「ベビーシッター」は無資格からでも始められる仕事ですが、当然「資格」や「免許」を取得している方が、就職や依頼の際には優遇されることとなります。
では、ベビーシッターとして活かせる資格には、どんなものがあるのでしょうか?
今回は、資格の面に焦点を当てて、詳しくご紹介していきたいと思います。
「ベビーシッター」とはなにか?
ベビーシッターとしての主な業務となるのは、「利用者の自宅、もしくは指定の場所にて1~2人の子どもを預かり・保育する」です。
保育園や幼稚園の場合は「集団保育」として複数の子どもの面倒を一度に見ることとなりますが、ベビーシッターの場合は「個別保育」として少人数の子どもの面倒を見ることが特徴となります。
とはいえ、「ベビーシッター=利用料が高額で、一部の富裕層のみしか利用できない」という認識を持たれている方も多いかもしれません。
ただ、現代は保育園不足などにより「待機児童」の問題が肥大化しており、国や自治体が解消に向けて動いてはいるものの、まだまだ問題解決の目途は立っていません。
この問題解決の一環として、ベビーシッターの利用にも補助金を出そうと検討が進められており、今後はその需要も増加していくものと予想されています。
つまり、ベビーシッターがより“身近なもの”となり、この仕事が「保育士の新しい働き方の一つ」として注目を集めてきているのです。
尚、ベビーシッターに関してはこれまでにいくつか記事を公開しておりますので、以下の記事も参考にしていただければと思います。
ベビーシッターに「資格」や「免許」は必要なのか?
結論から言うと、「ベビーシッターになるために、特別な資格や免許は必要ない」となります。
無資格・未経験からでも“仕事を始めること自体は可能”なため、仕事に携わる際のハードルは他職種に比べても低いといえます。
しかし、「ベビーシッターとして、長期的・安定的に仕事をしていきたい」と考えるのであれば、資格や免許は必須となります。
なぜなら、「資格や免許は”目に見える実績”である」からです。
経験も同様です。
利用者からすれば、大切な子どもを“人となり”も分からない他人に預けることとなるのです。
もちろん、「お子さんを預ける=費用も発生する」こととなります。
お金を払って、大切な子どもを預ける……そこには、利用者が安心して預けられる「信用・信頼」が必要となるのです。
その目に見える信用・信頼の証が「実績」となるのです。
だからこそ、資格・免許は取得しておいて損をすることはありませんし、保育経験や子育ての経験もどれだけあっても無駄になることはありません。
とはいえ、上記でもお伝えした通り、この仕事は無資格・未経験からでも業務に携わることは可能です。
そのため、「実務経験を通して実績を積みつつ、資格取得を目指していく」といった動き方もできます。
実績の積み方は人それぞれなので、自分に合ったやり方で知識や技術を習得していくといいかと思います。
「在宅保育サービス」には、どんな資格があるの?
はじめに
「ベビーシッター=(基本は)在宅保育サービス」となりますが、ベビーシッターには現在「国家資格」というものは存在しません。
すべて「民間資格」となります。
色々な資格がありますが、その中でも特に有名な資格は以下の3つが挙げられるでしょうか。
◆「ベビーシッター資格」
◆「ベビーシッター技能認定」
この項目にて、それぞれの資格をご紹介していきます。
「認定ベビーシッター」について
これは、「全国保育サービス協会」が認定している、ベビーシッターのための民間資格です。
ベビーシッターとして「在宅保育」や「個別保育」を業務として行うために、基礎的・専門的知識や技術を身につけていることを証明してくれます。
尚、登録は初回の有効期限が「5年」で、一度研修を受けて更新した後は「一生涯」有効となります。
この資格の取得条件(受験資格)ですが、以下3つをクリアする必要があります。
2.全国保育サービス協会主催の研修会に参加すること
3.ベビーシッターの実務を経験すること
つまり、この資格に関しては「ベビーシッターの実務経験がないと、受験資格を得られない」のです。
実務経験というのは、以下が該当します。
◆ファミリー・サポート・センター事業
◆自治体が実施する家庭的保育事業(保育ママ等)
◆協会会員事業者が運営する保育施設
ちなみに、実務経験については「勤続年数」や「時間」が問われることはありません。
ただし、受験時に提出する「実務経験証明書」に記載+事業者の押印が必要となります。
自己申告では認められませんので、この点にはご注意ください。
最後に、試験概要についてですが、以下のようになっています。
●筆記試験:90分
●実技試験:なし
●試験会場:東京・大阪・名古屋・岡山
●受験料 :11,330円(税込) +合格時登録料4,120円
「ベビーシッター資格」について
これは、「日本能力開発推進協会」が設立している資格であり、「子育てに関する基礎知識」「保育マインドに関する基礎知識」「子ども教育に関する職業能力」を証明してくれます。
上記「認定ベビーシッター資格」との最大の違いは、以下の2つです。
2.自宅受験が可能である
実務経験こそ必要ありませんが、日本能力開発推進協会が指定する「認定教育機関」などが行う教育訓練、その全カリキュラムを修了すれば、受験することが可能となります。
(受講料は、48,000円(税抜)となっている)
最後に、受験概要は以下の通りです。
●筆記試験:自宅でテキストを見ながら回答
●実技試験:なし
●試験会場:在宅受験のためなし
●受験料 :5,600円(税込)
「ベビーシッター技能認定」について
最後にご紹介するのは、「一般財団法人日本医療教育財団」が設立している「ベビーシッター技能認定」です。
試験概要は、以下のようになっています。
●筆記試験:60分(テキスト持込み可能)
●実技試験:なし
●試験会場:全国各地あり
●受験料 :3,000円(税込)
この試験の最大の特徴は、「テキストが持ち込み可能である」ということです。
そのため、基本的に試験に不合格となることはほぼありません。
また、全国各地に試験会場があるため、大都市圏以外の方も比較的受験しやすいかと思います。
受験資格ですが、これも実務経験は必要ありません。
ただし、通信もしくは通学のベビーシッター養成講座のカリキュラムを修了しなければいけません。
講座受講料は、「通信+スクーリング:48,000円(税抜)」「通学:74,000円(税抜)」で、認定料の3,000円も含まれています。
持っていると有利となる資格・免許は他にもある?
結論から言うと、以下のような「シッティングに活かせる免許を所持している人」は、就職・転職の際にも優遇される傾向にあります。
◆幼稚園教論
◆小学校教論
◆看護師
◆助産師 など
「保育士」「幼稚園教論」「小学校教論」などは、言わずもがなでしょう。
保育や学習に関する知識を有していることから、保育業務にも活かすことができます。
そして、医療関連の免許も持っていると、通常「シッティングを頼みにくい立場の人」からの依頼も受けることができるようになります。
「看護師」の場合は、急な体調不良やケガにも臨機応変に対応できますし、疾病をもつ子どもを抱える母親も安心してシッティングを頼めます。
「助産師」の場合は、“新生児の保育に長けている”という証明にもなり、「沐浴(りんよく)」なども安心して任せられます。
※沐浴(りんよく):ベビーバスなどにお湯を溜め赤ちゃんを入れ、身体を洗ってあげることを指す※
加えて、”ベビー”シッターと称してはいるものの、その対象年齢は意外に幅広く、“ベビー&キッズ”シッターと呼ばれることもあります。
(0歳~12歳、企業によっては18歳まで対象としていることもある)
このことから、従来の保育に加え、
◆体操
◆ピアノ
など、習い事を兼ねて依頼できるシッターにも人気が集まっているのです。
このことから、勉学に関する経験・資格を所持しているのも、今後の活動の幅を広げるために大いに役立ってくれることでしょう。
後は、「(保育園や幼稚園などの)お迎え」も業務に加わっていることもあるため、「普通自動車免許」なども所持しておけば業務に役立てることができるはずです。
もちろん、「移動手段として車を利用できる=より広範囲の仕事を請け負える」ということでもあるため、活動範囲を広げる上でも役立ってくれるはずです。
ちなみに、この項目でご紹介した資格は、基本的に「国家資格」がほとんどです。
これら資格を取得している人の場合、「ベビーシッターに関する民間資格は取得しなくても良い?」と考える人も中にはいるかもしれません。
しかし、「ベビーシッターとして、長期的・安定的に仕事を続けたい」と考える人は、合わせてベビーシッターに関する民間資格も受講しておくべきと考えます。
その理由は、「ベビーシッターに関する資格を取得すれば、より”個別保育”のスキルや専門性を向上させるために役立てることができるから」です。
幅広く資格を取得しておくことで、専門的な知識や技術が学べ、それらすべてがベビーシッターの仕事に役立てることができます。
もちろん「何でもかんでも資格を取得すれば良い」というわけではありませんが、「仕事に活かせる資格は取得しておいて損をすることはない」とも言えます。
自分にとって、「どんな資格が必要なのか?」をしっかりと考え、役立てられる資格を取得してみてください。
まとめ
以上が、「ベビーシッターとして活かせる資格」についてのご紹介となります。
確かに、ベビーシッターになるために、特別に必要な資格というものは存在しません。
しかし、“仕事に活かせる資格”はたくさんあります。
実務経験を経てから取得できる資格もあります。
実務経験がなくても取得できる資格もあります。
他職種からの転職であっても、活かせる資格があります。
利用者のニーズは利用者の数だけ存在するので、役立てられる資格もそれだけ数多く存在するのです。
ぜひ、自分に合ったやり方で、実績を積むことはもちろん、さまざまな資格を取得してみてください。
特に個人事業主(フリーランス)として働く場合は、より“目に見える実績”が必要不可欠なものとなるため、資格も数多く取得しておいて損をすることはありません。
さまざまな資格を取得し、日々のシッター業務に役立てててみてください。
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