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「就労継続支援」ってなに?制度の特徴やA型・B型の違い、利用の流れなどを解説します!

この記事は約8分で読めます。

障害のある方の就労をサポートする制度には、いろいろなものが存在します。

これまでにご紹介してきた「就労移行支援」「就労定着支援」などもその中の一つです。

それぞれの記事内容については、以下を参照ください。

そして、今回ご紹介するのは、「就労継続支援」となります。

2021年3月に「障害者法定雇用率」が引き上げられ、障害者の雇用・就労は注目を集めるテーマの一つとなっています。

障害者の就労に関連するキーワードの一つである「就労継続支援」とはなにか?を、具体的に解説していきたいと思います。

「就労継続支援」とはなにか?

概要


これは、「一般企業などで働くことが困難な場合に、障害や体調に合わせて自分のペースで働く準備をしたり、訓練や仕事を行う」ことができる福祉サービスのことです。

働く場を提供したり、知識・能力の向上のために必要な訓練を行います。

これは「障害者総合支援法」に基づくものであり、その目的は「障害のある人の日常生活および社会生活を総合的に支援すること」となります。

特長について

この福祉サービスは、「支援を受ける利用者側」「業務を依頼する企業側」の双方にメリットがあります。

まず「支援を受ける利用者側」についてですが、最大の特長は“事業所で働きながら、就業するための訓練を受けることができる”という点です。

働く=賃金や工賃が発生することとなり、働きながら一般企業への就職を目指すことができます。

そして、業務を依頼する側のメリットとしては、以下が挙げられます。

◆業務の外注によるコスト削減
◆CSR活動(※)の一環になり、企業のイメージアップにつながる

(※)CSR活動:企業の社会的責任

加えて、「障害者雇用」を進めたいがノウハウがないという企業の場合、まず事業所に自社業務の一部を発注するといった例もあります。

※「障害者雇用」については、以下記事を参照ください※

「A型」「B型」の違いとは?

最大の違いは「雇用関係を結ぶかどうか」である


就労継続支援は、「A型」「B型」に分かれています。

この2つの最大の違いは、「雇用関係を結ぶかどうか」にあります。

◆「A型」:就労支援を行う事業所と雇用関係を結び、労働に対する”賃金”が発生する
◆「B型」:就労支援を行う事業所と雇用関係を結ばず、労働に対する”工賃”が発生する

以下より、それぞれの特長や業務内容などをご紹介していきます。

「A型」について

こちらは、「一般企業で働くことは難しいが、一定の支援があれば働ける人」に向けて、仕事を提供することとなります。

利用するための条件は、以下の2つを満たしていることです。

◆原則18歳以上、65歳未満の人
◆障害者や、厚生労働省に指定された難病患者

ただし、「障害者手帳」は所有していなくても利用対象となる場合はあります。
(医師の診断書などは必要となる)

1日の就労時間は4時間~8時間ほどで一般就労者に比べ短めに設定されており、業務内容も比較的軽い作業が多いとされています。

例えば、以下のようなが該当します。

●飲食店でのホールスタッフ
●パソコンによるデータ入力
●工場での軽作業

また、業務を行う際にスタッフがサポート役としてついてくれるため、就労に必要な知識や能力を、働きながら学ぶことができます。

もし仮に、一般企業で働くために十分なレベルまで知識や能力を向上させることができれば、一般企業等への転職活動をサポートしてくれることとなります。

最後に報酬についてですが、上記でも記載した通り、A型は事業所と利用者間で“雇用契約”結ぶこととなります。

「雇用契約を結ぶ=労働者として労働基準法に守られる」ということになり、原則として最低賃金以上の給与が支払われることとなります。

「B型」について

こちらの利用対象者は、障害者や難病を持った方だけではなく、以下のような人も該当することとなります。

◆就労経験がある者であって、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難となった者
◆50歳に達している者または障害基礎年金一級受給者
◆上記に該当しない者で、就労移行支援事業者等によるアセスメントにより、就労面に関わる課題等の把握が行われている者

また、A型の場合は年齢制限が設けられていましたが、B型には年齢制限がありません。

就労時間はA型よりも短く、1日に2時間~4時間とされています。
(利用者によってはもっと短い時間のみの方もいる)

勤務時間はスタッフと相談しながら調整できるので、自分のペースで働くことができるといえるでしょう。

もちろん、勤務日数も(相談の上)自分で選択することができますので、定期的に通院しなければいけないという方でも利用がしやすいかと思います。

ただし、こちらは「障害や持病の特性上、雇用契約を結んで働くのが困難である」と市町村によって判断された方向けのサービスとなります。

そのため、事業所と雇用契約は結びません。

つまり、「労働基準法が適用されない」こととなり、工賃のほとんどは最低賃金を下回ってしまいます。

このことから、労働に対する対価は「賃金(給与)」ではなく、「工賃(成果報酬)」となるのです。

事業所によって、1日のうちにもらえる賃金の最高額が決まっている場合と、労働の対価に応じて工賃が支払われる場合の2種類があります。

最後に、B型で行われる業務内容ですが、例えば以下が挙げられます。

●農作業
●部品の加工
●製品に刺繍をするなどの手工芸
●パンやクッキーなどのお菓子作り
●飲食店での調理
●衣類やリネンなどのクリーニング
●WEBサイトの作成

こちらも軽作業が業務のほとんどであり、勤務日数・時間も自分のペースで選択できることから、A型よりもマイペースに働くことができるでしょう。

「就労移行支援」との違いはなに?

冒頭でもご紹介した「就労移行支援」も、障害者福祉サービスの一つとなります。

名称も非常に似ているのですが、この2つにはどんな違いがあるのでしょうか?

いずれのサービスも、「一般企業への就職を支援するもの」という目的に違いはありません。

ただし、就労移行支援が“働くための準備の場”を提供するのに対し、就労継続支援は“働く場所”を提供するという違いがあるのです。

前者の場合、「一般企業への就職に向けて、働くための支援・サポート」を中心にサービスが実施されるため、賃金(工賃)は発生しません。

対して後者の場合は、「一般企業への就職が困難な人に向けて”働く場を提供”し、働くための支援やサポート」を行う施設となるのです。

ちなみに、就労移行支援もA型と同じく年齢制限があります(原則18歳~65歳未満)。

また、利用期間は“2年”と定められています(延長できる可能性もある)。

「利用方法」について

次に、就労継続支援の利用までの流れをご紹介します。

この流れは、A型・B型のどちらも基本的には同じとなります。

具体的な手順は、以下の通りです。

1.事業所を見つけて応募する
2.市町村窓口で利用申請をする
3.認定調査
4.「サービス等利用計画案」の提出
5.暫定支給の決定(A型のみ)
6.「個別支援計画」の作成
7.支給決定と受給者証の交付

まずは、市区町村の障碍者福祉窓口やハローワークに足を運び、求人(事業所)を見つけることから始めてみましょう。

問い合わせはもちろん、見学ができたり説明会を行っている事業所もあるので、自分に合った事業所を見つけられるようにいろいろと調べてみてください。

全体的な流れは上記の通りで、個別支援計画が受理され支給が決定したら、サービスの内容が申請者に通知され、その後に「受給者証」が交付されることとなります。

この期間ですが、申請から本支給まで1~2ヶ月ほどかかることが多いです(事業所によって異なる)。

受給者証が発行されれば、いよいよ事業所で勤務を開始することとなります。

まとめ

以上が、「就労継続支援」についてのご紹介となります。

A型・B型どちらでもあっても、自身の障害と上手に向き合いながら働ける環境が整っています。

もちろん、こちらを利用してから「就労移行支援」に移ることや、一般企業などへ就職することも可能となっています。

自分の状況に応じて、いろいろな働き方を模索してみてください。

ちなみに、就労継続支援事業所も、2020年から続く「新型コロナウイルス」によって苦境に立たされていることは事実です。

今後は、テレワークを活用した就労継続支援にも期待が高まっており、企業によってはすでに、テレワークを活かし多様な働き方が可能な就労継続支援A型のサービスを提供している場合もあるのです。

就労継続支援も働く場を提供する事業所であることから、今後も時代に応じて働き方は変化していくものと考えられます。

とはいえ、「障害や病気で一般企業での就労が難しい人々に、働きながらスキルなどを身につける場を提供する」という事業の目的そのものが変わることはありません。

関心がある方は、ぜひいろいろと情報を調べて、自分に合った就労継続支援事業所を見つけてみてください。

尚、関連サイトとして、当社では「医療・介護・保育・福祉」などの採用サイトも取り扱っております。

詳細は以下リンクよりご参照いただければ幸いです。

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