医療・介護・福祉・保育業界専門の求人をお探しの方は医療・介護・福祉・保育bizへ。詳しくはこちら!

「就労定着支援」ってなに?サービス内容や利用方法・料金について解説します!

この記事は約7分で読めます。

障害を持った方・難病のある方が、一般企業で働くために活用できるサービスには、様々な種類があります。

これまでにご紹介した「障害者雇用」や「就労移行支援」なども、そのサービスの一つです。

そして今回ご紹介するのは、就労における課題や悩みを解決し、長く働き続けられるようにサポートする「就労定着支援」に関するご紹介となります。

サービス内容や、利用料金・利用方法などについて、詳しく解説していきたいと思います。

「就労定着支援」とはなにか?


この制度の目的は、「一般就労をしている障害のある方が、長く職場に定着できるようにすること」にあります。

日本は、これまでにも以下のようなさまざまな施策を積極的に打ち出してきました。

◆1960年:「身体障害者雇用促進法(のち障害者雇用促進法)」
◆1970年:「心身障害者対策基本法(のち障害者対策基本法)」
◆2016年:「障害者差別解消法」

さまざまな施策が打たれてきた中で、確かに障害者の雇用は増加することとなりました。

しかし、それと同時に「障害者の離職率も高い」という問題も浮き彫りになってきたのです。

せっかく雇用者数自体は増加しているのに、離職率が高くなっては意味がありません。

そこで、一般就労してからも、“離職しないためのフォローを行う支援”を実施することとなりました。

これが、「就労定着支援」というものなのです。

これは「障害者総合支援法」の訓練等給付の対象となるサービスであり、2018年4月から実施されています。

具体的にどんな「支援」を行うの?


実際に仕事をはじめてみると、生活リズムが変わってくることもあって、人によってはさまざまな悩みが出てきます。

例えば、

◆仕事でミスが多く、どう対処したらいいか分からない
◆職務や職場の雰囲気になかなか慣れることができない
◆上司や同僚とうまくコミュニケーションが取れない
◆体調管理ができず、遅刻や欠勤が増えてしまう
◆お給料をもらっても、お金の管理ができない
◆身だしなみが乱れる
◆薬を飲み忘れてしまう

などが挙げられます。

こういった時に「自分一人では対処(解決)方法が分からない」となり、悩みを一人で抱え込んでしまう方がいるのです。

そうなると、余計に生活リズムが崩れて体調を崩しやすくなったり、より仕事でミスが多くなってしまうなど、悪循環に陥ってしまう可能性もあります。

これが、安定した就労に影響を与え、離職率を高める要因となってしまうのです。

この問題を解決するために、このサービス(制度)が存在します。

具体的な支援方法としては、まず「各事業所の担当者が月に1回以上のペースで障害のある方と面談をし、どんな課題があるかを把握する」ことから始まります。

その上で、「課題解決のためのアドバイス」をしたり、「勤務先へ訪問」して問題解決を図ったり、「医療機関や福祉機関と連携」して、働きやすい環境へとつなぐなどを行います。

ちなみに、対象となる方は、「就労移行支援」「就労継続支援A型・B型」「生活介護」「自立訓練サービス」を経て、一般就労をした方となります。

また、支援に関しては「障害者雇用枠」でも「一般雇用」でも、どちらの場合であっても、障害のある方が働きやすくなるよう支援を行ってくれます。

どこで受けることができるのか?

実施している事業所は、以下のようなところです。

◆「就労移行支援事業所」
◆「就労継続支援A型事業所」
◆「就労継続支援B型事業所」
◆「生活介護事業所」
◆「自立訓練事業所」

一定数以上の就職者を出している上記の事業所において、実施している可能性があります。

尚、この制度自体が2018年からと比較的新しいものであるため、現時点では上記でご紹介したすべての事業所が取り組んでいるわけではありません。

これから体制を整えるところや、支援の方法を模索している事業所も多いはずです。

そのため、「どこの事業所で、どのような支援を行っているのか?」を詳しく知りたい方は、事業所のサイトを確認したり、自治体の障害福祉窓口などで問い合わせをしてみてください。

「利用期間」について

まず、生活介護・自立訓練・就労移行支援・就労継続支援を行う事業所から利用者が一般就労した場合、最初の6ヶ月は利用していた事業所がそれぞれのサービスの範囲として定着支援を行います。

そして、それ以降も支援が必要であれば、そこから定着支援のサービスに申し込むことによって、支援を受けることができるのです。

尚、事業所の支援期間は「最大3年」となっており、支援開始から1年ごとに支援を更新するかどうかを判断されます。

ただし、3年間の支援期間が終了した後も、そこで支援が打ち切られるという訳ではありません。

障害者の就労支援を行なう公的支援機関などと連携を取りながら、必要に応じた支援は継続されていくこととなります。

利用期間の詳細については、利用した(利用していた)事業所や、お住まいの自治体の障害福祉の窓口に相談してみるようにしてください。

「利用料」や「自己負担額」について


これは、「利用者本人の前年の収入状況」などによって、異なることとなります。
(就労移行支援や就労継続支援のサービスと同様の料金体系である)

基本的に1割負担で利用でき、「就労移行支援に通所していて収入が発生していなかった」場合や、「納税の金額が一定額以下だった」場合などは、自己負担が発生するのは“事業所を利用してから2年目”であることが多いとされています。

ただし、詳細な料金体系は自治体によって異なることとなりますので、「具体的な料金を知りたい!」という方は、自治体の窓口に行って質問してみるといいでしょう。

「申し込み方法」について

利用を希望される方は、市町村の障害者福祉の窓口に申請をすることとなります。

利用するための条件は「生活介護・自立訓練・就労移行支援・就労継続支援の事業利用を経て、一般就労をしていること」です。

この場合、すでに訓練等給付の対象となっているので、新たに複雑な手続きなどをする必要はありません。

ちなみに、就職までに利用していた事業所で継続して定着支援を利用したいという方も、改めて申し込みをする必要があります。

一連の流れとしては、以下のようになります。

◆市区町村の障害福祉窓口や相談支援窓口で、サービスを利用したいこと伝える
◆調査員による生活状況などの聞き取り調査を受ける
◆指定特定相談事業者、または自分自身でサービス等利用計画案を作成、提出
◆サービスを受けるための受給者証が発行される
◆就労定着支援サービスの利用開始

就労定着支援について気になる方は、まずは事前に利用している生活介護・自立訓練・就労移行支援・就労継続支援の事業所で、スタッフに相談してみてください。

まとめ

以上が、「就労定着支援」に関するご紹介となります。

事業を開始するには一定の条件があり、そもそも制度自体が2018年から実施されているものだけに、まだまだ実施している事業所の数はそう多くはありません。

しかし、これから条件に該当する施設は増え、就労定着支援事業所の指定を受ける事業所の数は増えていくはずです。

もし、「仕事をする上で困っていることがある」と悩みを持たれている方がいらっしゃれば、就労定着支援を利用することを検討してみるのもいいかと思います。

ただし、一つだけ注意点があります。

それは、「相談の主体は相談をしている本人である」ということです。

相談をする中で、支援する側が問題を解決できる部分もあるかもしれません。

しかし、相談というのは「自分で自分の課題を明確化・整理し、自身で解決するもの」でもあるのです。

誰にも相談しないより、相談できる人がいる方が良いのは間違いありませんが、“受動的”になっていては、解決できるものも解決できない可能性もあります。

相談をするのは大切なことです。

そして、相談できる環境・人がいるなら、積極的に活用すべきだとも思います。

ただ、「何に悩んでいるのか?」「何を解決したのか?」を、自分の中である程度明確にしておくことも大切です。

活用できるものはしっかりと活用して、より働きやすい環境を作れるようにしてみてください。

タイトルとURLをコピーしました