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「就労移行支援」とはなにか?制度内容や「就労継続支援」「就労定着支援」との違いなどについて解説します!

この記事は約9分で読めます。

障害者の方が仕事をしていく上で活用できる制度には、さまざまな種類があります。

前回の記事でご紹介した「障害者雇用」もその中の一つです。

そして、今回ご紹介するのは「就労移行支援」についてです。

◆「働き続けられるか不安……」
◆「自分に合う仕事がわからない……」
◆「『障害』とどう付き合いながら働いたら良いかがわからない……」

上記のような悩みを持っている方に知っていただきたい、そして活用していただきた制度であり、就職・仕事の復帰に向けた準備ができます。

この制度の内容、および「就労継続支援」「就労定着支援」との違いについてなど、詳しく解説をしていきたいと思います。

「就労移行支援」とはなにか?

概要


この支援制度のことを分かりやすく言うと、「障害をお持ちの方や難病のある方が、一般企業に就職するために必要な訓練および支援を受けられるサービス(場所)」のことを指しています。

これは、「障害者総合支援法」「障害福祉サービス」の一つとして定められています。

就労移行支援に関する事業所は、地方自治体から指定を受けてサービスを提供しています。
(全国に約3,300ヶ所以上の事業所が存在する)

受けられる「サービス」について

特色や支援内容は事業所によってさまざまではありますが、共通する目的は一緒です。

それは、「一般企業にて働き続ける力を身に着けること」です。

そのため、以下のような訓練・支援を受けることができます。

◆職業訓練
◆就職活動のサポート
◆就職後の職業定着のサポート

このように、就職活動・内定・定着までを一貫してサポートしてくれるのです。

それぞれの項目をもう少し掘り下げてご紹介すると、以下のようになります。

【準備期】
●自己理解、障害理解のサポート
●PC訓練
●社会人基礎力(ビジネスマナーなど)のトレーニング

【実践期】
●キャリアプランの設計
●企業研究
●模擬職場体験、見学

【就職活動期】
●履歴書、職務経歴書などの作成、添削
●職場実習
●求人探し
●面接練習

【社会人デビュー期】
●定着支援の定期面談

ただし、上記でも記載した通り、特色や支援内容は事業所によりけりとなります。

そのため、自分に合った就労移行支援事業所を見つけ、通うようにしてください。

また、各事業所には「職業指導員」「生活指導員」「就労支援員」などの専門知識をもった職員が、一定数配置されています。

サービスの「対象者」について


次に、この事業所を利用できる対象者についてのご紹介です。

利用するために必要な条件は、以下の4つとなります。

1.一般企業への就労もしくは開業を希望する方で、就労可能と見込まれる方
2.身体障害・知的障害・精神障害・発達障害・難病などがある方
3.18歳以上65歳未満の方
4.離職中の方(例外あり)

少し補足を加えていきます。

まず1.ですが、あくまで「一般企業への就労もしくは開業を希望する方」が対象となるため、「就労継続支援事業所(A型・B型)」などの福祉的な支援を受ける就労を目指す場合は、ここには当てはまりません。

そして2.ですが、「障害者手帳」を所有している方はもちろん、手帳を所有していない方でも利用することができます。

ただし、障害者手帳を所有していない方は、医師の診断や自治体の判断が必要となります。
(医師の診断書や意見書などが必要となる)

加えて、初めて就業する方(就労経験がない方)だけでなく、体調を崩されフルタイムで仕事に復帰することに少し自信がない方なども利用することが可能です。

ちなみに、就労移行支援に通所できる期間は最大で“2年間(24ヶ月)”であり、事業所は基本的に「通所型」が多くなっています。

「料金」および「手続きの流れ」について

「利用料金」について

このサービスの利用料金は、「前年~直近の世帯所得」によって決められます。

人によっては無料でサービスを利用することも可能です。

ただし、お住まいの地域によって条件が細かく異なりますので、詳細はお近くの市区町村の障害福祉課や利用したい就労移行支援事業所に相談をしてみてください。

「手続きの流れ」について

上項でもお伝えした通り、特色や支援内容は事業所によってさまざまです。

また、スタッフとの相性もあるでしょうから、事前にいくつかの事業所を比較・検討してみることをオススメします。

そして、通所までの流れは大まか以下のようになります。

1.通所する事業所を選ぶ
2.お住まいの市区町村の福祉担当窓口に「障害福祉サービス受給者証」の申請をする
3.認定調査がおこなわれる
 ※この間、「暫定支給」と並行して「体験利用」をする場合も
4.「障害福祉サービス受給者証」支給決定・通所開始

事業所を利用する「メリット」「デメリット」とは?

次に、就労移行支援を利用する際に生じる可能性がある「メリット」「デメリット」について、ご紹介をしていきます。

特徴をしっかりと理解し、自分に合った事業所を選択できるよう、ぜひ参考にしてみてください。

「メリット」について

まずメリットですが、最大の特徴は「仕事のスキル面だけでなく、生活面やメンタル面のサポートおよびアドバイスが適宜受けられる」という点です。

就職活動の全面的なバックアップを受けることができるのはもちろん、さまざまなカリキュラムが多様に用意されているため、特に「就職が初めて」という方には利用をオススメできるはずです。

また、「まずは週に1度からはじめる」といったように、通所のペースやビジネススキル習得のレベル感・内容も、スタッフと相談しながら決めていくことができます。

最大2年間(24ヶ月)利用できるので、自分の無理のペースで就労に向けて準備を進められるのもメリットの一つといえるでしょう。

そしてもう一つ、「就労移行支援での経験を履歴書に書くことができる=実績を作れる」という点も、メリットに挙げられます。

一般雇用であれ障害者雇用であれ、企業側は「自社の戦力になってくれる人材を求めている」こととなります。

当然です。

会社だって慈善事業で人を採用しているわけではありません。

お給料を払う以上、どんな形であれ“会社に貢献してくれる人材”を求めることとなるのです。

そのため、企業に就職するにあたって、会社側は「あなたの実力を表せる客観的な実績」を知りたがっています。

ここで、就労移行支援で行ったトレーニングや通所機関・通所頻度などが、企業側にアピールできる立派な実績となるのです。

実際、「就労移行支援利用者を積極的に採用したい」という企業もあります。

その理由は、「安定就労の見通しが立ち、社会人基礎力が身についていると判断できる」ためです。

これらのことから、「一般企業に就職したい!」という方は、積極的に就労移行支援に通ってみるのも一つの方法ではないかと考えます。

もちろん、無理のない自分のペースで、です。

「デメリット」について

メリットがあれば、当然デメリットも存在するのが世の常です。

最大のデメリットとしては、「時間とお金の問題」が挙げられるでしょうか。

就労移行支援は、一般企業に就職するために必要な知識・技術を学べる場所であるため、中長期的に事業所に通う必要があります。

そのため、「すぐ働かなければいけない」「今すぐに収入を得たい」という人には、若干不向きと言えます。

また、人によっては事業所に通うために「お金」を必要とする場合もあるでしょう。

原則として、就労移行支援の利用中はアルバイトなどもできません。
(※自治体によってはアルバイトが可能な場合もあるため、事前に確認を取ってみてください)

「就業準備に専念する」必要があるため、人によっては合わない可能性もあるのです。

さらにもう一つ。

就労移行支援事業所のプログラムや就職支援メニューは、「障害者雇用枠での就職を希望する方向けのものが多い」という点もあります。

一般雇用での就職を希望される場合、提供されるプログラムや就職支援メニューが「希望する内容と合致しない」という可能性もあるため、注意が必要です。

後は、事業所のスタッフとの相性の問題などもあるでしょうか……。

何度も言うように、特色や支援内容は事業所によってさまざまなので、利用の前にいくつかの事業所を比較・検討することは絶対にしておいてください。

そして、できる限り自分の目的に合った事業所を選択できるようにしてみてください。

「就労継続支援」「就労定着支援」との違いはなにか?


就労移行支援と似たサービスの名称として、「就労継続支援」「就労定着支援」というものがあります。

ここでは、それぞれの違いをご紹介していきたいと思います。

「就労継続支援」とは?

こちらは、「一般企業への就業が困難な方」「就労移行支援を利用しても就職につながらなかった方」が利用可能な障害福祉サービスとなります。

職業訓練・生産活動などを行うことができる支援を受けられ、利用期間の制限もありません。

そして、最大の特徴は「就労継続支援=働く場」であるため、「賃金(工賃)」が発生することです。

この就労継続支援には「A型」「B型」という2種類があり、それぞれ違いは以下の通りとなります。

◆「A型」:雇用契約を結び、労働時間によって給料(最低賃金以上)が支払われる
◆「B型」:雇用契約は結ばず、仕事量によって工賃が支払われる

端的にいうと、「雇用契約を結ぶか結ばないかに違いがある」ということになります。

就労移行支援の目的は「一般企業への就労とそのための準備」であるため、雇用契約を結んだり、給料(工賃)は発生しません。

ここに、それぞれ大きな違いがあるといえるでしょう。

「就労定着支援」とは?

こちらは“定着”と記載されている通り、「一般就労を開始した人に対し、働くうえでの課題をサポートするサービスを提供する」ことを指しています。

対象となるのは、「就労移行支援」「就労継続支援」「自立訓練」「生活介護」などの利用を経て、一般就労へ移行した障害者の方です。

さらに「就労に伴う環境の変化により、日常生活での課題がある障害者の方」も対象となります。

仕事のスキルや生活に関するアドバイスがもらえますし、“働き始めたからこそ出てくる悩み”に対しても相談することができます。

ちなみに、「就労定着支援」を独自で導入している企業も一部存在します。

就労移行支援が“就職前~サポートを受けられるもの”であったのに対し、就労定着支援は“就職後に長く勤務できるようサポートを受けられるもの”となります。

まとめ

以上が、「就労移行支援」に関するご紹介となります。

就労移行支援のスタッフは障害の知識だけでなく、障害配慮のある企業の情報をたくさん持っています。

その中から客観的に利用者に合った会社を選んでくれたり、面接対策やアドバイスなども行ってくれるため、「一人で就職活動進めるのは不安……」といった方の大きな助けになるはずです。

障害特性や病気に必要な配慮をしてくれる企業を探すのは、一人では難しいものです。

ぜひ、就労移行支援をうまく活用し、自分に合った職場選びができるようにしてみてください。

ただし、メリットと同様にデメリットも存在します。

事業所は多数存在し、それぞれで特色や支援内容が異なりますので、事前にしっかりと比較・検討をして、自分に合った事業所選びを行うようにしてください。

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