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「要介護認定」を受けるにはどうすればいい?申請方法~認定の流れ、受けるメリットなどを解説!

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「いつか考えなければ……」と頭の片隅で気にはなっていても、ついつい考えることを先送りにしてしまう親の介護問題。

しかし、いずれは介護を必要とするときが来ますので、できれば早め早めに検討を進めておきたいところではあります。

なぜなら、介護サービスにはさまざまな種類がありますが、申し込みをすればすぐに受けられるものではなく、また必ず求めているものを利用できるわけでもないからです。

利用するには一定の条件を必要とし、特に「要介護認定」を受けている必要があるのです。

この「要介護認定」とはどのようなものなのか。

どうすれば申請ができるのか。

今回は、こういった点について、詳しくご紹介をしていきたいと思います。

「要介護認定」とはなにか?

概要


端的に言うならば、「日常生活を送る上で、介護や支援を必要とするかどうかを判断するもの」です。

要介護認定は、以下の8つに区分されています。

①「自立」(非該当)
②「要支援1・2」
③「要介護1・2・3・4・5」

「自立」はその名の通り介護や支援を必要としない(自分のことは自分でできる)状態であるため、該当しません。

しかし、年齢を重ねるごとに身体の自由が利かなくなり、いずれは誰かの助けを借りなければ日常生活を送ることが困難となってしまいます。

その、状態を表したものが「要支援」「要介護」なのです。

「要支援」よりも「要介護」の方が介護の必要性が高くなり、そして数字が大きくなるほどに“重度である”ことを示しています。

尚、自身がどのレベルに該当しているかは、心身状況に関する聞き取り調査や主治医意見書をもとに審査が行われ、判定されます。

「要支援」と「要介護」の違いはなにか?

両者の異なる点は、“心身の状況”“利用できるサービス”です。

「要支援」は、基本的には1人で日常生活を送ることができる状態のことを指しています。

ただし、一部の負担が大きい動作(作業)に関しては、部分的な支援が必要となります。

そして、こちらが受けられるのは「介護予防サービス」となります。

“要支援=要介護状態の前段階”といえる状態であり、状態が悪化しないよう維持・改善することが目的となるのです。

対して「要介護」は、介護なしでは日常生活に支障をきたしてしまう状態のことを指しています。

そのため、こちらの認定を受けると「介護サービス」を利用できるようになります。

尚、要介護度の進行具合によって、利用できる介護施設は変化する場合もあります。

例えば、「介護老人保健施設」の場合は要介護1以上から利用できますが、「特別養護老人ホーム」の場合は要介護3以上からしか原則利用ができません(状態によっては特例もある)。

認定を受けたからといって、すべての介護サービスが利用できるとも限らないのです。

また、要介護認定を受けると、「介護保険」を利用してさまざまな介護サービスを1割~3割の自己負担で利用できるようになります。

そしてもう一つ。

介護保険サービスを利用するには「ケアプラン」が必要となるのですが、この作成を依頼する手順もそれぞれで異なります。

◆要支援:地域包括支援センターの職員に相談して介護予防ケアプランを作成してもらう
◆要介護:担当してくれるケアマネジャーを探してケアプランを作成してもらう

両者は、似ているようで意味合いが大きく異なります。

それぞれの違いを理解して、自分に合ったサービスを受けられるよう工夫してみてください。

認定を受けるにはどうしたらいい?

必要な書類について


認定を受けるためには、市区町村にある「地域包括支援センター」や役所の「高齢者福祉窓口」に以下の書類を揃えて申請を行う必要があります。

◆申請書
◆介護保険の被保険者証
◆健康保険の保険者証(第2号被保険者の場合)

ちなみに、本人が申請できない(入院しているなど)場合は、家族が代行することもできます。

もし、家族や親族の支援が受けられない場合は、「地域包括支援センター」「居宅介護支援事業者」「介護保険施設(入所中の方)」で代行してもらうことも可能です。

調査の流れについて

申請すれば誰でもすぐに認定されるものではなく、以下の流れで介護認定調査が行われます。

①訪問調査の実施
②主治医の意見書の作成
③一次判定・二次判定
④結果の通知

まず①ですが、市区町村の議員や委託されたケアマネージャーなどが自宅を訪問し、申請した本人の心身の状態・日常生活・家族や住まいの環境などについて聞き取りを行います。

中には本人を目の前にして生活実態を伝えにくい場合もあるかもしれませんが、適切に設定してもらうためにも伝えるべきことはしっかり伝えなくてはいけません。

本人の普段の様子をメモに残しておく。

家族も同席し、調査委終了後に別室で生活実態を伝える。

上記のようなことも行いつつ、伝え漏れがないようにしてください。

その後、市区町村の依頼により、かかりつけの医師が「主治医意見書」を作成します。

尚、もしかかりつけの医師がいない場合は、市区町村もしくは最寄りの地域包括支援センターで相談してかかりつけ医を決めたのちに診断を受けることとなります。

上記をもとに判定が行われ、介護認定審査会の審査結果に基づいて、要介護度が認定・通知されることとなります。

この期間は地域によって異なりますが、おおよそ1ヶ月ほどが目安です(地域によっては2ヶ月ほどかかる場合もある)。

ちなみに、もし仮に認定結果に納得がいかない場合は、役所の窓口または最寄りの地域包括支援センター、もしくは担当のケアマネージャーに相談してみてください。

認定結果について、区分変更申請をするか「介護保険審査会」に不服を申し立てることができます。

これで、認定調査をすべて最初からやり直すことができるのです。

ただし、諸々時間はかかることとなります。

※要注意※ 介護認定は”自動更新”ではない

要注意点として挙げられるのは、「介護認定は自動更新ではない」ということです。

もし有効期限が過ぎてしまうと、認定の効力がなくなり介護サービスが受けられなくなってしまいます。

有効期間は、認定の申請日から「新規の場合は6ヶ月」「更新の場合は12ヶ月」となります。

また、更新できる期間は「有効期間満了日の前日から数えて、60日前~満了日まで」です。

引き続き介護サービスを利用したいと考える方は、上記の期間で更新の申請を行ってください。

尚、“著しく心身の状態の変化があった場合=介護度を変更したい場合”は、上記の有効期間を待たずに認定の変更が可能です。

このことを、要介護認定の「区分変更申請」といいます。

認定後に「介護保険サービス」を利用するためには?


「要介護認定」を受けたからといって、すぐに介護保険サービスが利用できるわけではありません。

上述でも記載した通り、サービスを利用するためには「ケアプラン=サービス計画書」の作成が必要となるのです。

相談窓口は、「要支援」か「要介護」かによって異なります。

◆要支援1・2:地域包括支援センター
◆要介護1~5:居宅介護支援事業者

要介護度によって利用サービスが異なりますので、心身の状態や本人・家族の希望などをケアマネージャーにしっかりと伝えたうえで、自身に合ったケアプランを作成してもらってください。

「要介護認定」を受けるメリットとは?

最大のメリットは、「介護サービスを受けられる」という点です。

介護支援や家事援助、施設への通所、宿泊などのサービスを利用することができます。

また、福祉用具のレンタルや購入費の負担、自宅のリフォーム費用の支給など、さまざまな介護サービスを受けることができるのです。

加えて、本来であれば高額な費用がかかる上記サービスを、「介護保険」を使うことで自己負担額を1割~3割にすることもできます(自己負担額は収入によって変動する)。

介護認定によって受けられるサービスをもう少し細かくご紹介すると、以下が挙げられます。

◆「居宅サービス」     :自宅訪問/施設への通所/短期の宿泊など
◆「施設サービス」     :特別養護老人ホーム/介護老人保健施設/介護療養型医療施設など
◆「地域密着型サービス」  :小規模多機能型居宅介護/定期巡回・随時対応型訪問介護看護/地域密着型通所介護/夜間対応型訪問介護/認知症対応型通所介護/認知症対応型共同生活介護など
◆「環境を整備するサービス」:住宅の改修援助/福祉用具貸与および購入費の支給など

さまざまなサービスを活用することができるようになるので、上記のようなサービスの利用を考えている方は、要介護認定の申請を行ってみてください。

「要介護認定」の注意点について

メリットが多い要介護認定ですが、注意しておくべき点が2つあります。

一つは、「認定までに時間がかかる」ということです。

上述にも記載した通り、申請から通知までおおよそ1ヶ月ほどの時間がかかってしまいます。

例えば、「転倒の回数が多い(危険性がある)ため、手すりを早急に設置したい」といった場合であっても、すぐに給付を受けることはできません。
(ただし、申請後であれば通知がまだ届いていない場合でもサービスを利用でき、認定されたあとに給付を受けることができる)

各居宅・施設サービスを利用する場合もそうです。

施設ごとに「要介護1以上」「要介護3以上」などの条件が設定されているため、要介護認定を受けてからでなければ、施設の利用を進めることはできません。

また、「認定されたからすぐにサービスを受けられる」というわけではなく(ケアプランの作成が必要)、「(施設の状況によって)必ずしも検討先の施設を利用できる」わけでもありません。

特に、特別養護老人ホームなど一部の施設は利用を検討している方も多く、待機者数の関係から利用まで数ヶ月~数年かかる可能性もあります。

そしてもう一つの注意点は、「訪問調査の際に異なった判定を受けてしまうこともある」です。

訪問調査にかける時間は、一般的に30分~1時間ほどの短い時間で行われます。

普段よりも張り切ってしまう高齢者の方も多く、限られた時間内で調査員に正しい情報が伝わりにくい可能性もあるのです。

また、以下のようなケースもあります。

◆「利用者と家族の認識が違っていた」
◆「普段はできていないのに、訪問時はたまたまできていた」
◆「思っていたよりもうまく伝えることができなかった」

異なった判定を受けてしまうと、本当に必要なサービスを受けることができなくなってしまいます。

そのため、調査員に「正しい情報を伝える」ことと「具体的なエピソードを交えて伝える」ことも重要となります。

そうすることで、調査員にも実態がイメージでき、正しい判定を受けられる可能性が高まるのです。

他にも、以下の点を意識してみてください。

●「訪問調査には家族も参加する」
●「訪問調査で聞かれる質問を事前に把握する」
●「普段の生活についてメモを取っておく」
●「訪問時間を夕方以降に設定する」
●「主治医意見書を充実させる」

質問内容は何十項目もあり、いきなり多くの質問をされてしまうと、伝え忘れたりうまく伝えられなかったりすることもあります。

また、利用者の中には、「できない自分を認めたくない」「元気だから介護は必要ない」と考える方もおり、普段以上に元気に振舞おうとすることがあります。

夕方は、疲労により朝よりも状態が悪い可能性が高いので、時間帯を意識することも大切といえるかもしれません(また、認知症の方は夕方に機能低下しやすいことが多い)。

そして、介護の大変さを質問項目だけで伝えることは難しいですし、限られた時間内ですべてを伝えきることも難しい場合もあります。

また、利用者と家族のそれぞれが普段困っていることも、家庭によってさまざまだと思います。

こういった点を、日頃からしっかりとメモを取っておき、肝心なときに大切な情報をきちんと伝えられるようにしておいた方が良いのです。

中には、プライドが高く真実を伝えることで傷ついてしまう利用者もいます。

メモを取ってこっそり渡すことで、利用者が不快な思いをせずに、正確な情報を伝えることにも役立てることができるのです。

こういった点を意識・注意しておくことで、調査員に正しい情報を伝えることができ、正しい介護認定を受けることができるようになります。

そうすることで、利用者にとって適切な介護サービスが受けられるようになるのです。

意識すべき点はたくさんあるので、いざというときのために、日頃からしっかりと情報収集しておくことをオススメいたします。

まとめ

要介護認定を受けることで、さまざまな介護サービスを受けることができ、かつ介護保険で自己負担額を大きく減らすことができます。

言ってみれば、「要介護認定=介護サービスを受けるための入り口」のようなものです。

中には介護を嫌がる高齢者もいらっしゃるかもしれませんが、さまざまな支援につながるキッカケとなりますので、ぜひ家族間でしっかり話し合って、今後のことを検討してみてください。

尚、介護保険の目的は「可能な限り自立した生活を継続する」であり、介護が必要になる前の段階で申請することができます。

◆「日々の暮らしの中で、何かしらの困りごとや心配ごとが出てきた」
◆「介護サービスを利用し、介護に関する負担を少しでも減らしたい」
◆「利用する本人が嫌がっており、なかなか申請が進まない」

こういった方は、地域包括支援センターや役所の窓口に相談してみることから始めてみてください。

プロのアドバイスを受けることができるので、何かしら自体が良い方向に進むかと思います。

活用できるものは最大限活用し、多くの人が長く・健康的な毎日を過ごせるよう工夫してみてください。

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