「管理栄養士」は、“食”を通じて人々の健康管理に貢献する職種の一つです。
これまで、この仕事に関するさまざまな情報を公開してきました。
≪仕事内容・働き方について≫
≪なり方・国家試験の概要や合格率について≫
そして、人が行う仕事である以上、人それぞれ“向き・不向き”というものが存在します。
今回は、今後の需要(将来性)も含め、こういった点について詳しくご紹介していきたいと思います。
管理栄養士に”もっとも求められること”とは何か?
重要なことは大きく”3つ”存在する
まず、この仕事に“もっとも求められるもの”は、以下の3つです。
②幅広い食材や料理に対して関心がある人
③”食”を通じた健康に関心がある人
②と③はイメージできる人も多いのではないでしょうか。
冒頭でもお伝えしたように、この仕事は“食”を通じて人々の健康管理に貢献する職種です。
そして、食や栄養に関する知識は常に最新の情報に更新されていきます。
そのため、“国家資格を取得すればゴール”という訳ではなく、その後も常に最新の知識や技術を磨き続ける必要があるのです。
この、“知識を吸収し続けることができる貪欲さ”が、重要な要素の一つとなるでしょう。
そして、①の「老若男女を問わず、人と接することが好きな人」についてですが……。
中には「なぜ老若男女?」と疑問を感じる人もいるかもしれません。
しかし、管理栄養士の活躍の場は非常に広く、そもそも“食”は老若男女を問わず誰にでも必要な生命活動の一つとなるのです。
◆一般企業に勤める成人の人(健常者)
◆健康に気を配る「壮年」や「中年」の方々
◆病気や疾患を持った人
◆高齢者の方々
……など、管理栄養士が対象とする人は、“健康に気を配るすべての人々”が対象となります。
そのため、“どんな人とでも仲良くできる=人と接することが好きな人”が、この仕事にもっとも向いていると言えるでしょう。
自分自身の健康管理も大切である
上記とは別に、もう一つ大切なことがあります。
それは、「自分自身の健康管理にも気を配れる人」です。
この仕事は、人様の食事や栄養指導・アドバイスに携わることになります。
その時、指導する自分自身が不健康であれば、相手に健康の大切さを説くことは難しくなるでしょう。
なぜなら“=説得力がない”ということに繋がるからです。
まずは、自分自身が健康であること。
そして、さまざまな食材や料理を自分自身で試して、自身で健康になれることを証明すること。
こういった点も大事になるかと思います。
「志望動機」や「目指すきっかけ」ってなに?
次に、この仕事に関する「志望動機」や「目指すきっかけ」について、ご紹介をしていきたいと思います。
もちろん、これらは人によってさまざまではありますので、大まかな点で説明していけたらと思います。
今後「管理栄養士になりたい!」と考える人に対して、少しでも一助になれば幸いです。
「志望動機」について
こちらは、大きく2つ存在します。
②「手に職を付けて働きたい」と考える人
まず①ですが、これは自分自身や自分の周囲の人が“同じ境遇で支えてもらった経験がある”という人の動機となります。
「自分も、同じように栄養面から人々の生活や健康を支えたい……」
そう感じて、管理栄養士を目指す人がいるのです。
そして②ですが、管理栄養士の資格は“国家資格”であり、資格の取得難度も中々に高いものとされています。
詳細は、以下記事にて。
加えて、この国家資格には“有効期限”がありません。
一度取得すれば、生涯にわたって活用できるのです。
※この点は、今後の栄養士法で変更される可能性もあるかもしれません※
近年は特に「手に職を付けて働きたい」と考える人が増加しています。
この仕事に就くこと……これも「手に職を付けて働ける」という特別な存在になるための手段の一つと言えるでしょう。
また上述でもお伝えしたように、そして後述の将来性でもお伝えするように、この仕事は“人が生活するあらゆる場で需要がある職業”となります。
つまり、“人が生きている以上、絶対に必要不可欠な職業の一つ”となるのです。
このことから、長く・手に職を付けて働ける職業として、昨今は人気が急上昇している職種の一つとなっています。
「目指すきっかけ」について
こちらも大きく2つ存在します。
一つは、上記でもお伝えした「人々の生活や健康を、”栄養”という観点から支えたい」と考える人です。
理由は上記で説明した通りです。
そしてもう一つは「料理をするのが好き」や「食べることが好き」というケースになります。
「食べることが好きで色々な食材に興味を持ち、自分でも料理をはじめる。そうした中で”栄養学”にも興味を持ち始め、仕事として携わっていきたいと考えるようになる……」
こういうパターンです。
日本だけでなく、世界中にその地域独特のさまざまな食材が存在し、地域によって健康法というのも千差万別となります。
実際、これらを探求していくうちに、(管理)栄養士を目指そうと考える人も実は少なくないのです。
※注意点※ “目的”は具体的にしておこう
上述でもお伝えしたように、この仕事は活躍の場多岐に渡り、勤務する先に応じて対象となる年齢も大きく異なります。
志望動機は人それぞれではありますが、大切なのは「管理栄養士になって、自分は具体的に何をしたいのか?」は明確にしておいた方がいいかと思います。
対象となるのは、「子どもなのか?高齢者なのか?それとも病気を患っている人なのか?」。
もしくは、以前にご紹介した「フードセラピスト(コーディネーター)」などと織り交ぜて、食や栄養に関するさまざまな情報を発信したいのか?
働き方が多様なだけに、「管理栄養士として、人々にどう貢献したいのか?」までを考え・言葉にできるようになるまでにしておくと、より具体的に行動を起こしやすくなるかと思います。
管理栄養士の「やりがい」や「大変なこと」について
次に、この仕事に携わっていく中での、「やりがい」や「大変なこと」について、ご紹介していきたいと思います。
尚、以前に「栄養士」の項目でも似た見出しのものを作成しましたが、今回はそれとは少し違う方向性でお話もできればと思います。
「やりがい」について
この点については栄養士と共通していることとなりますが、自分の指導およびアドバイスで、人々の健康に貢献できることが大きなやりがいとなります。
ただし、管理栄養士は健常者だけでなく、病気や障害などを抱えた人の栄養指導・アドバイスも行う点から、より一人ひとりの生活状況に応じた指導・アドバイスを徹底して行わなくてはいけません。
そのためには、普段の何気ない会話から、相手の生活習慣や生活状況も把握していく必要があり、この点は少し大変だと感じる点かもしれませんが……。
それを乗り越え、多くの方から感謝の言葉を伝えてもらった時に、「大きなやりがいを感じる」という人が多いのです。
また、昨今では“メタボ指導”などの「特定保健指導」も重視されるようにもなってきているので、この仕事は社会の中でも大きな役割を担っています。
自分のアドバイスで相談者が元気になったり、これまで以上に食事を楽しめるようになった時、大きなやりがいと達成感を感じることができるでしょう。
加えて、何度もお伝えしている通り、この仕事は活躍できるフィールドがどんどん増加しています。
自分自身が特に関心が強い領域に対して、「自分の力で挑戦していける」というのも、大きな魅力の一つと言えるかもしれません。
「大変なこと」について
こちらは、大きく3点が挙げられます。
まとめると、以下のようなものです。
②職場に管理栄養士の数が少ないこと(規模によっては1人で勤務することも)
③専門性が理解されにくいことがある
順に説明していきましょう。
意思の疎通が難しい人と接する場合があること
管理栄養士が対象とする人は、健常者だけでなく病気や障害を持った人の栄養指導に携わることも多くあります。
心や身体に何かしらの問題を抱えている人は精神的な余裕がないことも多く、中々意思の疎通が取りにくい場合もあるのです。
この点に関しては人それぞれではありますが、対人関係に少し悩みを抱えてしまう人も少なくないかもしれません。
職場に管理栄養士の数が少ないこと
特定の事業(業務)を行う場合、「事業所に必ず管理栄養士を配置しなければいけない」というルールが存在します。
ただし、管理栄養士の数は(事業所の規模にもよりますが)少数でよく、場合によっては管理栄養士がたった1人で勤務していることもあるのです。
このことから、業務上の悩みを相談できる人が周りにいなかったり、人手不足の職場では他の仕事(事務や介護など)の他業務も兼任しなければいけない場合などもあり、心身ともに疲れてしまう人もいます。
専門性が理解されにくいことがある
一般の人に「栄養士の仕事を知っていますか?」と聞くと、「栄養に関する何かを行う仕事……?」と漠然とでも想像はできるかもしれません。
しかし、「管理栄養士の仕事内容を知っていますか?」と聞くと、「栄養士を管理する立場の人……?」と、意味を誤解してしまう人が少なくありません。
他にも、
◆「料理が得意な人」
……と、その専門性が中々理解されにくい仕事でもあるのです。
この点は仕方のないことではあるのですが、当の本人からすれば「せっかく難しい国家試験に合格して取得した資格なのに、なかなかその専門性を理解してもらえない……」と、大なり小なりのストレスを抱えてしまう可能性も少なくはないのです。
今後の需要(将来性)について
結論から言うと、“正しい食や栄養の知識を持ち、人々の健康をサポートするこの仕事の需要は、今後も高まっていくことはほぼ確実”かと思います。
理由は大きく3つあります。
②「超高齢化社会」に突入している日本において、介護(医療)の部門でより需要が高まるから
③美容や健康に気を遣う人が増加しているから
医療・介護・児童・福祉などの部門はもちろんのこと、現在ではエステサロンやフィットネスクラブなどの場でも管理栄養士が求められる機会も増えており、今後もさまざまな場面で活躍の場が期待されると考えられています。
また、現在はフリーランスの管理栄養士も増加傾向にあります。
YouTubeなどの動画配信サイトやSNSなどを通じて個人で情報を発信し、そこからお客様を集めて栄養指導やアドバイスを行っているのです。
人によっては料理教室を開いたり、テレビのコメンテーターとして出演したり、講演会を開いたり……。
その活躍の場面は、各企業への就職という道だけではなくなっています。
それこそ、可能性(働き方)は無限に存在すると言っても過言ではないでしょう。
また、近年は「機械による自動化」が進んでいる日本ですが、近い将来でこの仕事が機械に取って代わられる可能性も低いかと思います。
「栄養士」ならばともかく、「管理栄養士」は国家資格を取得している=一定の専門知識と技術を身に着けていることを証明しています。
その上で、“相談者の話を聞き、一人ひとりに合わせた栄養指導・アドバイスを行っていく”のです。
これは、機械にはできない仕事です。
ただし、「栄養バランスの取れた食事を提供する」や「調理を行う」といった点については、機械にも行えること……というより、機械化が進んでいることも事実です。
だからこそ、管理栄養士のような専門性を持った人こそが、これからも長く仕事に携わっていける可能性が高いのではないかと考えます。
まとめ
4年以上の勉強期間を経て国家試験に合格する……。
管理栄養士の資格は、誰にでも簡単に取得できるものではありません。
そして、栄養士に比べ管理栄養士は人手が足りていない職場も多くあるのが現状です。
そのため、不定期で求人をかけている病院や介護施設なども実際に存在します。
気になる方は、色々な求人サイトを巡って、自分に合った仕事を探してみてください。
尚、関連サイトとして、当社では「医療・介護・保育・福祉」などの採用サイトも取り扱っております。
詳細は以下リンクよりご参照いただければ幸いです。
さまざまな求人が掲載されておりますので、お仕事をお探しの方はぜひご覧ください。
最後に。
この「管理栄養士」という資格には、“有効期限”がありません。
法改正により今後どうなるか分かりませんが、少なくても現状では一度資格を取得すれば、ずっと効果を持った資格となります。
そのため、今の段階から国家資格の取得に臨み、より(管理)栄養士としての高みを目指すのも良いのではないかと考えます。
ただし、この記事内でお伝えした通り、管理栄養士の活躍の場は多岐に渡ります。
そのため、まずは「どんな管理栄養士になりたいのか?」や「どんな人たちに貢献したいのか?」を明確にしておくことが重要かと思います。
目的が明確になれば、それに向けて具体的な行動に移せるようになるからです。
管理栄養士・栄養士という仕事に関心がある方は、まずは情報収集を行い知見を広げてみてください。
そして、目的がある程度明確になったら、具体的な一歩を踏み出してみてください。