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【出産手当金が受け取れない!?】公務員の産休・育休について解説します……!

この記事は約9分で読めます。

これまで、産休・育休についての記事を色々と公開してきましたが、以前の記事にて「産休・育休時に利用できる制度」のご紹介もさせていただきました。

妊娠・出産・育児には多くのお金が必要となるため、家庭の負担を減らすための制度が様々に設けられているのです。

そして、その中の一つである「出産手当金」ですが、これは“公務員は受け取ることができません”

どうして「出産手当金」を受け取ることが出来ないのか?

今回は、公務員の産休・育休制度について、詳しくお話をしていきたいと思います。

そもそも「出産手当金」とは何なのか?


「出産手当金」のことを端的に言うと、“出産のために仕事を休んだ期間に応じて、公的機関から手当金を受け取ることができる”というものです。

産前(42日間)と産後(56日間)の“計98日間”が対象であり、「1年間の給与の平均額 ÷ 30日 × 2/3」という計算式で支給額を計算することができます。

女性は、「産前産後休暇=産休」を取得することができ、特に“産後”に関しては“取得義務”が発生します。

産休に関する詳細は、以下記事にてご紹介しております。

そして冒頭でも記載した通り、公務員の方は、この「出産手当金」を受け取ることができません

それには、以下のような理由があるからです。

なぜ公務員は「出産手当金」を受け取れないの?

「出産手当金」の受給条件について


まず、「出産手当金」を受給するための条件は、以下の2つがあります。

“勤務先の健康保険”に加入していること
②産休中に“給与の支払いがない”こと

まず①についてですが、公務員として勤務されている人は「健康保険組合」ではなく「共済組合」に加入することとなります。

この共済組合にも“出産手当金の制度は存在する”ため、①の条件は満たしていることになります。

そうです……。

公務員の方は、②の条件を満たせないため、出産手当金を“基本的に”受け取ることができないのです。

公務員だけが”受給対象外”という訳ではない

産休の期間の給与の支払いについては、特に法律で定められているものはありません。

つまり、産休中の給与の支払いの有無は“各事業所の定めるところによる”のです。

産休中は、その名の通り“休業している状態=労働をしていない”こととなるので、給与(労働の対価)は発生(支給)しない企業が多いのです。

だから、条件の一つである“産休中の給与の支払いがない”を満たすことが多く、「出産手当金」を受け取ることができるという訳です。

言い方を変えると、産休中に給与が支払われる会社であれば、一般企業に勤めている人でも「出産手当金」を受け取ることはできないとなります。

もうご理解いただけたかと思います……。

(かなりまどろっこしい言い方をしてしまいましたが)公務員の方が出産手当金を受け取れない理由は、「産休中であっても給与が支給されるから」なのです。

公務員の産休中の「給与」や「ボーナス」について


結論から言ってしまうと、“公務員の方は産休中でも「給与」「ボーナス」ともに満額支給される”こととなります。

ただし、両方とも注意点があるため、それぞれ少し補足を加えておきたいと思います。

「給与」について

上記の通り、産休中でも“基本的に給与の満額を受け取ることが可能”です。

ただし、“一部手当などは対象外”となります。

例えば、「残業手当」「通勤手当」のような、“実際に勤務がなければ発生しない手当”が該当します。

そしてもう一つ。

“給与は支給されるが、共済掛金は免除される”ことも大きな特徴の一つです。

「共済」というのは、“生活で起きうるリスクによる経済的損失を、組合員が掛金を出し合うことで補填し合う制度のこと”を言います。

産休中は、「地方公務員等共済組合」法第百十四条の規定により、共済組合の掛金は免除されることとなっているのです。

ちなみに少し余談となりますが、基本的に出産手当金の支給がない公務員ではありますが、例えば“出産のために休業し給与が減額”されたり、“支給されなくなった”場合は、出産手当金を受け取ることが可能です。

単に「給与の支払いがあるため、出産手当金が支給されない」だけであって、公務員の方でも条件を満たせば手当を受けることができるのです。

「ボーナス」について

公務員のボーナスが支給される月は「6月」「12月」です。
(ボーナス支給日以前の半年間の勤務を査定し、支給される)

そして、支給条件は“それぞれの、支給日以前の半年間に勤務実態があること”となります。

公務員の場合、仮に産休であっても“勤務日扱い”となるため、査定機関に産休があったとしてもボーナスに影響が出ることはありません。

つまり、「きちんと勤務していれば、ボーナスも満額支給される」という訳です。

ただ、注意点が2つあります。

①ボーナス査定の半年間の勤務日数が少ない場合、その分“減額”される
②1年以上休職している場合は、支給されない

産休以外の別の理由で休んだ場合がほとんどだと思いますが、人によっては満額支払われない可能性もあるため、念のためご注意ください。

産休・育休中の「扶養」について


夫婦2人とも共働きでしっかりとした収入がある場合、それぞれに「税金/健康保険料/年金」などの支払いを行う必要があります。

しかし、産休や育休でお休みを取ることとなった場合、女性は男性の「扶養」に入ることができるのでしょうか?

この項目にて、解説していきたいと思います。

そもそも「扶養」は3つに分類される

共働きで仕事をしているご家庭の場合、あまり「扶養」について詳しくご存じないという方は多いかもしれません。

実は、「扶養」は以下の3つに分類されます。

◆所得税の扶養
◆健康保険の扶養
◆配偶者扶養手当

そして、それぞれが別の制度によって運営されているのです。

「産休中」の扶養について

まず産休中の扶養についてですが……、結論から言ってしまうと“上記3つの制度の、全ての扶養に入ることができない”となります。

その理由は、“年収の制限”にあります。

上記3つのどの制度であっても、扶養に入るためには年収が制限されます。

しかし、公務員は産休中も給与が満額支給されることから、扶養に入ることがそもそもできないのです。

「育休中」の扶養について

公務員には、「地方公務員の育児休業等に関する法律」というものが存在し、“産後から3歳までの最大3年間”の育児休業を取得することができます。

しかし、育休期間は“無給”となります。

上記でご紹介した「給与の満額支給」は、あくまで“産休期間”の話です。

なので、育休期間になれば給与の支払いはなくなり、代わりに共済組合から「育児休業手当金(以下”育休手当”)」を受け取ることができるようになるのです。

ただし、育休手当の支給期間は「子どもの1歳の誕生日を迎えるまで」です。

そのため、育休の2年目以降であれば、「所得税の扶養」「配偶者扶養手当」を受けることができるようになります。

「健康保険の扶養」には入ることはできないのか?

これは、育休・産休のどちらも共通しており、「公務員は、健康保険の扶養に入ることはできない(対象外)」とされています。

そもそも「健康保険の扶養」というのは、配偶者の健康保険組合に”扶養家族”として入るという制度です。

しかし、産休中でも育休中でも“公務員の身分に変更はない”ため、共済組合の組合員を脱退することができないのです。

だから、配偶者側の健康保険組に加入することができない……という訳です。

……というよりも、上述でもご紹介した通り、「産休・育休中は、共済掛金は免除される」こととなります。

なので、そもそも配偶者の組合に入る必要もないのです。

公務員を「退職」した場合はどうなるのか?


少しだけ、話を「出産手当金」に戻したいと思います。

ここまでにお伝えしたように、“公務員として勤務していれば”産休中も給与の満額が支給され、出産手当金を受け取ることはできません。

しかし、もし「何らかの理由で退職していたらどうなるのか?」という点に触れておきたいと思います。

そもそも”出産手当金の受給対象”ではなくなる

出産手当金の受給条件の一つに、“勤務先の健康保険”に加入していることがあります。

何らかの事情で公務員を退職した場合、当然給与の支払いはなくなりますし、「退職と同時に加入していた共済組合からも抜ける」こととなります。

そのため、原則として“出産手当金の受給は不可能”ということになります。

ただ……、条件を満たすことができれば受給することが可能です。

受給するための”条件”とは……?

出産手当金を受給するための条件は、以下の3つをクリアすることです。

“1年以上”共済の組合員であったこと。
②退職日が”出産手当金の受給期間内であること
③退職日は産休中などで“労働をしていない”こと

端的にまとめると……、「1年以上共済の組合員だった人」は、「退職日」「出産手当金を受給している」もしくは「受給できる状態である」ことで、受給条件を満たすことができるということです。

上記は、全て“必須”です。

この上記の条件さえ満たすことができれば、退職後も支給期間内の出産手当金を受け取ることが可能となります。

特に気をつけておかないといけないのは、“出産を機に退職を考えている人”かと思います。

上述でもご紹介した通り、「出産手当金の対象期間は、産前(42日間)と産後(56日間)の“計98日間”である」ということです。

例えば「有給休暇も消化して退職しよう」と考えている場合、退職日が出産予定日以前(42日)となるように、職場と退職日の相談をしておく必要があります。

退職を検討している人は、必ず情報収集をしっかり行い、職場としっかりと話し合いを進めるようにしてください。

まとめ

ここまでにご紹介した通り、公務員と一般企業に勤める従業員とでは、産休・育休時に利用できる制度に大きな違いがあります。

公務員の方は、法律で手厚く保護されていることから、女性の育児にとって非常に優しい職場環境と言えます。

公務員として勤務されている方は、様々な制度をうまく活用して、出産・その後の育児に備えてみてください。

ただ、「事前にきちんと情報収集をし、家族としっかり話し合うこと」だけは忘れないでくださいね。

以前の育休に関する記事でもご紹介しましたが、各種制度を利用するには「申請」が必要であり、それぞれに「条件」が異なります。

申請期間を過ぎてしまってはせっかくの制度を受けることができなくなりますし、条件を正しく理解していなければ受給対象とならずに、出費がかさんでしまう可能性もあるかもしれません。

また出産手当金も、あくまで“基本的には受け取れない”だけであり、人によって受給対象となっていたりする場合もあります。

当然のことではありますが、奥様にとっても旦那様にとっても妊娠・出産・育児は“他人事ではありません”

各種制度を、正しく“理解・活用”し、少しでも家計の負担を減らし、安心して子育てができるよう動いてみてください。

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