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【児童福祉司】どうやったらなれる?適性のある人や将来性について徹底解説!

この記事は約10分で読めます。

「児童福祉司」とは、子どもや保護者等からの相談に応じることはもちろん、必要に応じて、“家庭の調査”“社会診断”を行い、「子ども・保護者間の関係調整(家族療法等)」を行う職種のことです。

前回の記事で、その業務内容や似た名称の職種との違いについてなどを解説しました。

【児童福祉司】どんな仕事?仕事内容・勤務地・他職種との違いについて徹底解説!

今回は、以下の点について詳しくご紹介をしていきたいと思います。

◆児童福祉司のなり方(資格や条件について)
◆児童福祉司に適性のある人物とは?
◆現状や将来性について

「児童福祉司=公務員」である


児童福祉司の業務内容は冒頭でお伝えした通りであり、勤務先は各自治体に設置された「児童相談所」となります。

「児童福祉司は児童相談所に配置することが義務付けられた職員」のことを指しているのです。

つまり、「児童福祉司=公務員」という扱いになります。

そのため、児童福祉司になるには、以下2つの条件をクリアしなければいけません。

①「地方公務員試験」に合格する
②「児童福祉司 任用資格」を得る

それぞれ、個別にご紹介していきます。

「地方公務員試験」に合格する


まず、児童相談所で働くためには、地方公務員試験の「福祉職」もしくは「社会福祉区分」で受けて、合格する必要があります。

ただし、採用人数は一般行政職と比べてもかなり少なめで、競争率はかなり高くはなります。
(元々公務員自体が非常に人気があり、どの公務員試験であっても採用倍率は高めです)

この点は、筆記・面接試験ともに入念な対策を行ってから本番に挑むことをオススメします。

尚、近年は少子化が社会問題の一つになっているにも関わらず、福祉の手助けを必要とする子どもが増えているのが現状です。

そのため、“福祉職を増員する自治体”も増加傾向にあります。

中小の自治体であれば一般行政職と一括で募集することも多いですが、ある程度規模の大きな自治体(都道府県・政令指定都市・特別区など)は、一般行政職と分けて福祉職の募集がされることもあります。

これは、お住いの……もしくは勤務したいと考えている自治体のホームページなどを確認し、どういう募集の仕方をしているかをチェックしてみてください。

最後にもう一つ。

自治体が公務員の採用募集をかけるのは、基本的に“年に1回”です。

また、公務員はその“待遇の良さ”“働きやすい環境”であることから離職率が低く、自治体によっては「退職者が出た時だけ募集をかける」というところもあります。

狭き門であるが故に、競争率が高くなっているのも理由の一つなのです。

こちらについても、各自治体のホームページを確認したり問い合わせの連絡を入れたりして、採用募集がかかるタイミングをチェックしてみてください。

「児童福祉司 任用資格」について


次に「児童福祉司 任用資格」について、詳しくご紹介していきたいと思います。

任用資格の取得するための要件は複数存在し、また“任用資格”であるため注意しなければいけない点もあります。

任用資格の”要件”とは?

要件を満たす方法はいくつか存在し、以下が挙げられます。

【児童福祉司 任用資格を取得する要件】

1.厚生労働大臣の指定する児童福祉司or児童福祉施設の職員を養成する学校その他の施設を卒業する

2.大学で心理学・教育学・社会学いずれかの課程を修了し、厚生労働省指定の各種福祉施設において、1年以上の相談援助業務に従事する

3.大学院で心理学・教育学・社会学を専門に学ぶ研究科を卒業し、厚生労働省指定の各種福祉施設において1年以上の相談援助業務に従事する

4.医師・社会福祉士・精神保健福祉士のいずれかの資格を取得する

5.社会福祉主事として、3年以上児童福祉事業に勤務する

6.社会福祉主事として、児童福祉事業の勤務と児童相談所所員の勤務が2年以上ある人

7.助産師、教員(1種)、保健師で指定された施設で相談・援助業務に1年以上勤務した人

8.看護師、保育士、教員(2種)で指定された施設で相談・援助業務に2年以上勤務した人

9.児童指導員で指定された施設で相談・援助業務に2年以上勤務した人

ただし1.~4.以外の場合は、厚生労働大臣の指定する講習会を受講して、課程を修了しなければいけません。

この任用資格の要件を満たす方法は、非常に内容がややこしく、各サイトの情報によって言い回しが微妙に異なっていたりします(結論としては同じことを言っており、言い回しが違うだけである)。

気になる方は「厚生労働省 児童福祉司 任用資格の要件」などで検索をかけて詳細を確認してみてください。

念のため、以下にリンクを貼っておきます。

参考:厚生労働省-児童福祉司の任用資格要件について

なんにせよ、上記要件を満たし「児童福祉司 任用資格」を取得。

そして、「地方公務員試験」に合格することで、児童福祉司を名乗ることができ、児童福祉司としての業務を行うことができるようになるのです。

児童福祉司は”任用資格”である

ここで注意しておかなくてはならないのは、「児童福祉司は、”任用資格”である」という点です。

任用資格とは、試験を受けたりするのではなく、上記の通り「任用資格要件」を満たすことによって、半ば自動的に得られる資格です。

そして、この任用資格は「その仕事に従事している時のみ効力を発揮する資格」のことを言います。

つまり「任用資格だけ取得していても児童福祉司を名乗ることはできず、資格は一切の意味を成さない」となるのです。

行政職については、その職についていない者が称すると混乱が生じることがあるため、「職」と「任用資格」を厳格に区分する傾向があります。

前回の記事で「社会福祉士」と「児童福祉司」の違いを記載しましたが、社会福祉士は“国家資格”であり、“名称独占資格”です。

【児童福祉司】どんな仕事?仕事内容・勤務地・他職種との違いについて徹底解説!

社会福祉士については、以下記事を参照してください。

“名称独占資格”とは、その資格を所有している人しか名乗ることができない資格のことであり、「社会福祉士の資格を所持している人しか、社会福祉士と名乗ることができない」ということになります。

「士」「司」……たった一文字の感じが違うだけですが、その意味は大きく違っているのがご理解いただけるかと思います。

任用資格は、今ほど福祉の資格(特に国家資格)が確立されていなかった時代に福祉行政に携わる一般行政職に、福祉の資格を与えて国や都道府県の福祉事業を任せていた名残なのです。

社会福祉士も児童福祉司と同じ仕事を行うことができますし、相談対象は児童福祉司よりも幅広いです。

そのため、今後「子どもたちを虐待や家庭問題から救う仕事がしたい」と考えている人は、社会福祉士の資格取得を目指した方がいいかとも思います。

もちろん資格の取得難度は中々に高いですが、取得できれば仕事の幅を大きく広げることができ、(国家資格であるということから)自身のキャリアアップにも繋げることができます。

※社会福祉士の資格取得については、以下記事を参照ください※

児童福祉司に向いている人とは?

この点については、(仕事内容が似通っている)「社会福祉士に適性のある人」の記事にて詳しくご紹介しておりますので、以下をご覧いただければと思います。

端的にまとめると、以下のような人が向いている仕事であるといえます。

◆「相手の気持ちに寄り添うこと」ができる人
◆「コミュニケーション能力」の高い人
◆「協調性」のある人
◆「忍耐力」のある人
◆対象者の「プライバシー」に配慮できる人

また児童福祉司の場合は、保護者だけでなく“児童(18歳以下)”の相談・支援業務も行います。

児童福祉司にお世話になる子どもは、虐待などによって、身体だけでなく「心(精神)」が深く傷ついている人が大勢います。

そのため、そういった子どもたちの心に寄り添いやすい=“母性”を感じさせる女性の方が向いている仕事と言えるかもしれません。

もちろん、男性でも児童福祉司として長く仕事を続けていらっしゃる方もいますので、「男性には向かない仕事という訳ではない」ではあります。

ただ社会福祉士もそうですが、どちらかというとこういった相談業務は“女性の勤務割合の方が高くなる”傾向にはあります。

女性ならではの「優しさ」「心配り」「母性」などが、対象者に“安心感”を与えるのかもしれません。

児童福祉司にも2つの種類がある

この児童福祉司という仕事ですが、実は以下のように2つの種類が存在します。

①児童福祉司
②スーパーバイザー

①は「児童福祉司としての勤務が5年以下の人」が対象となります。

その後、5年以上児童福祉司として多くの経験を積むと、②の「スーパーバイザー」として仕事に従事することができるようになるのです。

スーパーバイザーとは、言うなれば“チーム(職員)のリーダー的立場の人”のことを指しており、他の児童福祉司の指導や教育も担当できるようになります。
(もちろん、現場の対応も行います)

5年以上と児童福祉司として仕事に従事するとなると、その間に自身を取り巻く環境も変化しているかもしれません。
(=別の資格を取得したり、転職をしたりなど)

ただ「児童福祉司として長く仕事を続けていきたい」と考えている人ならば、スーパーバイザーとしてチームを引っ張っていく立場になるのも一つの手段かと思います。

児童福祉司の現状と将来性について


現在の日本は“少子化”が課題として取り上げられつつも、児童相談所に相談に来る家庭の数は増加し続けています。

その理由は、以下が挙げられます。

◆核家族化の増加
◆両親の共働きの増加
◆離婚率の増加
◆所得格差の拡大

上記のような環境の中にいると、保護者は「育児ノイローゼ/育児放棄/児童虐待」などの問題につながる可能性が高まってしまい、当然子どもにとっても良い環境で生活を送っているとは言えません。

こういう環境で子どもが育つと、問題行動を起こしやすくなりますし、最悪の場合「非行」に走ってしまうケースも考えられます。

このことから、児童福祉司の存在は、現在・将来を含め必要とされ続ける仕事であると考えられています。

社会福祉士の時にも記載しましたが、こういった「相談・支援業務」というのは、人でなければ行うことができません。

現在の日本(世界的に)は、“機械による自動化”がどんどん進行しています。

しかし、人……特に未成熟である子どもに寄り添うのは、機械には絶対にできません。

だからこそ、今後もこの仕事は“人でしか行うことができない仕事”であり、人が存続し続ける以上は絶対になくなることがない仕事と言えるのです。

ただ、一つ注意しておくべきなのは、「児童福祉司は任用資格であり、社会福祉士でも同じ業務を行うことができる」ということです。

いずれは、「児童福祉司という仕事=社会福祉士などの資格が必須」となる日が来る可能性はあるかもしれません。

そういう意味では「現在児童福祉司として仕事をしている人」「今後、児童福祉司の仕事に携わりたい」と考えている人は、社会福祉士や精神保健福祉士など、別の国家資格の取得を目指すのも良いかもしれません。

国家資格を取得していれば、就職・転職の面でも有利になりますし、自身のキャリアアップにも役立つはずです。

もちろん、国家資格を取得するには相応の努力が必要ではありますが、それに見合った対価は得られる可能性が高まるかと思います。

まとめ

児童福祉司は、子ども一人ひとりのケースによって、対応する業務が幅広く変わってくる仕事です。

また、子どもの安全を守ることはもちろん、保護者・関係者・子どもを取りまく状況に対して、調整対応が必要ともなります。

この仕事は「家庭問題」という非常にデリケートな部分に踏み込む必要があるため、決して誰にでもできる仕事ではありません。

しかし、“人だからこそできる仕事”であり、人によっては“長く続けていける仕事”でもあります。

現在、児童相談所に寄せられる児童虐待相談件数が増加傾向にあることから、児童福祉司の需要も高まっています。

今後ますます注目されていく、重要な役割を担う仕事・資格であるため、関心がある人は目指してみるべき職業の一つと言えるのではないでしょうか。

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