ダイエットの目標は人によってさまざまであり、中には「〇〇だけ集中的に痩せたい」と考える人もいらっしゃるのではないでしょうか。
いわゆる「部分痩せ」というものですが、実際に部分痩せを行うことは可能なのでしょうか。
今回は、この部分痩せに取り組むうえで押さえておくべきポイントと、部分的な引き締め効果を実感しやすくなる方法について、ご紹介していきたいと思います。
「部分痩せ」とはなにか?
概要
これは、その名の通り「身体の一部分だけを引き締めるダイエット法」のことを指しています。
代表的な部位でいうと、「お腹」「二の腕」「脚(太もも)」などが挙げられるでしょうか。
実際、部分痩せがしたくて、運動やストレッチなどを始めようと考える人も多いはずです。
そして、世の中にはさまざまなダイエット方法があり、その中には部分痩せに関するダイエット法などが紹介されていることもあるかもしれません。
しかし、“その成果を十分に得られた=部分痩せに成功した”という経験談はあまりに耳にすることはありません。
本当に、「部分痩せ」は可能なのでしょうか。
現実的に、「身体の一部分だけを細く引き締める」ことは可能なのでしょうか。
部分痩せは、基本的に”不可能”である
結論をいうと、「食事や運動だけで身体を部分的に痩せさせることは不可能」です。
その理由は、“人間の体には特定の脂肪だけを減らすような機能は存在しない”からです。
まず、痩せるためには「体脂肪」を落とす必要があります。
そして、この体脂肪には「内臓脂肪」と「皮下脂肪」の2種類が存在し、それぞれで特徴が異なります。
それぞれの違いは、以下の通りです。
◆皮下脂肪:皮下組織についた脂肪のことであり、「一度ついてしまうと落とすのに時間がかかる」
例えば、運動をして筋肉をつけたり食事制限をしたときに、真っ先に落ちるのは「内臓脂肪」となります。
そのため「二の腕から」「太ももから」といったように、“部位を指定して”そこから優先的かつ集中的に脂肪を落とすということは理論上不可能なのです。
ちなみに、有酸素運動は体脂肪を主な燃料とするため、ダイエットに効果的と言われています。
※詳細は以下にて※
運動によって脂肪が分解されるということから、例えば「下半身を動かす運動を続けていれば、脚は細くなっていくのでは?」と考える人もいるかもしれません。
しかし、実際はそんなことはありません。
その理由は、“脂肪が必ずしも運動している部位にあるとは限らない”からです。
こうした点から、食事制限や運動によって部分痩せを行うことは“不可能”と言われているのです。
ただし、脂肪の蓄えやすさは人によって異なります。
脂肪の蓄えやすい場所は人によって異なる
上記に記載した通り、体脂肪は「内臓脂肪」と「皮下脂肪」に分けられます。
内臓脂肪の方が蓄積されやすいものの落ちやすく、逆に皮下脂肪は一度蓄積されるとなかなか落ちてくれません。
さらに皮下脂肪は、部位ごとに落ちやすさに差があります。
基本的に、内臓から遠いところ……つまり“身体の末端”から落ちていくのです。
その理由は、「内臓まわりの皮下脂肪には、重要な臓器を守る働きがある」からです。
つまり、手首・足首・前腕・ふくらはぎなどの末端部分は比較的早期にダイエットの効果が得られやすく、逆にお腹・太もも・お尻などはダイエットの効果が出るまでに時間がかかるということになります。
また、脂肪を蓄えやすい場所は、性別によって異なります。
女性の場合は、内臓脂肪よりも皮下脂肪の比重が大きいとされています。
これは授乳期に備えた身体の仕組みによるものと言われており、どちらかというとお尻や太ももなど“下半身”に脂肪がつきやすいのです。
いわゆる「洋ナシ体型」と言われるものです。
一方で男性の方は、内臓脂肪が優先的に蓄積されていきます。
そのため、下半身よりも“お腹まわり”に脂肪がつきやすく、いわゆる「リンゴ体型」になりやすいと言われているのです。
血行の促進を図ろう!
部分痩せしたいと感じる部位は人によって異なるかと思いますが、まずは普段の生活を見直すことから始めてみましょう。
特に近年は新型コロナウイルス感染症の影響もあって、“動かない人”が増えています。
動く機会が減ると、筋肉はどんどん減少し、脂肪がつきやすい体質になってしまいます。
また、筋力の低下は身体へ悪影響を及ぼす可能性が高まります。
運動をせずに筋力が低下すると、「動く」「立ち上がる」「座る」「持ち上げる」などの日常生活を行う上での当たり前の動作も難しくなるのです。
これは、高齢者だけの問題ではありません。
例えば、2週間ほど運動しないままでいると、20代でも筋力の1/3が減ってしまうと言われているのです。
特に、人が日常生活を行う上で、下半身の存在は非常に重要です。
外出の機会が減ったことにより、仕事・プライベートを問わずに長時間同じ姿勢で過ごす人が増えており、そうなると足がむくみやすくなり、より太く見えてしまうのです。
また、近年はパソコンやスマートフォン普及の影響から、顔……特に「アゴ」のたるみを引き起こしやすくもなっています。
下を向く機会が多くなったことで筋肉がたるんでむくみを引き起こしやすくなり、結果、顔が大きく見えたり二重アゴになってしまう可能性が高まるのです。
加えて、姿勢が悪くなる人=猫背になる人も多いはずです。
こういった状態が長時間続くと、血液の流れが悪くなってしまいます。
そのため、総じて「意識的に体を動かし、血行促進を図る」ことが重要となるのです。
部分ごとにボディラインをスッキリさせる方法について
ここまでにご紹介した通り、部位を指定して、そこから優先的かつ集中的に脂肪を落とすということは理論上不可能です。
ただ、部分痩せそのものができなくても、部分的な引き締め効果を実感しやすくなる方法はいくつかあります。
有効的な手段は、主に以下の3つです。
2.「筋肉」をつける
3.「マッサージ」をする
順に解説を加えていきましょう。
方法1.「有酸素運動」をする
その名の通り、「酸素を活用しながら行う運動」のことであり、代表的なものにウォーキングや水泳・ダンスなどが挙げられます。
ダイエットや健康に気を使う人なら、耳にしたことがある人は多いはずです。
主な特徴は、筋肉への負荷が比較的軽いこと、そして体内の糖質や脂質をエネルギー源として使用することです。
体脂肪の燃焼効果があるため、特にダイエットをしたいという方にオススメの運動方法となります。
ただし、注意点が2つあります。
一つは、「体脂肪がエネルギー源となるのは、20分を超えてから」という点です。
有酸素運動の開始直後は糖質がエネルギー源となり、体脂肪がエネルギー源となるのは20分を超えた辺りからなのです。
そのため、脂肪燃焼を目的としているならば、有酸素運動を20分以上継続して行う必要があります。
ちなみに、1時間以上の有酸素運動を行うと、体脂肪だけでなく、体内にある”たんぱく質”を分解してエネルギーにしようとする働きが起こってしまいます。
そのため、1回の有酸素運動の目安は、30分~1時間ほどが良いかと思います。
もう一つの注意点は、「有酸素運動の基準は、人によって異なる」です。
例えば、まったく同じ時間・同じ量の有酸素運動を行ったとしても、日ごろまったく運動していない人とアスリート並みに運動している人とでは、身体への負荷が大きく変わってきます。
有酸素運動であるかどうかを見極めるポイントは、「運動をしながら会話を楽しめるか?」「十分に呼吸ができるか?」という点です。
運動に慣れていない人は、短時間でも運動量を少なくしてみるでも良いので、まずは体に無理のない範囲の有酸素運動から始めてみてください。
そして、慣れてきたら、徐々に運動量を増やしていきましょう。
方法2.「筋肉」をつける
“部分的に脂肪を落とす”ことはできませんが、“部分的に鍛えて筋肉をつける”ことはできます。
腹筋・腕立て・スクワットなどはその代表例であり、筋肉量を増やせば鍛えた箇所の引き締め効果を得ることができます。
なぜなら、「筋肉には脂肪を燃焼させる効果がある」からです。
筋肉量が増えれば基礎代謝が高まるため、「太りにくく痩せやすい身体へと近づける」というメリットが得られるのです。
もちろん、筋肉を鍛え・体が引き締まれば、見た目の印象も大きく変わってきます。
尚、女性の方は、「筋肉質になりたくない」「筋肉がつくと細くならない」という理由から筋トレを嫌がる人もいます。
しかし、そう簡単にボディビルダーのようなムキムキの体になることはほぼあり得ません。
なぜなら、筋肉を発達させたり、体脂肪を減少させるホルモンである「テストステロン」というのは、男性ホルモンの一種であり、女性は多く持っていないのです。
テストステロンを多く持つ男性ですら、マッチョを目指すにはそれ相応の努力が求められます。
そのため、そう簡単に筋肉質な体を手に入れることはできないのです。
ただし、女性の中にも、鍛え上げたムキムキの筋肉を持った方はいます。
とはいえ、そういう人は、相当に負荷の高いトレーニングと、かなりストイックな食事制限で極限まで体脂肪を減らした方なのです。
普通の筋トレでムキムキになることはまずありませんので、安心して筋トレを行ってみてください。
方法3.「マッサージ」をする
ボディラインを引き締めたいという方は、有酸素運動・筋トレと併せてマッサージを行うのもオススメです。
マッサージをすることで血流が良くなり、また皮膚や筋肉をほぐすことによって、血流の改善・むくみの解消・脂肪燃焼・基礎代謝の向上など、体に良い効果をもたらしてくれるのです。
また、血流促進だけでなく「リンパ」の働きを促進する効果もあります。
リンパは身体の中の「リンパ管」を伝って全身に行き渡っており、老廃物の排泄機能を有しています。
老廃物を排出することで、むくみが改善され見た目を補足することができるのです。
太ももの付け根・膝の裏・脇の下など、体にあるリンパ節に向けて、リンパ液を流していきましょう。
尚、マッサージを行う際は、皮膚の摩擦を最小限に抑えるために、ボディオイルやクリームを活用してみてください。
筋トレ後に有酸素運動をすることで、ダイエット効果は高まる!
運動を継続的に行ううえで、一つ大切なことがあります。
それは、「筋トレ(無酸素運動)後に、有酸素運動をする」ということです。
筋トレ(無酸素運動)を先に行うことによって、基礎代謝をアップさせる働きや脂肪を分解する働きを持つホルモンが分泌されるため、より効果的に脂肪を燃焼させることができるようになるのです。
ただし、筋トレの負荷をかけすぎると、かえって脂肪が燃えにくくなる+体への負担も大きくなってしまうため逆効果となります。
息が大きく上がらない程度の負荷をかけつつ、じっくり自分のペースで取り組んでみてください。
尚、筋トレを続けていると、その途中で一時的に体重が増えてしまうことがあります。
この理由は、「筋肉は脂肪よりも重い」ためです。
しかし、筋肉量が増えるということは“基礎代謝が上がって脂肪が燃焼しやすくなる”という意味であり、結果としてダイエットの成功に結び付きます。
きちんと食生活の見直しと運動を継続していれば、ダイエットは成功します。
「体重が増えた!?」と焦らずに、自信をもってその生活を続けてみてください。
食生活の改善も行うこと!
健康的な食習慣を目指そう
ここまでに記載した通り、運動はもちろん、食事でも部分痩せすることは不可能です。
なぜなら、食事を摂ると栄養が消化・吸収されて全身に行き渡るからです。
しかし、ダイエットをするうえで食生活の見直しをすることは非常に大切なことです。
そもそも、太る原因は「消費されずに余ったカロリーが脂肪として蓄えられるから」です。
せっかく運動をしても、食事の量が多くなったり、食生活が乱れていては良い成果は期待できません。
もっとも大切なことは、「規則正しい食習慣を心掛ける」ということです。
◆夕食は控えめにし、21時以降は食べない
◆カロリー計算をする(偏食をしない)
◆ゆっくりよく噛んで食べる
◆食べる順番を工夫する(野菜など食物繊維を多く含むものから食べ始める)
上記のようなことを意識し、まずは食習慣の見直しを行ってみてください。
そして慣れてきたら、今度は「食べ物(食材)」にもこだわってみてください。
意外と、「ダイエット=カロリーの低いものを食べればいい」と考える人がいます。
しかし、実際に重要なことは、「バランスよく栄養を摂取する」なのです。
野菜などに含まれる「食物繊維」を多く含む食品を摂ることは重要です。
しかし、だからといって野菜だけを毎日食べれば良いというわけではありません。
筋肉量を維持するために「たんぱく質」を摂取することも大切ですし、過度の糖質制限はエネルギー不足による疲労感や集中力の減退を招いてしまう恐れもあるため「糖質」だってある程度は摂取しなければいけません。
そのためには、肉・魚・豆・卵・米など、いろいろな食材を食べる必要があります。
大切なのは“偏食にならないこと”です。
体に良いから・悪いからという理由で、特定の食材だけを摂取していては、かえって体に悪影響を及ぼす可能性だってあるのです。
この点を意識し、健康的な食生活を送れるよう工夫してみてください。
摂取してはいけないものもある
ただし、特にダイエット中は摂取を控えた方が良いものもあります。
それは、「アルコール」「飽和脂肪酸」「トランス脂肪酸」などです。
まずお酒は、筋肉の成長を阻害し食増進効果の影響もあって、ダイエットと相性が良くありません(そもそも健康にも悪影響を及ぼす可能性が高い)。
※詳細は、以下記事を参照ください※
次に飽和脂肪酸ですが、これは体内合成が可能な脂質の一種で、肥満の原因の一つです。
動物性の食品に多く、例えば牛や豚などの脂身、バターや生クリームなどに多く含まれています。
要するに“脂”であるため、摂り過ぎれば健康にも悪影響を及ぼしてしまいます。
ただし、肉はたんぱく源の一つでもあります。
ダイエットの際には、脂質の少ない部位を選び・脂身を取り除いて摂取することをオススメします。
最後のトランス脂肪酸というのは、脂質の構成成分である脂肪酸の一種のことで、飽和脂肪酸よりもコレステロール値を上げる原因であることが示唆されています。
特に、マーガリン・ファットスプレッド・ショートニングなどに多く含まれている工業由来のトランス脂肪酸には注意が必要です。
また、上記を原材料として作られる、パン・ケーキ・洋菓子・揚げ物なども、ダイエット中は控えた方が良いといえます。
どれも健康にとっても良くありませんので、できれば普段から控えるよう意識してみてくださいね。
大切なことは「無理をせず、継続すること」である
ダイエットのために食事制限をする人は“我慢”することが多く、そういう人は体重が目標値に達した時点で昔の食生活に戻ってしまう可能性が高いです。
そうすると、「リバウンド」を引き起こしてしまい、余計に脂肪が落ちにくい身体になってしまいます。
大切なことは、“習慣化”させることです。
そのためには、食生活のすべてをいきなりガラッと変え過ぎないこと。
無理をすると長続きしませんし、時には頑張っている自分にご褒美をあげることも大切です。
運動にしても食事にしても、いきなり全速力で頑張ろうとすると相応の負荷がかかってしまいます。
ダイエットはそう簡単に目に見える成果が出るものではありませんので、無理せず自分のペースで少しずつ環境を変えてみてください。
そうすれば習慣化させやすくなり、習慣化してしまえばその生活が当たり前のものになります。
そうなると、自然と痩せやすい体になっていきます。
まとめ
食事や運動で部分痩せすることは不可能であり、理想のプロポーションを得るためには、食事の改善と運動を継続する=ダイエットすることが最善策となります。
ただし、筋肉を増やしたり、むくみを解消したりすることで、スッキリとしたボディラインを目指すことはできます。
「部分痩せは無理だから」と諦めず、自分のペースでできることから始めてみてください。
そして、それを習慣化できるように頑張ってみてください。
時間はかかるかもしれませんが、習慣化できるようになれば、痩せやすい体を手にすることができ、理想のプロポーションに近づけるようになるかと思います。