりなどをもらうのも一つの手段と言えるかと思います。
ただし、カウンセリングが無料かどうかは、事前にホームページや問い合わせで確認をするようにしてください。
全ての美容クリニックのカウンセリングが、絶対に無料であるとは言い切れません。
美容クリニックの数もどんどん増加しているため、クリニックの良し悪しも重要となってきます。
次回は、この「美容クリニックの選び方」や「受診する前に知っておくべきこと」について、ご紹介していこうかと思います。
最後に。
利用者(お客様)としてはなく、「美容看護師に興味がある」という方もいらっしゃるかと思いますので、美容看護師に関連する記事のリンクを以下に貼り付けておきます。
仕事である以上は苦労ももちろんありますが、やりがいのある仕事でもあります。
「看護師」の免許を持ち、「美容」に興味がある人は、是非参考にしてみてください。