「セラピー」とは、薬や手術などに頼らない”心理療法”や”物理療法”のことを指しており、その種類は多岐に渡ります。
そして、これまでにもいくつかのセラピーについて、ご紹介をしてきました。
≪セラピーについて≫
≪ヒプノセラピーについて≫
≪アロマテラピーについて≫
≪ミュージックセラピーについて≫
そして今回は、“色”の力を利用したメンタルケアである「カラーセラピー(色彩療法)」について、ご紹介をしていきたいと思います。
「カラーセラピー(色彩療法)」ってなに?
「暖色系」や「寒色系」などを筆頭に、色にはさまざまな種類が存在します。
そして、色は人々の生活に密着しており、例えば部屋の色彩一つとっても、住む人に大きな影響を与えます。
このように色には、人の“気分を変えたり”、“心に働きかける効果”というのがあるのです。
また、色は“人の心を映し出す”とも言われており、その人・その時々の気分によって、選ぶ色が異なるのです。
「カラーセラピー(色彩療法)」とは、相談者の心理状態を分析するために“色”を利用し、「色の意味や効果を利用したカウンセリングと適切なアドバイスを行うこと」を指しています。
そして、この仕事に従事する人のことを「カラーセラピスト」と言います。
また、カラーセラピストの活躍の場は、カウンセラーとしてだけではありません。
お客様の心理にあわせて、今の気持ちに合うカラーを取り入れたコーディネートやアイテムを提案できるようになる。
【美容・インテリアのお仕事】
相手の気持ちにあわせたカラーを提案し、気分を上げたり・緊張をほぐしたりすることができる。
色は人々の生活に密着しており、カラーセラピーに関する知識や技術を習得していれば、仕事はもちろん日常生活の中でも役立てることができるようになります。
カラーセラピストになるために「資格」は必要?
結論から言うと、「必須となる資格はありませんが、知識・技術を証明するために役立てることはできる」です。
この仕事は「お客様の願望や悩みに寄り添い、お客様に合った色を提案すること」が必要となります。
そのため、カラーセラピーに関する知識・技術は絶対に必要となり、“資格を所持=お客様の信頼を得る”こともできるようになります。
尚、カラーセラピストに関する資格は、2021年時点では「公的資格(=国家資格)」は存在しません。
以下は、業界において認知度の高い資格ではありますが、すべて「民間資格」となります。
①「カラーセラピスト」(日本能力開発促進協会)
②「カラーセラピスト」(日本色彩環境福祉協会)
③「カラーセラピー資格検定」(日本メディカル心理セラピー協会)
④「TCカラーセラピスト」(株式会社 トゥルーカラーズ)
⑤「オーラソーマ」(株式会社和尚アートユニティ)
※()は、主催する団体を指す
当然ながら「受験資格/受験料/合格率」はそれぞれで異なりますので、関心がある方は各資格の詳細を調べてみてください。
また、一部資格は「通信講座」を行っているものもあります。
もちろん通信講座でも費用は発生しますが、自宅にいながら勉強を進めることができる+費用も抑えめなので、「仕事と両立しながら資格取得を目指したい」という人にもオススメできるかと思います。
最後に。
上記でもお伝えした通り、「カラーセラピストは、職に就くために必須となる資格はありません」。
そのため、無資格・未経験からでも関連する職に就くことは可能ではあります。
このことから、「現場で実務経験を積みながら、資格取得のための勉強をする」という人もいます。
尚、この時に注意しておくべきことがあります。
この仕事は「知識や技術さえあれば、”カラーセラピスト”を名乗ることができる」という点です。
ただし、“資格を取得=お客様の信頼や、スキルの証明になる(就職・転職時に役立つ)”というメリットがあるため、「カラーセラピストとして長く働きたい」という方は、できる限り資格取得を目指した方が良いかと思います。
上記で紹介した資格は、いずれも(きちんと勉強さえすれば)合格難度は低めであり、誰にでも資格を取得できる可能性があります。
将来のためにも、できる限り資格取得を目指しておくことをオススメいたします。
カラーセラピストの「働き方」について
そもそも”専属”のカラーセラピストは数が少ない
2021年時点では、カラーセラピストという仕事は“まだまだ社会的地位を確立しているとは言えない状況”です。
この理由は大きく2つあります。
②本職(アパレルや美容など)に役立てるために、カラーセラピストのスキルを有している人が多いこと
例えば、「カラーセラピスト 求人」などで検索をかけると、カラーセラピストを専属で募集している求人は、ほとんど目にすることがありません。
そのため、カラーセラピストとして“専属”で働くのは、なかなかに厳しい世界であると言えます。
ただし、中には“専属”でカラーセラピストとして活躍している人もいます。
カラーセラピストとして”専属”で働くためには?
カラーセラピストとして仕事をする人の多くは、どこかに“就職”するのではなく“独立”している人が多いです。
自身でサロンを開いたり、セラピストの養成スクールを開講したり……などです。
カラーセラピストは、その業務の特性上、個人事業主(フリーランス)として働きやすいのが特徴に挙げられます(=従業員をさほど必要としない)。
そのため、他業種に比べ、小資本で事業をスタートさせることが可能となるのです。
ちなみに、雇用形態や給与も人によってさまざまです。
◆常勤で、専属カラーセラピストとして仕事をする人
◆週末だけ働く、主婦や副業セラピスト など
専属で働くためには相応の努力が必要となるため、現時点では「がっつりと稼げる仕事とは言えない」状況ではあります。
どちらかというと、“お金”よりも“やりがい”などを重視している人が多いのではないかと思われます。
「独立」の道も非常に困難である
上記でお伝えした通り、この仕事は他業種に比べても比較的少ない資本で事業をスタートすることが可能です。
ただし、事業をスタートすることは(比較的)容易でも、事業を継続(成功)させることは非常に難しいと言われています。
実際に、新規オープンしたサロンの半数以上が、1年も経たずに廃業していくのです。
この理由は、以下が挙げられます。
②固定費(施設代・光熱費など)が発生する
③広告をうったり、事業の幅を広げるために新たなスクールに通うなどする(=お金がかかる)
特に、①が大きな壁として立ちふさがることになります。
アパレル・美容・生活用品など、日々の生活の中で“色”は必要不可欠なものです。
しかし、“色を利用したセラピー”というのはまだまだ認知度が低く、「セラピーの内容そのものをイメージできない」という人も少なくありません。
「お客さんの数は少ない……」
しかし、「固定費はかかるし、お客さんを呼び込むための施策をうたなければいけない=お金がかかる」……という点で、サロンを維持することが難しくなってしまうのです。
どんな職種でも同じことが言えますが、独立して事業をスタートする場合は、以下が必要不可欠となります。
◆技術・スキルを有していることはもちろん、それを証明する「資格」が必要
◆独立してもお客様が来店するだけの「認知度」がある
◆さまざまな業界との「コネクション」がある
カラーセラピストの確かな知識や技術を有していたとしても、それが“認知”されていなければ、人は集まってきません。
個人事業主は“自分を売り込む仕事”です。
だからこそ、「経営力」も必要となってくるのです。
人によっては「出張セラピー」を行うのもアリ
●「独立したいけど、資本がない……」
●「自分には、まだまだ世間への認知度が足りない……」
そういう時に役立てられるのが、「出張セラピー」という方法です。
例えば、「カフェ・バー・レンタルスペース」など、人が多く集まる場所は街中さまざまに存在します。
その施設の一角を借りて、カラーセラピーを行うのです。
これなら、自分のサロンを持たず(初期費用や維持費をかけず)に、カラーセラピストの仕事を行うことが可能となります。
また、人が集まる場所でセラピーを行うため、認知度の向上にも役立てることができます。
ただし、注意しておかなくてはいけない点もいくつかあります。
まず一つは、「場所を借りる=レンタル費用が発生する」という点です。
そして、例えばカフェやバーなど、不特定多数の人が周囲にいる場所でセラピーを行う場合、「相談者のプライバシーをどうやって守るのか?」です。
加えて、カラーセラピーを行うにはある程度の“明るい自然光”も必要となってきますので、施設を借りることができたとしても「間取り」も重要となってきます。
そしてもう一つ。
お客様の中には、“セラピーの依頼時に、(お客様が)指定したスペースに来るように言われること”もあります。
その時に注意しなければいけないのが、「安全面」です。
時には、セラピーが目的ではなく、何かしらの勧誘を行ってくる人もいます。
資本を抑えて効率よく仕事ができる「出張セラピー」ですが、注意しておかなくてはいけないこともたくさんあります。
独立・開業はもちろんのことですが、まずはしっかりと“勉強・情報収集”を行うようにしましょう。
資本のことも含め、しっかりとした知識を身に着けたうえで、独立・開業に踏み切るようにしてください。
その他の方法
カラーセラピストとして働いていく中で、以下の方法で利益を上げている人もいます。
②「グッズ販売」や「資格ビジネス」を行う
カラーセラピーは、まだまだ発展途上の職業です。
そのため、「カラーセラピストになりたい」という人はもちろん、“セラピーに関連するグッズ”や“新たなカラーセラピー”、“ライセンス”なども新しいものが色々と発展を続けています。
こういったビジネスに着手していくのも、十分に収益を上げる可能性につながるかと思います。
ただし、“人に教える”や“新しい何かを展開する”といったことは、自身に相応の知識や技術がないとできることではありません。
まずは、自身が貪欲に“知識”を吸収し、それを形にできる“技術”を身につけなくてはいけませんので、その点だけはご留意いただければと思います。
まとめ:カラーセラピーの将来性について
ここまでにご紹介した通り、日本における“カラーセラピーの社会的地位の確立”は、まだまだされていないのが現状です。
資格を取得しても、専属のカラーセラピストとして働くことは(現時点では)難しいでしょう。
また、独立・開業したとしても、それを継続・発展していけるかどうかも、その人の営業力(認知度)次第となります。
ただ、日本でもカラーセラピーの知名度や人気は、徐々に高まりを見せているのも事実です。
これは、他のセラピストにも同様のことが言えます。
例えば、「ミュージックセラピスト(音楽療法士)」は、知名度こそまだまだ低いですが、医学的な研究も続けられており、近年では医療や介護分野でも積極的に採用されつつあります。
このように、カラーセラピーもさまざまな分野で活躍していく可能性が高い職業ともいえるのです。
今は民間資格しか存在しませんが、いずれは国家資格も設けられる可能性があるかもしれません。
そうやって、少しずつカラーセラピストの認知度が高まれば、いずれ“社会に必要な仕事”として認識され、社会的地位も高まっていくものと考えられます。
カラーセラピーは、まだまだ発展途上です。
だからこそ、“将来性はある仕事”と言えるかもしれません。
現時点では、各カラーセラピストの資格も取得が比較的容易なので、将来的にでも「カラーセラピストになりたい!」と考える人は、今から資格取得を目指してみるのもいいかもしれません。
なんにせよ言えることは、“しっかりと情報収集を行うこと”です。
「情報」、そして「経験」は何者にも勝る武器となり得ます。
カラーセラピストに関心がある方は、ぜひ知見を広げてその一歩を踏み出してみてください。