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【児童福祉司】どんな仕事?仕事内容・勤務地・他職種との違いについて徹底解説!

この記事は約11分で読めます。

現在の日本には、子どもたちと関わる仕事がいくつか存在します。

「保育士」「幼稚園経論」「教師」などはその最たる例ですが、それ以外にも「児童指導員」「スクールソーシャルワーカー(=社会福祉士)」など、さまざまです。

そして今回ご紹介するのは「児童福祉司」という職業であり、上記で挙げた職種とはまた違った形で子どもや子どもを取り巻く環境に接していくこととなります。

今回は、この「児童福祉司」の仕事内容・勤務地、そして他に“児童”と付く職種との違いについて、詳しくお話をしていきたいと思います。

「児童福祉司」とはなにか?


近年は、以下のような理由で子どもとその保護者を取り巻く環境が複雑化しています。

◆核家族化の増加
◆両親の共働きの増加
◆離婚率の増加
◆所得格差の拡大

上記のような環境の中にいると、保護者は「育児ノイローゼ/育児放棄/児童虐待」などの問題につながる可能性が高まってしまいます。

そして、この環境は子どもにとっても辛い状況であり、このような境遇で育った子どもは「問題行動」を起こしやすくなりますし、子どもによっては「非行」に走る確率も高くなってしまいます。

「児童福祉司」というのは、「さまざまな問題を抱える子どもや保護者の相談に乗り、抱えている問題解決のお手伝いをする人々」のことを言うのです。

主な「仕事内容」について

児童福祉司の最大の使命は「さまざま家庭問題を抱える人たちに寄り添い、充実した家庭生活を取り戻すことをサポートする」ことです。

そのため、主な業務は以下の4つが挙げられます。

◆子ども、保護者などから「子どもの福祉に関する相談」に応じること
◆「必要な調査」「社会診断」を行うこと
◆子ども、保護者、関係者等に必要な「支援・指導」を行うこと
◆子ども、保護者などの「関係調整(家族療法など)」を行うこと

端的にまとめると「相談・支援・指導」を中心に業務を行っていくこととなります。

また上記以外にも、児童相談所に寄せられた相談に答えたり、講演会を開いたり、地域を巡回して問題を抱えた家庭がないかチェックする……といった業務も行っています。

児童福祉司は、どういう施設で働くの?


児童福祉司が働き先は、各都道府県設置された「児童相談所」という“公的機関”となります。

つまり「児童福祉司=公務員」となるのです。

児童福祉司になるためにはいくつかの条件をクリアしなければいけませんが、その一つに「地方公務員試験に合格しなければならない」というのがあります。

その上で「児童福祉司の任用資格を取得する」必要があるのです。

この“児童福祉司のなり方”については、別の記事にて詳しくご紹介できればと思います。

児童相談所の仕事の流れについて


次に、児童相談所の仕事の流れについてご紹介していきたいと思います。

ここでは「児童相談所へ虐待の通告or相談が来た場合」を例として、お話していきます。

その①:受付を行う

まず、児童相談所へ虐待の通告や相談が来た場合、その通告者or相談者から“情報を提供してもらう”ことから始まります。

◆問題が発生しているお住い(住所)はどこか?
◆現状、どんな問題が発生しているのか?
◆どうして問題が発生していると感じるのか?(通告者の場合)

現時点で確認できる内容を知り得ることができれば、それをもとに「受付表」を記入していきます。

ちなみに、この“受付表の作成”は必須となります。

その②:受理会議を開く

受付表の完成後に、速やかに「受理会議」を開くこととなります。

この受理会議の時は、まだ直接子どもや家庭環境の確認に赴いた訳ではないので、想像の範囲で「問題に対して、どう対応していくか?」を検討することとなります。

この時、他の通告受理機関と情報交換を行い、対象児の安全を確認する時期やその方法を模索していきます。

また、児童虐待が問題となっている場合、子どもの被虐待状況や命の危険性も考慮し、「緊急性」も判断していくのです。

最終的には、「調査方針の決定」「調査依頼の役割分担」を行います。

そして受理会議終了後に「児童記録票」を作成します。

その③:調査を行う

原則として“受理会議終了後から48時間以内”に、子ども本人を直接“目視”による確認を行います。

その理由は「子どもの状態を職員自身の目で確認し、次の対応方法を検討するため」です。

◆保護者への出頭要請
◆現地訪問
◆家庭訪問

などを必要に応じて行い、「子ども・保護者や関係者との面接」「普段の様子の観察」「生活環境の調査」などを実施していくこととなります。

その④:各種診断を行う

上記調査後に、子ども本人と虐待者、家庭環境を総合的に評価するため、主に以下の4つの診断を行います。

①「社会診断」
②「心理診断」
③「医学診断」
④「行動診断」

この4つの中で最初に行うのが「社会診断」であり、この診断を児童福祉司が行っていくこととなります。
(判定・援助方針の基礎なる重要なもの)

ただし、あまりにも緊急性が高いと判断された場合、診断の前に「児童の一時保護」を優先することもあります。

その⑤:援助の方針を決定する

児童福祉士が行う社会診断、そしてその他診断を経て、各専門スタッフの意見を伺いつつ「判定」を行います。

そして、その判定に基づき、「援助方針会議」にて“援助の方針”を決定していくこととなります。

◆援助内容は、具体的に実行可能なものなのか?
◆その援助が”子どもの最善の利益”となるのか?

上記が重要となります。

援助・指導を実行に移す

ここから、実際に子どもや保護者に対して援助・指導を実行していくこととなります。

子どもや保護者に、援助・指導を行う理由・方法をお伝えし、それと同時に子どもや保護者などから意見をヒヤリングしていきます。

基本的には、家庭環境の改善(充実した家庭生活を取り戻すことをサポートすること)が目的であり、保護者に対して以下のような指導を行っていくこととなります。

◆「助言指導」
◆「継続指導」
◆「児童福祉司指導」
◆「児童委員指導」

ただし、子どもが虐待による危機的状況に陥っていた場合は家族関係の修復そのものが難しいどころか、在宅で安全に過ごすことすら困難な場合もあります。

その場合は、「施設入所措置」「里親委託」などの制度を活用することになります。

「子どもに虐待を加える=保護者の精神状態は普通ではない」ということから、この援助および指導を行う際は、さまざまな困難が予想されることとなります……。

なんにせよ、これが児童虐待の通告・相談を受けた場合の一連の流れとなります。

この児童虐待は社会問題に発展しています。

問題が大きくなってからでは子どもの命そのものが危うくなってしまうため、何か(少しでも)疑問を感じることがあれば児童相談所に通告してみてください。

それで、救われる命があるかもしれません。

「児童福祉司」「児童相談員」「児童指導員」「児童発達支援管理責任者」の違いはなに?


冒頭でも記載した通り、「子どもに関わる仕事」というのは実にさまざまな種類があります。

その中で、“児童”という名称が就く職種は以下が挙げられます。

◆「児童福祉司」
◆「児童相談員」
◆「児童指導員」
◆「児童発達支援管理責任者」

それぞれの違いはなんなのか?

この項目にて、その違いをご紹介していきたいと思います。

「児童福祉司」とは?

前項でもお伝えしたように、これは「さまざまな問題を抱える子ども・保護者の問題解決のサポートをする仕事」です。

各自治体にある「児童相談所」に配置することが義務付けられた職員であり、“公務員”として勤務していくこととなります。

「児童相談員」とは?

上記によく似た名称の職種として「児童相談員」というものがあります。

ただ、厳密には“児童福祉法では児童相談員という職業はありません”

そのため、意味合いとしては児童福祉司とほぼ同じ意味合いで使われています。

つまり、あくまで呼び方が違うだけであり、「本質は児童福祉司と同じ」ということです。

「児童指導員」とは?

まず「児童指導員」という仕事・資格情報については、以前に別の記事にて公開しておりますので、以下をご覧ください。

児童指導員が勤務する施設は公共施設ではありません。

児童発達支援・放課後等デイサービスなどの「児童養護施設」や、保育所などの「児童福祉施設」で勤務する職員となります。

行う業務は以下が挙げられます。

◆子どもの日常生活の支援
◆社会ルールの習得
◆学習や遊びなどの支援・指導 など

つまり「保育士」と似た立場の職種となります。

ただし、保育士の場合は「保育士国家資格」が必要となりますが、児童指導員の場合は「児童指導員任用資格」が必要となります。

任用資格というのは「その職に就いている時のみ効力を発揮する資格」のことです。
(児童指導員以外の仕事に携わる時、この任用資格は一切の意味を成さない)

もちろん任用資格とはいえ資格を所持しておいて損をすることはありませんが、別の保育に関する資格を所有していたり・保育経験がある人……最悪“無資格”でも勤務することが可能となります。
(無資格で求人募集している事業所も多い)

「児童発達支援管理責任者」とは?

「児発菅」と略されることもある「児童発達支援管理責任者」という職種および資格ですが、これも過去に別記事に詳細を説明しております。

これは、児童発達支援・放課後等デイサービスなどの「児童養護施設」に務める人のことを指しており、いわゆるその施設における“リーダー的な立場となる者”のことを指しています。

直接子どものお世話をするのが「児童指導員」であり、事業所を円滑に運営するために必要とされるのが「児童発達支援管理責任者」なのです。

主な仕事は以下が挙げられます。

◆個別支援計画書の作成
◆現場職員への指導や助言
◆施設を利用する児童やご家族への支援
◆保護者との面談

この児発菅となるためには、「実務経験の要件」を満たし、「研修を修了する」必要があります。

「国家試験を受けなければいけない」など、難度の高い条件を求められる訳ではありませんが、一定数の実務経験を必要とするため、児発菅となるためには相応の期間を必要とはします。
(詳細は、上記リンクより)

それぞれ仕事内容は大きく異なる

「児童福祉司」と「自動相談員」は別として、それ以外は同じ“児童”という名称が付いていても、その仕事内容は大きく異なることとなります。

それぞれ、業務内容も勤務地にも違いがあるので、混同しないようにご注意ください。

「社会福祉士」と「児童福祉司」の違いについて


少し前に、「社会福祉士」という仕事について、さまざまな記事を公開してきました。

社会福祉士は“福祉に関するエキスパート”であり、「病気/障害/貧困/家庭問題(児童虐待やDVなど)」の様々な問題に対して、相談・支援・仲介を行う職業および資格のことを指しています。

記載した通り、社会福祉士の相談対象の中には「児童虐待」などの家庭問題も入ってきます。

当然、「社会福祉士と児童福祉司の違いってなんなの?」と疑問を感じる人もいるでしょう。

結論を言うと、両者の違いは「国家資格」「任用資格」かとなります。

◆社会福祉士:国家資格
◆児童福祉司:任用資格

上記の通りであり、“児童福祉司には社会福祉士も含まれる”こととなります。

ただし、児童福祉司は任用資格であり、「児童福祉事業に携わっていない場合、児童福祉司を名乗ることはできず、資格は何の意味も成しません」

当然、児童福祉士=社会福祉士と名乗ることもできません。

任用資格は、今ほど福祉の資格(特に国家資格)が確立されていなかった時代に福祉行政に携わる一般行政職に、福祉の資格を与えて国や都道府県の福祉事業を任せていた名残です。

また、社会福祉士の相談・支援対象は多岐に渡りますが、児童福祉司が対象とするのは“児童のみ(主に18歳未満)”となります。

もし「児童福祉司と社会福祉士……目指すのならどちらがオススメ?」と聞かれるのであれば、当然ながら国家資格である「社会福祉士」の取得をオススメします。

ただし、社会福祉士の資格を取得するには、相応の努力が必要ではあります。

もちろん、取得だけでも困難を極めますし、誰にでもできる仕事でもありません。

児童福祉司を含め、今後も需要のある仕事であることは間違いありませんが、だからと言って目指すかどうかは別の話です。

「社会福祉士、児童福祉司という仕事に対して興味がある」という人は、まずしっかりと情報収集を行い、知見を広げてみてください。

その上で、本当に目指したい商業なのであれば、チャレンジすることをオススメいたします。

まとめ

児童福祉司という仕事は、児童虐待や(子どもに関連する)家庭問題が社会問題に発展している現状では、必要不可欠な職種の一つと言えます。

言い得て妙ではありますが、今後の日本にとって需要のある職種の一つとも言えるでしょう。

ただし、職に就くためには「地方公務員」の試験に合格しなければいかず、狭き門であることは確かです。

また、職に就けたとしても“さまざまな家庭の問題に踏み込んでいく”必要があるため、決して楽な仕事でもありません。

その点はしっかりと理解した上で、児童福祉司を目指すかどうかを考慮していただければと思います。

尚、今回は主に仕事内容や多職種との違いについて詳しくご紹介をしてきましたが、次回は「児童福祉司のなり方」「今後の需要(将来性)」について、詳しく解説していきたいと思います。

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