これまで、「脂肪」に関して2つの記事を公開しました。
見た目からして“太っている人=脂肪が多い人”は、ある意味ダイエットを行えばいいだけなので、問題の対策は取りやすいかと思います。
問題なのは、一見痩せているのに、実は脂肪が多い「隠れ肥満」の方です。
今回は、この「隠れ肥満」とはどういうものなのか……?という点について、詳しくご紹介していきたいと思います。
「隠れ肥満」とはなんなのか?
概要
これは、その名の通り「一見痩せているようにみえるが、実は太っている(脂肪が多い)状態」のことです。
痩せているかどうかの判断は、まずどうやってするでしょうか?
それは、“見た目”や“体重”です。
スラッとした体型だったり、体重が軽いと多くの人が「痩せている」と感じるかと思います。
しかし、外見や数値だけでは、“本当に痩せているかどうかは判断できない”のです。
これはなかなかに気付きにくく、また放置していると健康にも悪影響が及びます。
そのため、自分が「隠れ肥満」かどうかをしっかりとチェックすることが大切なのです。
どうやって「隠れ肥満」かどうかを判断するのか?
では、どうやったら「”本当の意味”で、太っているか痩せているかを判断できるのか?」という点についてですが……。
これは、「体脂肪率」を測ることで明確にすることができます。
単純に「体脂肪率が一定以上よりあると、太っている」こととなります。
その具体的な境界線ですが、以下のように男性と女性で分かれています。
◆男性:25%
上記よりも数値が大きければ、「肥満」ということになるのです。
体脂肪率は、体脂肪計を購入したり、ジムなどで測ってもらうことで計測することが可能です。
「BMI」では、明確な体脂肪率を計測できない
もう一つ、誰でも簡単に体脂肪の目安を算出する方法があります。
それが、「BMI(Body Mass Index)」で計算することです。
BMIの計算方法は、「BMI=体重(kg)÷身長(m)2」で出すことができます。
例えば、「体重60kg・身長170cm」の人の場合、計算式は「60kg÷(1.7m×1.7m)=20.76」となるため、「普通体重」となります。
ただ……これだと、あくまで「体重と慎重をもとに計算をしているだけ」にしか過ぎないので、明確な体脂肪率を出すことができません。
つまり、「隠れ肥満かどうかを見分けることができない」のです。
体重が軽いからといって、必ずしも体脂肪率が低いとは限りません。
なぜなら、「体重=(主に)筋肉と脂肪の重量の合計で決まる」からです。
仮に同じ体重であっても、“筋肉が多く脂肪が少ない”人もいれば、“筋肉が少なく脂肪が多い”人もいるのです。
これが「隠れ肥満」と呼ばれるものなのです。
なぜ「隠れ肥満」となるのか?なぜ「女性」に多いのか?
まず「隠れ肥満」となる原因は、以下のような場合が挙げられます。
◆偏った食生活を送っている人
人によっては、座って仕事をする時間が長ったり、睡眠不足であったり……。
また、高カロリーで塩分が多い食品を良く食べたり、お菓子や糖分の多い飲料をよく口にしたり、アルコールを飲む人だったり……といった食習慣も大きな要因となるでしょう。
そしてもう一つ、「なぜ隠れ肥満は女性の多いのか?」ですが、これにも根拠があります。
それは、女性の方が「無理な食事制限などのダイエットを行う確率が高いから」です。
適度な食事制限や、バランスの取れた食事をしつつ食べる量を減らす……のであれば、何の問題もありません。
しかし、「体重を落としたい!」といって、“食事を抜く”や“偏った食事しか取らない”となると、カラダの栄養が不足してしまうのです。
そうなると、まず落ちるのは「脂肪」ではなく「筋肉」となります。
筋肉量が低下して「体重が落ちた!」と勘違いをし、その後今まで通りの食生活に戻るとどうなるか?
「筋肉量が低下したままで、脂肪が増えていく=リバウンドをする」ということに繋がります。
女性だから・男性だからという括りでまとめるつもりはありませんが、実際に「痩せればなんでもいいや」といって、無理な食事制限によるダイエットを行うのは、女性の方が多いのも事実ではあります。
ちなみに、痩せている人ほど「体重を支えている力が弱い」ため、筋肉量が少なく骨が弱くなりがちでもあります。
また痩せた女性で、筋肉量が低下していたり・筋肉に脂肪が蓄積している場合、血糖値が高い傾向にあることもわかっています。
太っていることも問題ではありますが、だからといって「痩せていればいい」という訳でもないのです。
隠れ肥満が及ぼす、健康への影響とは?
肥満の人は、「心臓疾患」や「糖尿病」などの多くの生活習慣病にかかりやすいというデメリットがあります。
しかし、痩せているからといって、それらの慢性疾患への心配がないかと言われると、実はそうでもないのです。
特に、隠れ肥満は見た目だけではなかなか判別が難しいです。
そのため、これが健康に及ぼす影響は、思いのほか深刻と言えるでしょう。
具体的には、以下のような問題が発生する恐れがあります。
◆身体機能の低下
◆糖尿病の発症リスクが高くなる
◆お腹が出てしまう
順に、補足していきましょう。
「認知力の低下」
隠れ肥満は、以下のような問題を起こす可能性があります。
◆精神的な柔軟性の低下
◆自制心の低下
◆方向感覚の衰え など
ある種、「アルツハイマー病」の症状とも酷似しており、骨格筋量の減少は認知力の低下に関連があると考えられているのです。
「身体機能の低下」
「隠れ肥満=筋肉量が低下している状態」となります。
上記でもお伝えしたように、細い人(筋肉量が少ない人)ほど、「体重を支えている力が弱い」ため、骨が弱くなりがちです。
また、体力・骨密度・内臓機能などの身体機能も低下してしまいます。
こういった点で、以下のような問題を発症しやすくなるのです。
◆バランス感覚が低下する
◆巧緻性(手先の器用さ・巧みに指先を使う能力)が低下する
◆協調性が低下する
◆疲れやすくなる
◆食欲がわかない
体調不良の原因となることはもちろん、将来的に身体が不自由となってしまう恐れもあるため、要注意です。
「糖尿病の発症リスクが高くなる」
隠れ肥満の方は体に内臓脂肪が多く蓄積されている状態となります。
「内臓脂肪が多い=糖尿病や高血圧などの疾患の原因となる」なのです。
糖尿病や高血圧になると、動脈硬化症などにもなりやすく、健康に危害が及ぶこととなります。
「お腹が出てしまう」
隠れ肥満は、お腹が出てみえる原因にもなり得ます。
なぜかというと、ここまでに何度もお伝えしているように「筋肉量が少なく・脂肪が多い状態」だからです。
脂肪は多いのに、それを引き締める筋肉が少ないため、「脂肪が目立ち、スタイルを良く見せることができない」のです。
また、内臓脂肪が溜まりがちとなるため、お腹の膨らみがより強調されてしまうのです。
どうやったら「隠れ肥満」を改善できるのか?
ここまでに何度もご紹介した通り、隠れ肥満は「筋肉量が少なく・脂肪が多い状態」となります。
そのため、隠れ肥満を改善する一番の方法は「筋力をつけること=筋トレ」です。
筋肉は、年齢とともに減少していきます。
だから、放っておくとどんどん筋肉量が減ってしまい、余計に体を動かすのが億劫となってしまうのです。
だからこそ、筋トレする習慣を若いうちからしっかりと付けておくことが大切です。
また、筋トレに加えて、多くのエネルギーを消費する有酸素運動(ランニング・ウォーキング・水泳)なども合わせて行っていくといいでしょう。
※注意※ 間違ったダイエットはしないように……!
上項でもお伝えしたように、「食事制限」によるダイエットはNGです。
なぜなら、“体重が減ると同時に筋肉量も減少してしまうから”です。
そういう無理なダイエットを行っていると、リバウンドの原因となってしまい、代謝が悪く・脂肪が増えやすい体質となってしまいます。
確かに、食事制限によるダイエットはすぐに体重が減って一見効率的に見えるかもしれません。
でも、それは一時期なものにすぎず、すぐに“停滞期”が訪れることとなります。
時間は掛かるかもしれませんが、長い目で見ても、その方が痩せやすい体になれるかと思います。
まとめ
隠れ肥満は、見た目は細くみえるために、なかなか気づきにくいものです。
特に、内臓脂肪が多いと健康にも悪影響を及ぼすため、普通の肥満と同じくらい注意が必要なのです。
現代は、“見た目”を重視する風潮から、どうしてもBMIの基準のみが有名になってしまい、誤った認識や混乱が生じていることも事実です。
見た目だけでなく、大切なのは「健康的な体であるかどうか?」が大切なのです。
気になる方は、体脂肪計などを使って、しっかりと測ってみることをオススメします。
そして、食生活の改善・日ごろの運動を心掛けて、筋肉をつけ・美しいカラダを作ることを意識してみてください。