以前の記事で「栄養士」についての記事をご紹介させていただきました。
そして今回は、この“栄養士の上位資格”と言われる「管理栄養士」についてのご紹介となります。
この2つは一体何が違うのでしょうか?
そして、管理栄養士が活躍する場所はどういったところになるのでしょうか?
それぞれ、詳しくご説明していきたいと思います。
「管理栄養士」ってなに?
概要
栄養の摂取は、基本「食事」から行うことになります。
正しく栄養を摂取しないと、「糖尿病」などの“生活習慣病”を患ってしまう可能性があるため、日々の栄養の摂取は人が生きていく上で必要不可欠なものとなります。
しかし、現代にはさまざまな食材だけでなく、サプリメントなどの栄養補助食品なども存在し、「何を基準に食材を選び、何を摂取すればいいか分からない」という人も増加しています。
こういった人々に対し、「一人ひとりの体質や病気に応じた栄養指導を行う仕事」が、栄養士および管理栄養士の業務となります。
「栄養士」と「管理栄養士」はなにが違うのか?
栄養士に関する法律には、「栄養士法」というものが存在します。
これは昭和22年12月29日に定められ、その際に「栄養士」という資格が誕生しました。
その後、より高度な栄養に関する知識・技術を提供できるように……と、1962年の栄養士法の一部改正時に「管理栄養士」という国家資格が設けられることとなります。
言うなれば、“栄養士の上位資格が管理栄養士となる”のです。
主な役割としては「食を通じて、人々の健康をサポートする」という、この点に大きな違いはありません。
ただし、栄養士は“健常者(健康な人)”が対象の基本となりますが、管理栄養士は“医師の指導の下で、病気の療養のために必要な栄養指導なども行うことが可能”となります。
これは、管理栄養士の方が“栄養に関する、より高度な知識を習得しているから”です。
また、両者は資格取得の条件も異なってきます。
栄養士に関しては、以前に別の記事にてご紹介しておりますので、以下を参照ください。
管理栄養士の資格取得方法については、詳細は別の記事でご紹介をしようと思いますが、簡潔に言うと……。
「4年制の養成課程を出て管理栄養士国家試験を受験する」のが一般的にとされています。
管理栄養士の方が受験難度も高く、その分、栄養に関する高度な知識を習得できるという訳です。
管理栄養士の「具体的な仕事内容」について
上記でもご紹介した通り、「栄養指導」がこの仕事のメインとなる業務です。
ただ、この仕事は“食に関する幅広し知識・スキルを有している”こととなるため、それ以外でも活躍の場は多様に存在します。
箇条書きでまとめると、以下のようなものが挙げられます。
◆料理雑誌のコラム執筆
◆食品メーカーでの商品開発
◆飲食店のプロデュース
◆さまざまなレシピの考案
◆料理教室の講師 など
働き方も多様であり、近年は「フリーランス」として個人で活躍の場を広げている人もいます。
中には、YouTubeなどの動画配信サイトで情報を発信しつつ、自分を売り込む人もいるほどです。
このように、管理栄養士の活躍の場は、これからもどんどん広がっていくことが予想されています。
主な就職先ってどういうところなの?
次に、管理栄養士として就職する際の、主な就職先についてご紹介していきたいと思います。
尚、上記で挙げたように、この仕事はさまざまな方面で活躍できる可能性があります。
すべてを細かく説明することもできないため、この項目ではもっとも就職率が高い“医療・介護・福祉業界”に焦点を絞ってご紹介させていただきます。
その1.病院・クリニックなどの「医療機関」
栄養士・管理栄養士のどちらであっても、もっとも就職率が高いのが「病院」や「クリニック」などの“医療機関”となります。
主な仕事となるのは、以下の2つです。
◆栄養指導
医療機関には病気や疾患など、さまざまな問題を抱えている人がいますが、患者さんの症状によってさまざまな献立を作成していくこととなります。
(例えば、減塩食・低たんぱく食・流動食など)
ちなみに、「病院での栄養指導は、管理栄養士が行わなければ”診療報酬”を請求できない」という決まりがあります。
この“診療報酬”というのは、“医療機関の収入”という意味ではありません。
これは、“医療保険から医療機関に支払われる治療費のこと”を指しています。
この点については、説明しだすと長くなるので、改めて専用の記事にて詳しくご紹介していければと思います。
なんにせよ、「病院での栄養指導は、管理栄養士が行わなければ”診療報酬”を請求できない」という決まりから、“給食管理を栄養士”、“栄養指導を管理栄養士”……と、分担して行う病院などもあるということです。
また、新たな資格として「栄養サポートチーム(NST)専門栄養士」なども登場しており、今後はこの「NST」の中心的役割としての活躍も期待されています。
ただ、このNSTは日本ではまだあまり馴染みのないものではあります。
(アメリカなどではすでに浸透している)
この「NST」についても、改めて別の記事で詳しくご紹介ができればと思います。
その2.保育園や幼稚園などの「児童福祉施設」
医療機関の次に就職率が高いのが、保育園や幼稚園などの「児童福祉施設」となります。
主な業務は、“給食を通して、子どもの成長や健康をサポートすること”です。
子どもは料理や食材の好き嫌いが人それぞれで大きく異なりますが、成長していく上で必要な栄養素をしっかりと料理から吸収していかなくてはいけません。
「美味しくて・栄養満点な給食の献立を作成し、調理すること」
これが、管理栄養士の非常に重要な役割の一つとなるのです。
また、現在は老若男女を問わず、食に対する関心がどんどん高まっています。
このことから、以下のような点で子どもたちに食に対する関心を深めてもらう施策などを打つこともあります。
◆アレルギーに関しての知識
子どもたちへの“食への関心と知識を育むこと”……。
これも、管理栄養士の重要な業務の一つとなっているのです。
その3.老人ホームなどの「高齢者施設」
最後は、今後より一層需要が増してくると考えられている「高齢者施設」です。
なぜ需要が増していくと考えられているのかというと、現代の日本が“超高齢化社会”に突入しているからです。
◆長く健康でいられるための食事の提供および栄養指導を行う
こういった点が、管理栄養士の主な業務となります。
もちろん、「食べることを楽しんでもらう」ことも重要です。
そのため栄養面だけでなく、旬の食材や季節に沿った料理を提供するなどの工夫も大切になってきます。
自分に合った就職先を見つけよう
ここまでにご紹介した通り、管理栄養士の就職先は、医療・保育・福祉に限定するだけでも全国各地さまざまに存在します。
もちろん、その他にもさまざまな働き方が存在し、活躍の仕方は人それぞれで大きく変わってくるでしょう。
そのため、ただ漠然と「管理栄養士になりたい!」と考えるのではなく、「どういった人たちの栄養管理に携わりたいのか?」や「どんな働き方をしたいのか?」を自分自身で事前に明確にしておくことが大事かなと思います。
方法は一つではないので、ぜひ自分に合ったやり方で管理栄養士への一歩を踏み出してみてください。
管理栄養士の「働き方」や「給与」について
この点については、“多様な働き方が実現できる”と表現できます。
例えば「雇用形態」について。
勤務先は多種多様であると同時に、それに応じて雇用形態もさまざまに存在します。
◆アルバイト
◆パート
◆契約社員
◆派遣社員 など
また、「公務員」として、“保健所・保健センター、市区町村の役所、老人保健施設、給食センター”などで地域住民の健康に携わることも可能です。
もちろん、上記でお伝えしたように「フリーランス」として個人で活動していくこともできます。
現在は、動画配信サイトやSNSなど、個人で情報を発信しやすくなっている時代ですので、それらを軸にして仕事の幅を増やしている人もたくさんいます。
このことから、「給与」や「勤務時間」なども、人によって千差万別となっているのが現状です。
一応、管理栄養士の平均年収は“300万円~400万円”、月収にすると“25万円~33万円ほど”と言われていますが、勤務先・雇用形態・経験・役職などによって大きな違いが発生することから、すべての人が上記に該当するわけではありません。
ただし、フリーランス以外の人で共通して言えるのは、「管理栄養士としての資格手当が付く」可能性が高いという点です。
また、大手企業に務めるほどに、給与や待遇なども良くなっていく可能性は高まるため、もし「良い給与や待遇を……!」と望むならば、相応の経験を積んで大手企業に就職するのも一つの手段と言えるかもしれません。
また、勤務時間や休日についてですが、これも勤務先や雇用形態によってさまざまです。
ただ一つ言えるのは、医療や介護などの現場においては、“シフト制+夜勤もしくは早朝出勤の可能性が高まる”と言えるでしょう。
上記施設は24時間体制で運営していることが多いためです。
それ以外(保育・公務員・一般企業)などの場合は、日中もしくは9:00~18:00などの決まった時間で働くことが多いように思います。
もちろん、フリーランスであれば、働き方は自分で決めることが可能です。
まとめ
ここまでにご紹介した通り、管理栄養士の働き方は多種多様であり、人によってさまざまな働き方が存在します。
そのため、記事内でもお伝えしたように、ただ漠然と「管理栄養士になりたい!」と考えるのではなく、「どういった人たちの栄養管理に携わりたいのか?」や「どんな働き方をしたいのか?」を自分自身で事前に明確にしておくことが大切となります。
「どんな働き方をしたいのか?」が明確になれば、それに向けて情報収集を行ったり、行動を起こしやすくなります。
また、関連する資格も取得しておけば、より一層管理栄養士として長く勤務することもできるようになるでしょう。
選択肢は一つではありませんので、ぜひ自分にあったやり方で管理栄養士を目指し、長く勤めていけるよう努力してみてください。
尚、関連サイトとして、当社では「医療・介護・保育・福祉」などの採用サイトも取り扱っております。
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